(゜Д゜)っ/凵⌒☆チンチン新聞

ソフトバンク新定額制導入 雑誌・新聞読み放題 週刊朝日、AERA、FRIDAY、CanCam、週刊ダイヤモンドなど31誌配信
 ソフトバンクは、iPadやiPhone、iPod touchおよびソフトバンクの携帯電話向けに、新聞や雑誌、テレビニュースなどのコンテンツを月額の定額料金で閲覧できるサービス「ビューン」を6月1日に開始する。月額料金はiPad向けが450円、iPhone/iPod touch向けが350円、ソフトバンク携帯電話向けが315円。
 閲覧できるコンテンツは、雑誌は週刊朝日やAERA(朝日新聞出版)、FRIDAY(講談社)、CanCam(小学館)、週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社)など、新聞はスポーツニッポン(スポーツニッポン社)や毎日新聞(毎日新聞社)、西日本新聞(西日本新聞社)、動画は日テレ NEWS 24(日本テレビ放送網)など。合計21社の31コンテンツを、すべて月額料金内で閲覧できる。  iPad、iPhone、iPod touchで「ビューン」を利用するには、無料のコンテンツ閲覧アプリ「ビューン」をApp Storeからダウンロードする必要がある。ソフトバンク携帯電話向けサービスは、ソフトバンク携帯電話取扱店などから申し込める。iPad、iPhone、iPod touchは、アプリの利用開始から30日間、ソフトバンク携帯電話は利用開始から1カ月間、無料で利用できる。各端末で「ビューン」を利用するには、別途契約が必要。
 東京都内で開いた説明会で、ソフトバンクの孫正義社長は「アイパッドは売れている。世界中で専用アプリが出てくると思うが、日本で足りないのは雑誌、書籍。そのサービスを読みやすく、買いやすい形で提供する。アイパッド利用者には、標準装備に近い形で楽しんでほしい」と説明した。



スマートフォンやパソコンで利用できる「auかんたん決済」
 KDDIと沖縄セルラーは、auユーザー向けの決済サービス「auかんたん決済」を6月1日より提供する。auのスマートフォンなどでアプリ利用料などを通話料と合算して支払えるようになる。
 「auかんたん決済」は、「au one-ID」を登録し、携帯/パソコンの連動設定を行っているのauユーザーが利用できる決済サービス。パソコンやauのAndroid搭載スマートフォンなど、インターネット環境において、コンテンツやサービス利用料をauの通話料と合算して支払えるようになる。スマートフォンではなく、通常の携帯電話を利用するauユーザーも「au one-ID」を登録すればパソコン向けコンテンツの利用料をauの通話料と合算できる。



SCEJ、PlayStation Networkの日本国内アカウント登録数が500万達成
 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)は、日本国内でのPlayStation Networkのアカウント登録数が5月31日時点で500万アカウントを達成したと発表した。
 PlayStation Networkはプレイステーション 3やPSPで楽しめるネットワークサービスで、PlayStation Home、アドホック・パーティ for PlayStation Portable βバージョン、週刊トロ・ステーションなどの各種サービスが提供されている。SCEJによると、コンテンツの販売をおこなうPlayStation Storeでは毎週100万超のアクセスを記録しており、日本国内でダウンロードされたコンテンツの総数は1億1,000万を超えるという。コンテンツ数は17,000を越える。



iPhone向け「Skype」、最新版で3G経由の通話に対応
 Skypeは、iPhone/iPod touch向けアプリ「Skype for iPhone」の新バージョンの提供を開始した。3G網での通話ができるなど、新機能が追加される。
 今回提供が開始されたのは、iPhone/iPod touch向けアプリ「Skype for iPhone」の最新版となるバージョン2.0.0。新機能として、携帯電話(3G)網経由で、Skype同氏の通話が利用できるようになった。3G網利用の通話機能は、2010年末まで無料で提供され、その後、月額での課金となる見込み。
 通話音質も改善され、CD品質に近づいた。このほか、起動時間の改善なども図られている。なお通話機能は、iPhone OS 3.0以降を搭載するiPhoneやiPad、iPod touch(第2世代/第3世代)で利用できる。



シャープ副社長「ネットTVは主流になる」 ソニーとグーグル提携に
 シャープの松本雅史副社長執行役員は31日、液晶テレビの新商品発表会で、ソニーと米グーグルが提携してインターネットテレビを販売することについて、「注目するに値する。ネットTVは今後主流になるだろう」と指摘した。自社での開発に関しては「基本ソフト(OS)の開発企業と協力することで商品の完成度は高まる。将来的に当社がグーグルと組むことも考えられない話ではない」と語った。



auのCM発表会、夏をテーマに土屋アンナが「バビョーン!」
 KDDIは、「ガンガントーク」「ガンガンメール」「ガンガン乗りかえ」といったサービスをアピールする新テレビCMを6月1日より放映する。夏をテーマにした内容で、引き続き土屋アンナが登場。恒例となっている著名人の“バビョーン顔”では、徳光和夫が登場することも明らかにされた。
 新CMでは、お祭りの縁日を舞台に、浴衣に身を包んだ土屋アンナが歌い踊る内容。バビョーン顔では徳光和夫が登場し、最後には感激で号泣顔となる。CM発表会に登場した土屋アンナは、決まったダンスを大人数で踊るのは珍しい体験だったのことで、「一緒にダンスするのが楽しかった」と収録を振り返った。苦労した点を聞かれると「ないっスよ。本当に楽しかった。中腰が多かったので筋肉痛でしたけど、人生に比べたら……」と収録に辛い思い出はない様子。縁日のセットのたこ焼きなどは本当に作ってあったとのことで、「お祭りに行きたくなった」と感想を語っていた。



元スクエニ社員「iPad発売で任天堂の時代は終わった」
 元スクウェア・エニックスのゲームクリエイターであり、『クロノ・トリガー』や『ゼノギアス』などの人気作品を世に出してきた加藤正人さんが、インターネットコミュニケーションサービス『Twitter』(ツイッター)で、「iPad発売で任天堂の時代は終わった」(ID: masa0099)と発言し、物議をかもしている。
 加藤さんは『ファイナルファンタジーXI』や『聖剣伝説』シリーズ、『プリンセス・メーカー2』にも携わっており、多くのファンがいるゲームを手がけている。それだけ優秀なゲームクリエイターなのは容易に想像できるというもの。今後も加藤さんが手がけるゲームが発売されるのを心待ちにしているファンもいることだろう。
 そんな加藤さんが「iPad発売で任天堂の時代は終わった」と発言し、ゲームファンは驚きを隠せずにインターネット上で議論を交わしている。ゲームで生活している人が、ゲーム業界に震撼を与える発言をしたことに対しても驚きを隠せないようだ。
 加藤さんは『Twitter』で「iPad発売で、任天堂の時代は終わったな。 DSとWiiで、ここに至る墓穴を掘っていたわけだが」と、ハッキリと任天堂の敗北を宣言。それに対しゲームファンたちは、「iPadは2万ぐらいで売らない限りDSと比べる意味無いだろ。あんなの5万近くで買う気は全く起きない」や「iPhoneの今後の発展でWiiDS終了ならまだしもiPadはないわw」と意見を述べている。
 ゲームファンたちからすると、特に『iPad』は『ニンテンドーDS』や『Wii』の脅威にはならないと考えているようだ。このあたりはゲームクリエイターとゲームユーザーの意見の違いが顕著にあらわれているといえよう。はたして、『iPad』の出現は任天堂の脅威となりえるのか!?



イングランド戦視聴率、前半19%で後半23%
 30日夜にNHKで放送されたサッカー日本代表強化試合「日本対イングランド戦」の平均視聴率は、前半19・4%、後半23・7%(関東地区)だった。
 31日、ビデオリサーチ社が発表した。瞬間最高視聴率は午後10時55分、日本がイングランドに逆転され、2対1になった直後の場面で、28・8%だった。



ウィルコム、「新ウィルコム定額プランS」の受付延長
 ウィルコムは、料金プラン「新ウィルコム定額プランS」の申し込み受付期間を8月31日まで延長した。
 新ウィルコム定額プランSは、満22歳以下のユーザーを対象とした料金プラン。月額1450円の定額で、ウィルコム同士の通話が24時間無料となるほか、メールは他社携帯電話やパソコンも含めて無料。携帯サイトやパソコンサイトの閲覧、およびパソコン接続によるデータ通信などのパケット通信料の料が上限2800円となる。
 申し込み受付期間はこれまで5月31日までとされてきたが、8月31日までに延長される。これに伴い、ウィルコムを2年以上契約しているユーザーを対象に、年齢制限なしで新ウィルコム定額プランSにコース変更できるキャンペーンも8月31日まで延長される。



DBマガジン、休刊
 あるAnonymous Coward 曰く、翔泳社の「DBマガジン」が、2010年9月号(2010-07-24発売号)をもって休刊とのこと。
 データベース、それもRDBをメインにした雑誌という考えてみれば非常に特化されたものでしたが、また一つ紙のコンピューター雑誌が消えることになります。まぁ毎年同じような記事が並んでいたので編集も辛かったのかなとも思う反面、毎年補充されてくるDBエンジニア向けにはちょうどよい雑誌だったと思うだけに残念な気もします。



iPadなんて怖くない? 米IT社長の老舗書店改革
 先週28日に日本でも発売された米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。この新端末の上陸を期に日本でも電子書籍への関心が急速に高まってきている。
 ここで質問です。世の中の本が電子書籍だけになると何がなくなると思いますか。
 まずは、紙の使用量が大幅に減るだろう。本を作る印刷工場は開店休業。倉庫も空っぽになり、本を運ぶトラックも必要なくなる。そして何よりも書店そのものが消滅するかもしれない。
 その書店の将来はどのような姿になるのか。iPad発売のちょうど1週間前の21日付の米ウォールストリート・ジャーナルに興味深い記事が載っていた。タイトルは「電子ブックが書籍販売を塗り替える」。米書店大手、バーンズ・アンド・ノーブルを取り上げ、その未来像を紹介した。同社のマンハッタンにある旗艦店には赤ちゃん向け毛布、置き時計、文房具、ボードゲームなどが棚に並んでいる。
 紙の本が売りにくくなっているから、非書籍を扱うのは当然かもしれない。だが、同社の取り組みはそれだけではない。自らが電子書籍端末「ヌーク」を昨年秋開発し、約120万タイトルを取りそろえている。ヌークを持ってバーンズ&ノーブルの店に行けば無線LANで店独自のコンテンツが店内で閲覧でき、コーヒーも無料で飲める。ヌーク利用者だけの値引き特典もある。
 店内で電子書籍を1冊1時間無料で読むことも許される。これだと気兼ねなく立ち読みができるというわけだ。
 こうしたサービスは店舗と専用端末があってこそ可能だ。iPadやアマゾンの電子書籍端末「キンドル」などではできない芸当だ。
 一連のユニークなサービスを連打する立役者は約1年前に同社に入社し、今春に社長になったばかりのウィリアム・リンチ氏(社長就任時の年齢は39歳)だ。リンチ氏は携帯情報端末(PDA)大手、パームを手始めに、IT企業、オンライショッピングを渡り歩いてきた書籍販売とは無縁の人物。ネットの特性を知っているからこそアナログの書店経営に斬新なビジネスモデルを持ち込むことができたのだろう。
 バーンズ&ノーブルの挑戦を伝えた同じ21日、日経新聞朝刊にこんな記事が載っていた。「書店、中古本事業を拡大」。新刊市場が縮小しており、割安な中古書籍を収益源の多様化につなげるのだという。日本とアメリカでは書籍販売の制度が大きく異なるから同列で比較できないが、改革への思いに彼我の差を感じざるを得ない。



「日本列島再現」の仮想空間に現実性がなかったわけ(COLUMN)
 まさか、ネット上の仮想ゲーム空間が連鎖販売取引(マルチ商法)の道具になるとは考えもしなかった。埼玉県警は5月27日、仮想空間「エクシングワールド」を運営するネット関連会社「ビズインターナショナル」(さいたま市、石原茂男社長)が虚偽の説明で会員を勧誘していたとして、特定商取引法違反(不実告知)容疑で家宅捜索した。「第二のセカンドライフ」をうたい文句に「必ず儲かる」と会員を勧誘していたもようだが、同社のサービスに現実性がないことは、ゲームビジネスの視点でみても明らかだ。
セカンドライフの現在
 仮想空間サービスの市場を開拓した米リンデンラボの「セカンドライフ」は、ゲーム内に広がる土地を月額料金でレンタルする仕組みを取っている。セカンドライフ内には、「不動産デベロッパー」として活動するユーザーがいて、「島」と呼ばれる土地をリンデンラボから仕入れ、それを他のユーザーに「賃貸」して収益を上げている。
 セカンドライフが大きく話題になった2007年頃は、日本企業が不動産デベロッパーとして参入し、収益を出していたことがあるのも事実だ。しかし、ブームが去った現在は、土地のレンタル料の相場はせいぜい月1000~2000円といったところで、一つの島をすべてレンタルできたとしても数万円程度の利益にしかならない。
 ただ、ブームが去った後もセカンドライフはそれなりの成長を続けている。アカウントを持つユーザーは約1800万人だが、大半は使っていない。ただ、繰り返しアクセスしているアクティブなユーザーが今年3月時点で約82万人存在し、現在は固定ユーザー向けのコミュニティーサービスのようになっている。
 リンデンラボは、09年にユーザー間で行われた経済取引は米ドル換算で5億6700万ドルに相当すると発表している。ただ、これにはアイテムの交換といったものも含まれており、仮想通貨による取引規模を意味しているわけではない。
 最新の「経済リポート」では、セカンドライフ内の活動によって今年4月に6万9400人が利益を上げたという。ただ、5000ドル以上の利益を出した人はそのうち206人に過ぎず、10ドル以下の人が3万8703人と大多数を占める。この傾向はこの半年あまり変わらず、横ばいの状態が続いている。
 09年にユーザーが上げた利益の総額は5500万ドルで、ビジネス活動をしているユーザー1アカウントあたりの平均額は約800ドル。個人レベルであれば、それなりの副収入といえるかもしれないが、事業や投資目的でやるには規模が小さすぎる。セカンドライフですら、「儲ける」のが容易ではないことはすぐわかる。
仮想空間の土地には希少性がない
 ビズ社のエクシングワールドは、仮想空間に「日本列島を丸ごと再現する」という触れ込みだった。報道によると、全国で説明会を開き「仮想空間で土地に投資すれば、確実に利益が得られる」などと虚偽の説明をして会員を勧誘していたようだが、エクシングワールドの土地取引で利益を上げるのは、セカンドライフの結果をみるまでもなく不可能に近い。
 そもそも現実世界の土地は、その空間を別の手段によって代替することができない希少性ゆえに価値がある。ところが仮想空間はそうではない。サーバー上に存在するに過ぎない以上、原理的にはサーバーの増設で土地を無限に拡張することができるからだ。
 セカンドライフの場合、リンデンラボが販売する島の量を一定のペースに抑え、土地の希少性を維持しようとしている。それでも長期的に見れば土地は増え続けるため、地価下落から逃れることはできない。
 しかも、仮想空間は実際世界とは違い、ある場所から別の場所に一瞬で移動できるような機能があるのが一般的だ。そのため、交通の便のいい駅前商店街といった立地条件の差が生まれにくく、一等地の価格が継続的に上昇するといったことも起こりにくい。
 エクシングワールドが「日本列島丸ごと再現」を売り物としたのは、日本列島自体の土地の希少性を利用する狙いがあったと思われるが、希少性が現実に生まれたかどうかは極めて疑問だ。サーバー上に構築された仮想空間である以上、第二の日本列島を新たに作ることは簡単だからだ。
サービスの成熟とともに現実から乖離
 競合するサービスの登場も考慮する必要がある。例えば、トランス・コスモスなどが出資するココア(東京・渋谷)の仮想空間「meet-me」は、「東京を丸ごと再現している」を目玉としている。他社の参入で東京の「仮想土地」が2倍に増えれば、単純計算で地価は半分に下がる。
 実際世界をいくらリアルに再現しても、サービスが成熟するにつれて、現実から離れていかざるを得ないという問題もある。meet-me内では5月下旬に仮想の代々木公園で「釣り」をするというユーザー向けイベントが開催された。現実世界では代々木公園で釣り大会などあり得ないが、仮想空間としてのサービスを充実させようとすればするほど、どんどん現実から乖離していく。仮想空間の土地に持たせようとした希少性の意味も同時に薄れていく。
 meet-meはサービス開始時、東京以外の地域の再現も計画していたが、今のところまだ手が付けられていないようだ。東京の再現度もそれほどレベルの高いものではない。これは現在のコンテンツ制作技術の限界からくるものである。現実世界の完全な再現は今の技術ではかなり難しい。ましてや、「日本列島丸ごと」など机上の空論である。
信頼性の低い仮想通貨
 仮想空間内で使われる仮想通貨と現実の通貨の交換が成立するような環境をつくるのも難しい。まず、通貨としての信頼性が極めて低い。オンラインサービスの世界では、金銭が関わる場合はありとあらゆる不正行為を想定する必要がある。成りすましやツールを使った不正などはいくら監視を強化してもいたちごっこで、トラブルが起きる危険は常にある。そのために、日本の仮想空間サービスやオンラインゲームの大半はゲーム内でのユーザーによる独自ビジネスを推奨しておらず、仮想通貨を現実の通貨に交換するようなシステムも導入していない。
 ビズ社はエクシングワールドを60代以上の世代に売り込んでいたようだが、60代以上の仮想空間サービスの利用率が増えているという兆しはまったくない。ユーザーの主力は相変わらず20~30代である。
 セカンドライフは、サービス内容を直感的に理解しやすかったため、日本でも一時的なブームを起こすことができた。しかし、実際に利用すると操作や手続きが意外に煩雑であり、インターネット上のコミュニティーの中心は相変わらずソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のようなコミュニケーションを第一とするシンプルなサービスである。
 ビズ社の容疑内容が事実とすれば、仮想空間の表面的なわかりやすさにつけ込んだ、かなり悪質なケースと思える。このサービスそのもので事業を成り立たせるのが困難であることを最初から承知のうえで、マルチ商法のために始めた可能性もあるからである。こういう事件が二度と起きないことを強く望みたい。

(TДT)新聞

製造業、海外にシフト 生産35兆円・雇用96万人が流出
 国内の生産や雇用が日本から「流出」している。製造業がアジアなど海外に生産をシフトしたことから2008年度は国内生産額が35兆円、雇用は96万人ほど下押しされたもよう。09年度以降も流れは変わらない。日本企業にとってグローバル化は避けられない道。国内に見切りをつけるような脱ニッポンに歯止めをかけ、内外企業の国内投資を促すには、高すぎる税制や昔ながらの規制の見直しが重要になる。 
 海外生産は9%増。その一方で国内生産は10%減、輸出は26%減――。トヨタ自動車など乗用車8社の09年度の実績は生産の内外格差をくっきりと浮かび上がらせている。海外生産が国内生産を上回ったのは07年度。それから2年、異国での生産規模は国内の1.3倍に膨らんだ。
 縮みゆく日本市場、広がる世界市場。円高という冷風にもさらされ、日本企業は海外シフトを急いでいる。輸出から現地生産、そして原材料や部品などの現地調達へと足を速め、国内への影響はいよいよ無視できない。
 第一生命経済研究所の永浜利広氏が経済産業省の海外事業活動基本調査をもとに製造業の海外生産の影響を試算した。(1)現地法人が生産した製品などが日本からの輸出に置き換わる「輸出代替効果」(2)現地生産品が日本に輸入される「逆輸入効果」(3)国内から現地法人に部品や原材料などが輸出される「輸出誘発効果」――の3つのルートを分析対象とした。
 「輸出代替効果」と「逆輸入効果」は国内の生産や雇用のマイナス要因。「輸出誘発効果」はプラスに働く。08年度に国内生産に与えた影響はどうだったか。輸出代替効果は47兆9000億円、逆輸入効果は10兆3000億円。半面、輸出誘発効果は22兆6000億円。差し引き35兆6000億円の生産が国内で減ったことになる。
自動車は海外生産比率が5割を超える(ニューデリー近郊のスズキ工場)
 08年の国内の製造品出荷額は334兆円。生産のおよそ1割が海外進出によって押し下げられた計算だ。生産の減少に伴って、単純計算で国内の雇用も差し引きで96万人下押しされた。約1000万人の製造業の就業者数と比べ、1割近い雇用が減ったことになる。
 日本企業が海外の現地法人などから受け取った配当は09年度に初めて3兆円を超えた。それでも日本から流出した生産の規模はこれをはるかに上回り、「脱日本」は打撃の方が大きい。
 国際協力銀行によると、全業種の海外生産比率は02年度の29.3%から08年度は34.5%に上がった。自動車41.4%→51.9%、電機・電子36.3%→41.0%、繊維22.3%→38.3%と、各産業で海外生産比率が上がっている。
 世界経済には不透明感が漂っているものの、中国やインドなどを中心に成長は続いており、日本企業が海外に進出する流れは今後も勢いを保つだろう。内閣府の調査では、製造業の55.7%が海外生産を「拡大・強化する」としている。生産拠点としても、有望な市場としても存在感を増すアジアなど海外。国内の生産や雇用への影響が無視できない「空洞化」が、本当の現実味を持つ時代になってきた。



外資の日本進出は低調 「モノ作り大国」足場揺らぐ
 外へと向かう日本企業。かつての英国のように海外勢が積極的に流入してくるならつじつまも合いそうだが、外資の日本進出は低調だ。外資系企業を対象に経済産業省が調査したところ、08年度の設備投資額は前年度から35%も減った。経済の活力を生み、雇用を創出するため、政策的な後押しが欠かせない。
 外資系企業の08年度の設備投資額は1兆140億円で、04年度以来の水準に低下した。常時働いている従業者数も前年度から25%減り43万8000人となった。金融危機の余波もあるが、生産拠点や市場としての日本の地盤沈下は否めない。
 長い間をかけて日本が培ってきた「モノ作り大国」の足場は揺らいでいる。法人税の実効税率が40%で高止まりしている日本のかたわらで、欧州やアジアは20%台を競う。空港などのインフラも含めたコストの高さが企業の動きを鈍らせ、新たな産業を呼び起こす規制改革が見当たらない。
 温暖化ガス25%削減という目標も負担の論議が先行しがち。国際競争力を保ちながら排出を減らすビジョンが示されず、企業に警戒感ばかりが募る。他国との経済連携協定(EPA)の締結も後手に回り「外で稼ぐ」仕組みづくりそのものも立ち遅れたままだ。
 家計支援に軸足を置く民主党政権。脱ニッポンの流れがさらに加速するならば、家計に生活の糧をもたらす働く場も、少しずつ失われていく。



アップルやフォード、重点分野選別でシンプル経営
 【ニューヨーク=武類雅典】米国の有力企業で競争力の浮沈が目立ってきた。IT(情報技術)では、停滞気味のマイクロソフト(MS)などに対し、アップルが絶好調。自動車大手でも、フォード・モーターが経営不振から一歩先に脱出した。好調組の最高経営責任者(CEO)は、重点分野に全精力を傾ける「シンプルな経営」でライバルを引き離している。
 携帯端末「iPad(アイパッド)」を世界デビューさせたアップル。先行発売した米国では1カ月足らずで100万台以上を販売した。「この魔法のような製品を多くのお客様にお届けすべく努力しています」と言うスティーブ・ジョブズCEOは自信満々だ。
 携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」も人気に陰りはない。苦境にあった1990年代には、ジョブズ氏がMSのビル・ゲイツ氏に全面提携の支援を頼んだこともあったが、そのMSを時価総額で抜き去った。今やエクソンモービルに次ぐ全米2位。中国問題の後は少し元気がないグーグルも引き離した。
 その強さはジョブズ氏流の革新性だけではない。製品のデザイン同様、シンプルな経営戦略が支える。パソコン「マッキントッシュ」、携帯音楽プレーヤー「iPod」、iPhone、iPadとほぼ4つの製品群を世界中で売りまくる。同じ製品を大量に売れば、それだけ部材コストなども下がる。革新性と「規模の経済」を両立したジョブズ氏の価値は「250億ドル(2兆3000億円)以上」(金融専門紙バロンズ)と評される。
 再建競争でゼネラル・モーターズ(GM)に先行するフォードのアラン・ムラーリーCEOも、大黒柱の「フォード」ブランドに集中するシンプル経営にカジを切っている。2006年の就任後、「ジャガー」など欧州高級車ブランドを次々と売却。70年以上の歴史がある「マーキュリー」の廃止も検討中とされる。実現すれば、ブランド数は就任前の7つ(マツダ除く)から2つに減る。
 「フォード」の世界戦略車「フォーカス」はプラットホーム(車台)を世界規模で共通化し、部品などのコストを大幅に削減する。1~3月期の純利益は20億ドルを超えた。地道な改革の成果次第で、通年で100億ドル規模の利益も視野に入る。
 ジョブズ氏もムラーリー氏も細かい点まで口を出す「トップダウン型」の経営者だ。ジョブズ氏は「エレベーターで乗り合わせるのを社員が嫌がる」とささやかれたことまである。2社とも権限集中のリスクを抱えているが、分かりやすい経営戦略と実績が株主も社員も納得させている。
 「経営のお手本」と称賛されてきたGE(ゼネラル・エレクトリック)は、多様な事業をうまく動かす「複合経営」が強みだったが、金融危機を境に「GEの複雑さが判断を鈍らせていないか」と批判された。分かりやすい経営を求める投資家は無視できない。ジェフ・イメルトCEOは昨年末に事実上のメディア事業売却を決め、最近は「今のGEはよりシンプルな会社になった」と強調する場面が増えている。
 アップルなどは事業構造が単純であるがゆえに、主力が振るわなくなった場合のもろさも抱える。一方で無用な多角化に踏み込めば強みが打ち消される面もある。自動車ビジネスなら電気自動車など、中核事業の次世代戦略で先行し切れるかが競争力持続の鍵になりそうだ。



任天堂DS、ソニーPS、iPhoneにiPad……ゲーム端末機“多様化時代”の生き残り策を
スクエニ、コーエーテクモのトップが語り尽した
 任天堂、ソニー、マイクロソフトなど、世界的に強力なハードメーカーの護送船団によって守られてきたゲーム業界。だが、昨今、携帯電話やネットブラウザを使ったゲーム、あるいはアップルの「iPhone/iPod (touch)」などの携帯端末も登場し、業界の市場状況が変化しつつある。この状況について、大手ソフトメーカーのトップはどう考えているのか。2010年3月期末決算で2003年のグループ発足以来、最高の売上高、営業利益、経常利益を計上したスクウェア・エニックスホールディングスの和田洋一社長と、経営統合した2社をベースに今春「コーエーテクモゲームス」を発足させたコーエーテクモホールディングスの松原健二社長に話を聞いた。
ゲーム市場はひとつの
ハードに収れんせずに分散する
石島:ゲーム業界は長い間、ハードメーカーを頂点とする護送船団の下でソフトメーカーが利益をあげる構図を保ってきました。いわば、ハードメーカーによるエコシステムが機能していたわけです。一方で、最近は携帯電話やネットブラウザを使ったゲーム、また、アップルの「iPhone/iPod (touch)」などの携帯端末も登場し、市場状況が変化しようとしています。今後、ゲーム業界にとっての市場はどう変化していくのでしょうか。

松原健二(まつばら けんじ)
1962年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール(経営大学院)修了。日立製作所、日本オラクルを経て、2001年コーエー入社。同社執行役員を経て、2007年コーエー社長。2009年現職、2010年4月コーエーテクモゲームス社長。

松原:ご指摘の通り、いわゆるソフトメーカーは、家庭用ゲーム機向けビジネスに特化してきたのは事実です。
 その一方で、ソーシャルネットワークゲームやブラウザゲーム、アップルの「iPhone/iPod (touch)」などのモバイルゲームなど新興市場が登場してきて、だいぶ世の中の話題にもなっています。ですが、それぞれのビジネスの市場規模が異なるにも関わらず、単純比較されすぎているな、というのが私の印象です。
和田:私は今後の市場の変化については、ビジネスモデルとコンテンツサービスデザインの2軸を分けて考える必要があると考えています。

和田洋一(わだ よういち)
1959年愛知県生まれ。東京大学法学部卒。野村證券を経て、2000年スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。CFO(最高財務責任者)等を経て、翌年代表取締役社長。2008年から現職。2006年から、業界団体社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)会長も兼務。

 まずは、ビジネスモデルの軸から申し上げると、ダウンロードビジネスとパッケージビジネスの関係ですね。トレンドとして、パッケージビジネスはどうしても厳しくなりますし、ダウンロードビジネスは加速していく。これは時代の流れとして捉える必要があります。
 また、コンテンツサービスデザイン軸に関しては、従来のソフト制作がクリエイターサイドからの「プッシュ型」だったわけですが、これが今はユーザー同士のコミュニケーションをベースにした「コミュニティ型」に寄ってきているという感じがします。この2軸が混然と語られていることが理解を難しくしていますね。
 かつての映画業界も同じようなことが起きていました。ビジネスモデルの観点では、興行収入しかなく、行き詰まってしまったため、マルチウインドウ、つまり興行収入以外の収入も得られるようにしていった。おそらく、松原さんの所もそうだと思いますけど、基本的にあそこしかやらない、とかではなくなって、どこもバランスよくやるというのが、今後の経営方針になると思います。
松原:それに加えて、マルチウインドウビジネスを考えるときは、ビジネスの変化にも注意を払わねばなりませんよね。ダウンロードビジネスは今のところ単価千円以下が中心ですが、一方のパッケージビジネスは、中心単価が5000円~8000円です。この差はコスト回収モデルの変化となって現れます。このモデル構築の今後については、まだ決着がついていません。
 また新興市場に関しては、私たちのような既存のソフトメーカーが先行しているわけではありません。その先行しているメーカーと私どもが比較されるわけですから、そのことについて、もう少し試行錯誤する必要があると思っています。
和田:この手の話はどうしても、それぞれの軸において、どちらか一方に収れんされるようなイメージで議論が進んでいきがちですが、現実はそうじゃないですよね。むしろ、分散しています。
 現在の議論はそれぞれの軸、ビジネスモデルの軸で言えば、パッケージからネットに、コンテンツサービスデザインの軸で言えば、プッシュ式の濃いところ(ここでは家庭用ゲーム機向けビジネス)から薄いところ(ここではソーシャル&ブラウザゲームビジネス)に、それぞれ収れんしていくと言われていますが、それほど単純ではありません。それぞれの市場で、どうビジネスをしていくかということが今後の課題になるでしょう。
 ただ誤解のなきように申し上げますと、パッケージビジネスを家庭用ゲーム機ビジネスモデル以外でやることも、コミュニティ型ソフトを家庭用ゲーム機のビジネスモデルでやると言うことも十分あり得ます。今回のわれわれの話は、あくまでいままでの流れを説明していると言うことでご理解ください。
石島:今後のゲーム業界は、従来の複数のハードで動くマルチプラットフォームではなく、マルチウインドウビジネスを展開するソフトメーカー 、任天堂のように、強力なソフトメーカーであるハードメーカーが共存していくイメージでしょうか。
和田:そうでしょうね。今後のゲーム業界の市場は、任天堂ハードに代表される80年代、そして90年代のソニーが作り上げたようなエコシステムではなく、様々なハードが共存する時代になると思います。ゲーム専用機、アーケード、携帯端末、ネットブラウザなど、今以上にもっと分散していくでしょう。
「iPad」は話題と人気が先行し過ぎ
据置型がなくなるわけではない
石島:アップルの「iPad」が話題になっています。今までの「iPhone/iPod (touch)」市場がより拡大しそうな勢いも感じます。
和田:あれだけ騒がれると、どうしても世間はハードを「iPad」に収れんさせたがりますよね。たとえば「ゲーム機は今後据え置き型から、携帯型に変わる」とかすぐ言い切る人もいるけど、そんなことはないです。
 繰り返しますが、ゲーム業界においてハードが何か一つに収れんするような、仮説は立てない方がいいでしょう。ハードが分散するなかで、何がいま一番旬なのかという言い方はできますけど、今後は出口としてのハードが群雄割拠するような状況になると思います。あくまで、マルチウインドウビジネスが基本です。
松原:確かに、「iPad」の市場が拡大するであろうことは容易に想像がつきます。これだけ人気なら。でもそれで、据置機に取って代わるかというと、和田さんがおっしゃるるとおりそれは違う。「iPad」に限らず、ひとつのハードが特に注目を集めると、どうしてもそう言いたくなるのかもしれませんけどね。でも、100パーセントのパラダイムシフトが起きると思っている経営者は、さすがにいないでしょう。
 しかし、マスコミは新しいものをワーッと持ち上げて、時代に乗り遅れた巨人を”過去の人”として扱うのが好きですよね、構図が分かりやすくて面白いからだろうけど。
和田:そうそう、面白いからやるんですよ。でも、ビジネスはそのような流行り廃りでやってしまうと、事業としても間違えるし、結局ユーザーを不幸にしてしまう。それだけは経営者として避けたい。
松原:それに、やっぱりどんなに「iPad」が大人気と言っても、全世界で1億台以上売れたソニーの据置機「プレイステーション2」ほど、“ゲーム機”として普及するかというとやはり疑問です。「iPad」は家庭用ゲーム専用機(据置機)の平均価格よりはるかに高いし、「プレイステーション3」ほどゲーム機として高性能ではありません。そうなると、ユーザーがどのくらいお金を出して、「iPad」でゲームを楽しんでくださるのかも気になります。
和田:だからといって、2人とも現行据置機市場が、これからもずっと我が世の春を謳歌するとは言っていません。こちらも誤解なきよう(笑)。
松原:その通りです。据置機の場合は特に、開発費が高騰する一方で、国内の普及台数は十分かというと、残念ながらそうじゃないから。でも、据置機ビジネスがなくなるかというと、そういうわけでもない。要は効率の問題です。開発構造の問題とビジネス構造の問題、両方を効率よくやることが、我々経営陣には求められているわけです。
ハード分散時代の課題は
ビジネス構造と開発構造の効率アップ
和田:松原さんがおっしゃった二つの効率は今後、今までにもまして重要になっていきますよね。まず、ビジネス構造の効率という点においては、コンテンツがパッケージなのか、ダウンロードなのかでだいぶ違います。
 パッケージの場合は店頭販売が中心ですが、ダウンロードビジネスについて、「iPhone/iPod (touch)」を例に説明しますと、1回ソフトをアップすると、瞬時に世界中でダウンロードが可能になります。弊社の場合「iPhone/iPod (touch)」向けビジネスの売上の約25パーセントを、日米欧以外のその他の地域で占める。これは、ウチの販売網では絶対に無理です。
 しかも販売した後の管理についても、ディストリビューションの効率性は、パッケージビジネスと比較すると飛躍的に改善しています。
松原:ビジネス構造と同じく開発構造もしかりで、その特性を生かしたソフトを開発する必要がありますよね。いま、流行の「iPhone/iPod (touch)」用アプリはほとんど1000円以下で提供されていますが、それはつまり高コストなアプリを提供できないということでもある。一方、据置機ビジネスは、提供価格は高いけれど、技術力をしっかり身につけていないと開発できない。
 でも、私はこの状況をチャンスだと思いますね。環境が変化しているわけですから、早い者勝ちみたいなのも今はない。しかも、コンテンツビジネスですから、いいソフトさえ作れれば、あとから逆転することも可能ですよね。私はそういう意味では結構前向きです。
和田:そう、前向きじゃないとやっていられないですよ、今の時代は特にね。弊社もコーエーテクモさんもそうだと思うけど、いろいろタネはお互い撒いていますよね。
松原:そうですね。ただ、芽を出すのは簡単にはいきませんけど。
和田:本当にね。そこで、もう少し具体的な話をしますと、私は据置機ビジネスも、「iPhone/iPod (touch)」アプリビジネスも、ROI(投資利益率)はそんなに変わらないと思っています。
 据置機ビジネスというのは、大手パブリッシャーでないとほぼ参入できないのに対して、「iPhone/iPod (touch)」アプリの開発者は全世界で何十万人もいる。しかも、フリーのクリエイターも多い。こういう状況をどう捉えるか。据置型に投下された資本は大手パブリッシャーの投資を合計すれば分かるし、リターンも分かる。
 一方、「iPhone/iPod (touch)」のソフト制作に投下された資本も同程度に莫大だけれども、成功例しか見えないから分からない。成功例は、「3人で4ヵ月で作って1億円儲けました」なんていう話になる。実際にはこの1億円の裏は、死屍累々なわけです。ですから、産業全体でみれば、おそらくROIはたいして変わらないでしょう。
石島:家庭用ゲーム機以外の市場は「iPhone/iPod (touch)」の他にブラウザゲームなどもあります。ブラウザゲームは基本的に無料のものが多いようで、このビジネスモデルは家庭用ゲーム機向けとも、「iPhone/iPod (touch)」とも違うようです。ビジネスになる点はどのあたりなのでしょうか?
松原:ブラウザゲームによく見られるのは、ソーシャル的なものが組み込まれたゲームデザインです。
 ゲームは学校で生徒同士がゲームについて話しながら情報交換、つまりコミュニケーションをするようなソーシャル性がもともとありますが、ソーシャルゲームの場合はそのコミュニケーション行為が有料のゲームシステムとして組み込まれているのが特徴です。
これを「サンシャイン牧場」を例にとって説明しますと、あるユーザーは友達の畑に行って草をむしったり、肥料を自分でお金を出してプレゼントしたりすることができます。肥料の単価は小さいかもしれませんが、みんなが買うことでそれはビジネスになる。だから、何人で遊んでいるか、どんな種類のコミュニティ構成員が遊んでいるかは、とても重要です。
和田:私は、ソーシャルゲームの価値判断のひとつとして、「開始から何分でこのゲームを友人に紹介できるか」という基準を持っています。このようなバイラルコミュニケーションが強く働くゲームであればあるほど、ソーシャルゲームは成功しやすいといえるでしょう。
 先ほど、松原さんがおっしゃった、ゲームがもともと持っていたソーシャル性は、最近の学校では働きにくくなってきちゃいましたよね、残念ながら。子どもは学校が終わったらすぐ帰らせられちゃうし。なので、その代替手段として、ソーシャルゲームが人気を得ているのかなと思っています。
石島:代替手段と言えば、和田さんもおやりになっている「ツイッター」も、利用者の口コミをベースにしたバイラルマーケティングのツールとして人気です。さまざまなメディアが台頭してきたなかで、ゲームは今後もユーザーに時間を使わせることができるでしょうか。
和田:時間の問題は、ゲームの設計次第だと思いますね。ゲームをプレイするのに長い時間がかかるとか、連続した長い時間が必要という前提で考えると、確かに他メディアとの時間の奪い合いになります。しかし、時間が必要なゲームばかりでもありません。たとえば、シューティングゲームなんかは30分で終わるものが多いです。また非同期のもの(オフラインゲーム)も多い。ですので、結局はゲームデザインの問題かなと思います。
松原:私は嗜好の問題かなと思いますね。車は確かに乗らなくなった人が多いけど、ゲームは遊びたい人は遊ぶだろうな、という感じがする。やっぱりエンターテインメントですから、質的変化はないだろうと。むしろユーザーは、ソーシャルゲームなども含めれば、ますます増えている感じがしますね。
石島:そういえば、和田さんはなぜツイッターを始められたのですか?
和田:もともとは社員に活用して欲しかったんです。ちなみに、私自身1番投稿が多いときでも1日30分も使っていません。しかも、人の投稿にちょっかいだして手を抜くことが多いです(笑)。
 少し話がずれますが、「iPhone/iPod (touch)」用アプリは、現状、認知がされにくいという課題がある。ですので、バイラルマーケティングをしっかりやらなければなりません。その点を学ぶ上でも「ツイッター」は非常に有益だと思いますよ。
「ツイッター」の面白いところは、つぶやく側に主導権があるところですね。それがネットの掲示板やメールとは違うところです。これはどういうことかというと、他者との距離感の取り方を自分で決める事ができる。ひとつのつぶやきが何万人の人々の共感を得る一方で、逆に引かれることもある。
 これを身体感覚で知っているかどうかは、エンターテインメントビジネスに関わる上では大変重要です。また、知っているとウエブを使ったプロモーション力が、飛躍的に向上します。これは、ある種、コミュニティの本質です。それが「ツイッター」をやることで学べると思っています。
松原:企業がつぶやくコツみたいなものってあります? 下手にやるとただのPRになって、誰も読んでくれなかったりしますよね。
和田:まぁ、試行錯誤を繰り返すしかないのでしょうね。フォロワーがつく発言の振れ幅を学んでみたり、誰かに絡んでみたり、とか。ほったらかしにしておくと、雑草が生えちゃう。雑草は取るのではなく、生やさないようにする、とかね。
 雑草を生やさないようにする方法は、反応をこまめにチェックすることだと思います。自分に直接リツイートしてこないものもありますから、キーワード検索をしてみて、反応をチェックすることもおすすめです。

(゜Д゜)y-~~~新聞

アップル VS グーグル - 歴史が与えた2度目のチャンス(ウォールストリートジャーナルCOLUMN)
 米アップルは14年前、経営破綻(はたん)寸前にまで陥っており、多くがその独創性を失敗の原因として非難していた。
 米ソフトウエア最大手マイクロソフトの創業者で会長のビル・ゲイツ氏はその当時、米スタンフォード大学の学生とおしゃべりをしながら、かつてアップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)に、アップル端末の互換機を作らせてほしいと請う手紙を書いたことを思い出していた。そのときジョブズCEOがその要請に応じていれば、アップルの基本ソフト(OS)が、あらゆるコンピュータープログラムの基盤となる、世界的な業界標準になっていたかもしれない。だが、代わりに、その役割はマイクロソフトのOS「Windows(ウィンドウズ)」が担うことになった。
 ジョブズ氏は、マイクロソフトが同社の株主にもたらした莫大な富を逃した。それを誤りと言うのなら、確かに、ジョブズ氏はミスを犯した。だがその後、ウェブの登場によって、OSをめぐる争いの痛みは和らげられ、アップルは、楽しさを重視する消費者層向けの魅力的なコンピューター端末のメーカーとして、見事復活を果たした。
 歴史上の類似性を引き合いに出す手法は、コラムニストの常とう手段の一つであり、わたしも通常であれば、やめるところだ。だが、今回はあえて言わせてもらう。スティーブ・ジョブズは、アップルをほぼ破綻に追い込んだ賭けに再び打って出ているのではないか。
アップルとグーグル、歴史の軍配はどちらに上がるか
 米インターネット検索大手グーグルは、マイクロソフトとは正確には立場が違う。1つは、グーグルは、スマートフォン(多機能携帯電話)向けのOS「Android(アンドロイド)」を無償で提供している。また、競争の結果、一人勝ちのような状況になることもないだろう。だが、それ以外の点については、マイクロソフトのときと同じような結果になる可能性がある。
 ジョブズCEOは、ソフトウエアとハードウエアを自社で厳格に管理することを主張しているため、複数の端末メーカーが競い合うことで優位を得ることができるのはグーグルのOSだ。価格が下がり、イノベーション(技術革新)が加速されるからだ。その証拠に、近い将来発売予定のタブレット端末をはじめ、ニッチ市場をターゲットにした(特にナビゲーションやテキスト機能に特化した)多様なアンドロイド端末が相次いで開発されている。
 また、ジョブズCEOは、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けアプリケーションについても、同社のアプリケーション配信サイト「iTunes App Store(アイチューンズ・アップストア)」を介して厳密に管理することを主張しているため、ウェブに対するオープン性を最大限に活用するにはアンドロイド携帯が必要になる。そうなれば、アンドロイド携帯で利用可能なサービスやアプリケーションの数は、アップストア経由で利用可能なものの数をすぐに上回ることになるだろう。
 以前もそうであったが、現在、当事者でさえも、そうした利益をはっきりとは認識していない。以前の例で言えば、パソコンは最終的に不可欠な生産性向上ツールとして世界的に受け入れられるようになった。現在、「スマートフォン」という言葉からは、どこへ行くにも、何をするにも、全世界に広がる「クラウド」のリソースに、いつでも瞬時にアクセスできる未来を思い描くことは、ほとんどできない。
 もう一つグーグルがアップルに比べて有利な点は、時間の経過とともにおのずと明らかになってくるだろう。グーグルは、広告(と収集したデータを広告主に販売すること)から収入を得ており、同社の顧客はサービスを無償で欲することでグーグルに報いている。すなわち、広告支援型のビジネスモデルだ。
 一方、アップルは、ハードウエアの販売と、ユーザーの電話通信会社への加入料とサービスやアプリケーションの使用料の一部を徴収することで収入を得ている。これらはいずれ、クラウド上のダイナミックな携帯電話向け市場での競争において、淘汰(とうた)されることになりかねない。
 グーグルのやり方にもリスクはある。さまざまなアンドロイド携帯がはん濫し、ウェブに対する開放性も高いとなれば、セキュリティのぜい弱性やウイルスの感染、カスタマーサービスの質の低下といった問題が発生し、市場には細分化された質の悪い製品があふれる恐れがある。
 アップルにとっての差し迫ったリスクは、行き過ぎたアプローチによって、純粋に使うのが楽しい、極めて優れた操作性の製品を開発する同社の能力が損なわれかねないことだ。アップルは、広告戦略が必要だとの判断を既に下している。
 また、テレビ戦略も必要になるだろう。グーグルが先週、アンドロイドをテレビに応用し、大型・高画質のテレビ画面でクラウドサービスを利用できるようにする計画を発表したとなればなおさらだ。
 またアップルは、検索事業で競合するための戦略も必要だろう。アイチューンズストアを介して利用できるサービスやアプリケーションの価格や種類が、アンドロイドユーザーがブラウザー経由で利用可能なものに負けないようにする必要があるからだ。
 最近まで、ユーザーと電子機器との接点となるインターフェースの向上にほぼ全力を傾けてきたアップルにとっては、かなり多くの課題だ。だが、歴史はアップルに2度目のチャンスを与えた。先のマイクロソフトとの争いでは、歴史のいたずらによって、一人勝ちの結果になった。ウェブがもう少し早く登場し、マイクロソフトが言うところの「アプリケーション参入障壁」が撤廃されていたなら、事態は変わっていたかもしれない。
 アップルも、今度は、イチかバチかの大勝負に出るべきでないことを理解している(と、思う)。その代わりに今回は、尊敬するジョブズ様が厳格に管理する特別サービスを、たとえそれが多少の割り増し料金を払うことになり、一部のハードウエアとは非常に相性がいい代わりに、ほかのハードウエアとはうまく機能しない可能性のある多くのサービスやアプリケーションをウェブ経由で利用することになるとしても、利用したいと希望する顧客だけをターゲットにした、おいしい事業を展開できると考えているようだ。
 それでも、グーグルの方がやはり有利だ。なぜなら、グーグルは、検索サービスがわれわれのデジタルライフの中心にある限り、広告収入が途切れることはないからだ。そうなれば、ほかのどんな失敗も許される。



社民党、連立離脱を正式決定
 社民党は30日の全国幹事長会議での議論を経て、正式に連立政権から離脱することを決定した。



アルバムが調査開始以来もっとも低調な週間売上額を3週連続で更新
 アルバムの不調がとまらない。5月17日付週間市場規模が30.8億円となり、03年下期の市場規模調査開始以来もっとも低調な数字を記録していたのに続いて、5月24日付では同27.0億円と初めての30億円割れに。今週付週間市場規模は25.0億円で、これをさらに下回ってしまった。
 一方、シングルは嵐「Monster」が初動売上54.3万枚/7.3億円を記録したことなどから、週間市場規模も13.0億円に。対前週比126.0%と3盤種中唯一上向いているが、このところ好調続きだった音楽DVDの週間市場規模も前週比58.0%と足踏み状態となっており、これらを合計した音楽ソフト全体の週間市場規模は44.2億円に留まった。09年5月25日付の47.4億円を下回り、これも03年下期以降ではもっとも低調な数字だ。



【iPad革命】接客、プレゼン… 企業も活用
 「実際に身につけて歩くと、繊細に仕上げられたレースが揺れ動いて、より美しく見えます」
 米アップルの新型多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の画面に、ウエディングドレスを着たモデルの写真や動画が映し出される。目の前の展示品とひと味違う華やかさに、結婚式のドレスの相談に訪れた女性は目を奪われた。
 婚礼関連の事業を全国展開するノバレーゼの旗艦店「NOVARESE(ノバレーゼ)銀座」。米国から入手したアイパッドに約500点の写真や動画をセットし、試験運用を行っている。映像が美しく、着用時の姿をイメージしやすいことから評判は良い。「映像を見ながら説明しやすいサイズ。話を進める上でも役立つ」(広報担当の野原和歌さん)。同社は傘下のドレスショップ8店舗への導入を決めた。
 持ち運びやすさと操作性を生かし、店頭の接客用にアイパッドを活用する動きが増えている。英ファッションブランド、フレッドペリーは東京・原宿店でデジタルカタログの表示用に採用。アパレルメーカー、ニューヨーカーの埼玉県内の店舗ではジャケットとパンツの画像を画面上で組み合わせて、コーディネートを楽しめる。
 IT(情報技術)調査会社、MM総研の中村成希アナリストは「5万円程度の価格にしては十分な機能がある。商談相手とのプレゼンテーションに使える」と指摘する。情報漏洩(ろうえい)対策として記憶装置のハードディスクのないパソコンの導入が進んでいることもあり、富士通の佐相秀幸副社長は「企業向けの(パソコン)需要の一部を奪われるかもしれない」と危機感を募らせる。
 日本最大の料理レシピサイトを展開するクックパッドの佐野陽光(あきみつ)社長は、米国で購入したアイパッドを毎日のように使う一人だ。会議の参加メンバー全員がアイパッドを手に議論するようにすれば「社内から大半の紙を追放できる」と話す。
 ユーザー向けには、買い物先ではスマートフォン(高機能携帯電話)を使って同社のレシピ情報を活用してもらい、自宅ではアイパッドで調理シーンの動画を見てもらうといった連動したサービスの提案も考えられるという。
■    ■
 アイパッドの登場を追い風に、500誌弱の雑誌の電子配信を手がけるウェイズジャパンは昨年8月に立ち上げた電子新聞の販売サイトを充実させる方針だ。紙の新聞のレイアウトのまま夕刊紙や専門紙を配信するサービスに、有力地方紙を加えようと調整を進めている。「ソファで画面を見たり読んだりできるアイパッドは、家の中に革新をもたらす端末。あらゆるコンテンツの購買意欲を押し上げる」。アラム・サルキシャン社長は期待を寄せる。
 3月に電子出版のアゴラブックスを設立し、社長を務める経済学者の池田信夫氏は「絶版や今では品切れの書籍、印刷部数の少ない学術書も手がけたい」と話し、ニッチなニーズを掘り起こす考えだ。
 もっとも、電子配信によってコンテンツの供給側と利用者が直結すれば、流通のあり方も変容を強いられる。変革に伴う痛みや失うものが生じることも避けられそうにない。電子書籍ビューワーを開発・販売する電子出版の老舗、ボイジャーの萩野正昭社長は警鐘を鳴らす。
 「紙の本を配送するセンターが不要になったり、通販大手の米アマゾン・ドット・コムが日本の書籍データを海外から日本に配信するような事態もあり得る。アイパッドの登場で必要なのは、今後の変化への対応ではないか」



メキシコ湾 原油流出封じ込め作戦は失敗
 【ワシントン=渡辺浩生】米南部メキシコ湾原油流出事故で、英メジャー(国際石油資本)BPは29日、流出を食い止めるため、26日に開始した封じ込め作戦が失敗したと発表した。BPは新たな方策を実施するが、流出のさらなる長期化は避けられそうになく、オバマ政権も、苦しい立場に立たされそうだ。
 BPが26日に開始したのは、水深1500メートルの油井に泥などを流し込み、セメントで「栓」をする「トップキル」作戦。しかし、BPは29日になって米エネルギー省とも協議のうえ、流出の阻止に至らなかったと判断した。「われわれは次の手段に移るときだと考えている」としている。
 作戦が失敗したことを受け、オバマ大統領は同日、声明を発表し「流出を止めるため、あらゆる責任ある手段を追求し続ける」と強調した。具体的には、深海ロボットを使い流出元のパイプを切り取り、原油を吸い上げる方法をPBに指示した。
 石油掘削施設が爆発した4月20日の事故以降、流出した原油は7000万リットル以上にのぼっている。これは、1989年のアラスカ沖原油流出事故における約4200万リットルを、大幅に上回っており、米史上最大の流出事故に発展した。
 環境汚染が深刻化する中、オバマ政権の後手に回る対処に対する国民の批判は、一段と高まりそうだ。



表現の自由に重大なインパクトもたらす都の青少年条例改正案
 東京都は、三月四日、児童ポルノに関わる性表現規制を拡大強化する青少年条例の改正案を都議会に上程したが、マンガ家などをはじめとする強力な反対などもあり、三月議会では採択が見送られ、改正案は継続審議となったことは読者もご存知と思う。改正案の審議は六月議会で改めて行なわれるが、当初の改正案がそのまま進められるのか、修正が施されるのか、またそれらに対してどういう形の決着が図られるのか、現段階では不透明で、予断を許さない。今回の改正提案は、この国の表現の自由のありようにきわめて重大なインパクトをもたらすことが危惧される。
 児童ポルノ法の改正をめぐっては、昨年六月に衆議院の法務委員会で参考人を呼び論議するなど国会でも審議され、そこでは自民、公明両党が単純所持罪を導入し、マンガ等の創作物規制も調査研究する規定を設ける法案を準備してきた一方、民主党は現行の児童ポルノの定義を狭め、限定化するとともに、有償ないし反復の取得罪を新設するなどの法案を提示してきた。修正協議の動きもあったが、その間に政権交代もあり、現時点では法改正に向けて直ちに進むという状況にはない。
 そういうなか、都が提出したのが、青少年条例を改正し、
(1)知事が、一八歳未満の「非実在青少年」による性交等を描写した創作物を新たに不健全図書に指定でき、販売業者等は、青少年への販売・頒布等をしてはならず、包装や区分陳列も義務付けられる、
(2)何人も児童ポルノを所持しない責務をもつ、などをはじめ、
(3)発行業者や販売業者は、関連の創作物については青少年の閲覧等に不適当である旨の表示、青少年への不販売等、包装や区分陳列などに努める、
(4)官民一体となって、児童ポルノの根絶や関連の創作物のまん延を抑止し、青少年の閲覧等がないように努める、
などを含む一連の措置だ。
 今回の提案は、早い話、国のレベルで自公が企図しようとしてなお実現できていない単純所持罪とマンガなどの創作物規制を中核とする児童ポルノ法改正の実質化であり、その恰好の呼び水であり、先駆けに他ならない。都条例がそのまま改正されれば、現行法でもあいまいで広範な青少年条例の規制枠組みに、創作物規制と単純所持規制が加わることにより、青少年の性をめぐる創作の自由や、自由なアクセスと闊達な議論は著しく狭められことになる。これを機に、他の自治体も追随し、ひいては児童ポルノ法の改正にも重大な影響をもたらしかねない。
 児童ポルノや性表現は表現の自由と無関係な問題ではまったくない。人々の道徳や内面にも深くかかわる事柄だ。言論表現の自由への抑圧や介入が、エログロ表現批難を口実に強められ、広げられた戦前の教訓を忘れるべきではない。それにしても、都条例や児童ポルノ規制を表現の自由の問題として正面から受け止めず、伝えられないメインストリームのメディアは本当にジャーナリズムの担い手たり得るのだろうか。



富山新聞社説
◎港湾の重点整備 海運力向上戦略と一体で
 国土交通省は成長戦略の一環として、港湾機能の強化を掲げている。来年度以降に集中 的に整備する「重点港湾」の選定に当たり、全国の重要港湾の需要予測と実態の隔たりを指摘し、自治体などに港湾計画の見直しを求めているが、政府としては日本の海運力、海事産業そのものを強化、発展させる戦略を忘れてはならない。特に日本人船員の減少は経済の安全保障の点でも問題であり、人材確保の取り組みにさらに力を入れてもらいたい。
 アジアなどの新興国の経済成長で世界的な物流の増大が見込まれており、外航海運業は 成長産業と目されている。貿易量のほとんどを海上輸送に依存する日本にとって、海運の強化は成長に欠かせぬ重要テーマであり、国交省は重点整備する拠点港を選んで機能強化を図ることにしている。
 「選択と集中」による港湾整備に並行して強化してほしいのは、海運の将来不安を取り 除く政策である。国交省によると、ピーク時の1974年で約5万7千人だった日本人船員は、2008年で約2600人に減り、日本の海運会社が運航する船舶(日本商船隊)の船員約5万人のうちのわずか5%という状態である。
 また、最多時で1580隻(1972年)に上った日本籍船も98隻(08年)に激減 し、日本商船隊の全船舶の4%に過ぎない。日本商船隊の数量は世界トップクラスだが、コスト削減のため賃金や税金の安い外国人船員、外国籍船に取って代わられたのである。
 これは経済のグローバル化に伴う合理的な変化ともいえる。しかし、日本経済の成長、 安定が海運の安定にかかっていることを考えれば、邦人船員と日本籍船の減少に歯止めをかける必要があり、そのための企業、個人の負担軽減策を考えたい。長期間、居住地を離れる船員の住民税を下げるべきという提案も検討に値しよう。
 船員をめざす若者が少ないことも大きな課題であり、船員という職業の意義を含めた海 洋教育や広報活動の拡充を求める日本船主協会などの要望にも政府はこたえてもらいたい。

(屮゜Д゜)屮クレクレ新聞

ディーエヌエーとグリー、敵は景気回復?
 利用者がうなぎ登りの携帯電話ゲーム。「モバゲー」や「GREE」の広告をテレビで見かけない日はない。基本的には無料で楽しめるが、ゲームでより良い成績をあげるための有料「アイテム」販売に誘導する仕組みで、釣りざおや武器などの販売から得る利用料収入を増やし、業績拡大を続けている。ただ、死角はないのか。
 14日に開いた日本テレビ放送網の決算説明会で印象的な場面があった。「ネットとテレビの共存は可能。テレビのコマーシャルの力が大きいと認識していただいた結果だ」。こう述べたのは営業担当の弘中喜通取締役。ネットサービスは従来、ネット上での広告や口コミで会員を広げてきたが、最近の交流サイトの会員増加はテレビ広告がけん引している。
 ゲームが中心の交流サイトは、ディー・エヌ・エーの運営する「モバゲータウン」とグリーの運営する「GREE」が双へき。3月の会員数はそれぞれ1813万人と1843万人。1年前から35%、87%伸ばした。1カ月の増加幅は50~80万人程度で推移する。
 テレビ広告費を大量につぎ込んでも、それ以上の成果があがり、業績を拡大している。ディーエヌエーの1~3月期連結純利益は前年同期の3.4倍の48億円、グリーの単独税引き利益は2.3倍の30億円だった。
 では実際、携帯ゲームにお金を使っている人は誰なのか。ディエヌエーの内部データによると、高校生や大学生といった若年層が主力に思われるが、意外に30歳代の利用が多い。
 モバゲーの会員で30代以上の比率は30%。3月に1人当たりサイト閲覧数は30代以上が最も多く、10代、20代を上回った。昨年9月を100として指数化したところ、30代以上は約7倍サイトを見た計算で、10代の2倍強、20代の4倍弱を大幅に上回った。ディーエヌエーの南場智子社長は「我々もびっくり」と話す。
 グリーの業績拡大を支えたのも30代以上だ。会員全体に占める比率は43%に達する。テレビ広告にお笑いコンビのナインティナインを起用したのも、「所得が高い30代の会員比率を上げたい」(青柳直樹取締役)と考えてのことだ。
 30代の会員は、休日や帰宅後だけでなく、仕事の合間、電車を待つ間、子育ての間といった時間をゲームに費やす。余暇やすき間の時間だ。
 企業業績の回復が鮮明になってきている足元では、こうした時間が減り始めている兆候もある。厚生労働省が発表している勤労統計調査で、1~3月の所定外労働時間は前年同期を10%上回った。四半期ベースで前年同期を上回るのは2年ぶりのことだ。
 リーマン・ショック後の経済停滞期では「外での娯楽や飲食にお金を費やすよりは、携帯ゲームが安価な暇つぶしとして選好された」(バークレイズ・キャピタル証券の米島慶一アナリスト)側面もある。
 UBS証券の武田純人アナリストは「景気や消費の回復で可処分時間が減ることは、将来的な成長の阻害要因になりかねない」と指摘する。
 「景気が良い時期にどうなるかはまだ経験ないので」。グリーの青柳取締役は成長持続に自信を示しつつもこう話す。高成長は暇つぶしに支えられたものだったのか、それともゲームの力ゆえか。いまひとつはっきりしなかったこの投資上の問いに、答えのようなものが出てくる局面が近いのかもしれない。



セブンイレブン、ぴあと共同で無料誌
 セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン―イレブン・ジャパンはチケット販売最大手のぴあと共同で無料誌「7ぴあ」を6月7日に発刊する。イベントや映像・音楽ソフト関連情報のほか、セブン&アイグループのネット通販情報などを掲載し、全国の約1万3千店で合計50万部(1部64ページ)を配布する。
 セブン&アイとぴあは昨年12月に資本・業務提携した。セブンイレブンは6月1日から、ぴあが扱うチケットの店頭受け取り・支払いサービスを始めるのに合わせて無料誌を発刊する。10月以降は毎月刊行する方針だ。
 内容を全国5地区に分けて発行。これまで北海道・東北や中国・九州向けの情報誌がなかったぴあにとっても、情報発信エリアが広がる。コンビニエンスストアを利用する幅広い世代を意識し、第1号は人気アイドルグループ「AKB48」のほか、歌手の矢沢永吉さんらのインタビュー記事を載せる。
 セブンイレブンが無料誌を配布するのは初めて。初回の発行費用として数千万円を投入した。来店客が店頭の端末を利用してぴあのチケットを注文し、その場で受け取れるサービスは10月から実施する予定だ。



設備投資3年ぶり増加 10年度11%、製造業けん引
本社調査、新興国需要で海外中心に
 日本経済新聞社がまとめた2010年度の設備投資動向調査によると、全産業の当初計画は09年度実績比11.0%増え、3年ぶりのプラスに転じた。自動車や電気機器が新興国の需要増を見込み、海外を中心に投資を増やす。一方で小売業など内需型産業は落ち込みが続き、全産業の総額は金融危機以前の07年度実績の約8割の水準にとどまった。回復に向かった企業の投資マインドは欧州財政不安や円高で再び冷え始めており、11年度はマイナスに転じる可能性もある。
 集計の対象は回答のあった1721社から連結関係にある企業を除いた1472社。
 10年度の設備投資の総額は23兆3547億円。1973年の調査開始以来、過去最大の落ち込みとなった09年度実績(21兆332億円)から2兆3215億円増えたが、直近の5年間では下から2番目の低水準だった。
 業種別では製造業が17.3%増の12兆7969億円。製造業は17業種中、鉄鋼と造船、紙・パルプを除く14業種で09年度比プラスとなった。
 09年度実績が08年度比55.5%減と大きく落ち込んだトヨタ自動車の10年度は27.8%の増額。自動車では設備投資の海外シフトが鮮明だ。トヨタは09年度に32%だった海外投資比率を41%に引き上げる。中国で大型工場の建設に踏み切るホンダも50%から67%に増やす。
 今回の調査で海外での設備投資額を回答した818社の合計額は2兆2271億円に達し、09年度実績に比べ44.0%増加した。
 一方、非製造業の設備投資額は10兆5578億円で、同4.3%増の小幅な伸びにとどまった。
 次世代送配電網(スマートグリッド)関連の投資などを予定する電力が同17.7%増と大幅に伸びたが、大型店への投資を抑制するイオンが4割近く減らすなど、デフレ/下での消耗戦が続く小売業が14.3%減と全体を押し下げた。
 11年度の設備投資計画を回答した603社の投資総額は、10年度の当初計画に比べ3.7%減少した。欧州財政不安などで景気の先行きを不安視する企業が増えている。



「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策
 インターネットでどんなサイトを閲覧したかがすべて記録される。初めて訪れたサイトなのに「あなたにはこんな商品がおすすめ」と宣伝される――。そんなことを可能にする技術の利用に、総務省がゴーサインを出した。ネット接続業者(プロバイダー)側で、情報を丸ごと読み取る技術を広告に使う手法だ。だが、個人の行動記録が丸裸にされて本人の思わぬ形で流出してしまう危険もある。業者は今後、流出を防ぐ指針作りに入る。
 この技術は「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」。プロバイダーのコンピューター(サーバー)に専用の機械を接続し、利用者がサーバーとの間でやりとりする情報を読み取る。どんなサイトを閲覧し、何を買ったか、どんな言葉で検索をかけたかといった情報を分析し、利用者の趣味や志向に応じた広告を配信する。




3D映画「アリス」、「アバター」より早い100億円突破 国内興行
 4月17日に日本で公開された米3次元(3D)映画「アリス・イン・ワンダーランド」の興行収入が100億円を突破したことが日本映画製作者連盟の調べで分かった。公開から37日間での突破で、約50日かかった3D大作「アバター」(昨年12月公開)より早く大台を超えた。今年の公開作品の5月下旬時点で興収では、トップ3を3D作品が占めている。
 同連盟が5月23日時点の興収(10億円以上の作品)を集計したところ、アリス・イン・ワンダーランドは約101億円。今年の公開作品の中で2位につけた。1位はアバターで約153億円。3位は「カールじいさんの空飛ぶ家」(47億円)と米3D映画がトップ3を独占した。4位には日本のアニメ映画「ワンピース フィルム ストロングワールド」(44億円)が入った。
 米3D映画の人気を背景に、洋画の興収は約405億円と邦画を約120億円上回っている。3Dが洋画巻き返しの原動力になっている。
 3D人気の広がりを受け、シネマコンプレックス(複合映画館)大手ではワーナー・マイカルが今夏までに全スクリーンの2割に当たる100スクリーンを3D対応にするなど、劇場側の3Dシフトも急速に進んでいる。
 興収シェアで洋画は2008年から2年連続で邦画を下回っている。しかし年末にかけて洋画を中心に3Dの話題作が控えており、洋画の巻き返しが続く可能性が高い。



フジテレビ、CMにQRコード表示 クーポン券など配信
 フジテレビジョンはテレビ画面上にQRコードを表示するCMを6月に始める。カメラ付き携帯電話で読み取ると、携帯のインターネット機能を通じてクーポン券などを入手できる仕組み。QRコードは主に雑誌やポスターで使われているが、テレビCMでも消費者の購入意欲を喚起する効果があると判断した。
 第1弾として6月4日からフォーシーズ(東京・港)の宅配ピザ店「ピザーラ」のCMに活用。QRコードを読み取ると、2500円分のチケットが当たる抽選に参加できる。テレビ番組がプレゼントの応募などにQRコードを使う例はあるが、CMに使うのは珍しい。CM前に予告映像を2回流し、携帯電話の用意を促す。
 関東地方7都県で特定の番組に付けて流す「タイム広告」に使い、広告収入をテコ入れする。放送業界は広告収入が低迷しており、広告主をひきつける効果的な手法を探っている。QRコード付きのCMを使えば、広告主がクーポン券や抽選券を配布するコストを削減できる効果もある。



ルノー、韓国・双竜自動車を買収の意向
 【シンガポール=実森出】仏ルノーグループが経営破綻(はたん)した韓国の双竜自動車を買収する意向を明らかにしたと、韓国の朝鮮日報などが伝えた。
 双竜の売却手続きの主幹事を務める証券会社に買収意向書を提出したという。双竜を巡っては韓国メーカーのほか、インドの商用車大手マヒンドラ&マヒンドラなど計7社が買収の意向を示しているといい、最大で5億ドル(約450億円)の争奪戦に発展する可能性が出てきた。
 ルノーは韓国市場で現代、起亜自動車に次ぐ3位のシェア(市場占有率)を持つルノーサムスンを傘下に収めており、生産能力の増強を目指す狙いがあるという。買収に成功すれば、韓国の自動車業界の勢力図に影響を与える。ルノー・日産自動車は4月に独ダイムラーと包括的な資本・業務提携を結んでおり、規模拡大を目指している。
 双竜は韓国5位の自動車メーカーだったが、2008年の金融危機で販売不振に陥り、資金繰りが悪化した。昨年1月に日本の会社更生法に相当する「法定管理」手続きに入っていたが、経営譲渡先が見つかっておらず、清算の危機に追い込まれている。



原油流出は「オバマのカトリーナ」? 鈍い対応、支持率低下…奇妙な符合
 【ワシントン=渡辺浩生】南部メキシコ湾の原油流出事故が「オバマ大統領のカトリーナとなるのではないか」との見方が浮上している。深刻化する環境被害への対応が鈍いという批判を浴びていることが、2005年の大型ハリケーンへの初動の遅れから支持を失ったブッシュ前大統領を思い起こさせるという。
 「私は最終的にこの危機を解決する責任を負う」。オバマ大統領は28日、2度目となるルイジアナ州の流出現場の視察をした。
 4月20日の石油掘削基地の爆発事故以来、責任は採掘権を持つ英メジャー(国際石油資本)BPにあると言い続けてきた大統領。5週間が過ぎ突然、流出阻止と被害修復の先頭に立つと宣言した背景には、国民の信頼が急低下していることへの危機感がある。
 メキシコ湾を直撃した05年夏の大型ハリケーン「カトリーナ」では、救援活動の遅れを厳しく批判され、当時のブッシュ大統領は支持率を大きく落とし政権失速の契機となった。
 当時、大統領次席補佐官だったカール・ローブ氏は27日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルで、事故が連邦水域で起きたにもかかわらず、ホワイトハウスは当初「大統領からこの問題を遠ざけようとした」と指摘。「オバマのカトリーナとなるか、よりひどくなる可能性もある」とした。
 28日付英紙フィナンシャル・タイムズも、「『オバマのカトリーナ』になりうるところまで着々とエスカレートしている」とする解説記事を掲載した。
 オバマ氏が最初に現場を視察したのは発生12日後だった。「ブッシュ氏はカトリーナの後ニューオーリンズに行くのに4日間待って、民主党から批判された」とローブ氏は皮肉る。



トヨタの国内生産体制、黒字化しても迫られる再編成
 トヨタ自動車が今後5~6年で内外の生産体制を抜本的に見直す方針を打ち出し、波紋を広げている。
 5月11日に発表した2010年3月期決算では、赤字を見込んでいた連結営業損益が、2000億円のリコール対策費用を計上したうえで1475億円の黒字に。全損益項目で2年ぶりに黒字化した。コストの削減が想定を大きく超えたことに加え、資金調達環境の正常化で金融事業の利益が大きく改善した。
 だが、その陰で円高の逆風をもろに受けたトヨタ本体の業績は大きく沈んでいた。前々期に1879億円だった本体の営業赤字は3280億円に拡大。今期も赤字拡大の見通しで、国内の生産体制リストラは待ったなしの課題だ。
 現在国内で抱える生産能力は年390万台。09年度の国内生産は321万台で今期も同水準の見通しと、稼働率は8割強にとどまる。
 生産管理を指揮する新美篤志副社長は、「年産320万台は、稼働日1日当たりの生産にすると1万3000台。関係企業がどうにか黒字を保てるレベルで、これを何とか維持したい」と話す。
低稼働のラインを統合
 そのためには、稼働率の低いラインを休止し、統合することで生産効率を引き上げる必要があった。真っ先に対象となるのは、年産60万台の能力がありながら、09年(暦年)の生産実績が32万台にとどまった田原工場。それぞれ年産22万台の能力を持つ第1ラインと第2ラインを11年末までに統合し、フレーム構造のSUV(多目的スポーツ車)と、モノコック構造の乗用車が混流生産できるラインに改装する。浮いた人員は、ハイブリッド車・プリウスの生産が好調な堤工場などに配転する方針だ。「工場閉鎖や設備廃棄は考えていない。統合するラインは減価償却も進んでおり、休止してもカネはかからない」(新美副社長)。
 次の標的は、この春から休止している高岡工場第2ライン(年産22万台)だ。11年後半の再開を見込んでいたが、それを13年まで延期。もともと乗用車用のラインだが、大型車種まで生産が可能になるように大改装する。ラインの汎用性を増すことで、生産能力を絞り込みながら市場の変化に対応する構えだ。
 「グループ全体であと2、3本のラインを止める可能性があり、調整が必要」と新美副社長は語る。好況時に増産できる余地を残してはいるが、輸出は現地生産に置き換えるのが基本方針だ。国内は最大でも現状維持を前提とし、量の拡大は新興国に求める。取引関係の裾野が広いトヨタの決断は、日本の製造業全体に大きなインパクトを与えそうだ。



【産経主張】郵政採決強行 暴挙と言わざるを得ない
 こんな暴挙を許してはならない。与党が衆院総務委員会で郵政法案の採決を強行したことだ。
 与党は野党の了解を得ずに審議日程を決定し、実質審議をわずか1日、約6時間で切り上げた。小泉純一郎内閣が提出した郵政民営化法案の衆院審議に約110時間を要したことを考えると今回はあまりに短く、不十分だ。
 採決を急ぐ理由について、民主党の山岡賢次国会対策委員長は「決められた期間の中で、国民生活に直接かかわるものから優先して実現を図らなければならない」と説明しているが、国民生活にかかわると認識しているのであれば慎重な審議が必要だ。
 郵政法案の成立は国民新党が強く求めてきた。これに呼応して民主党の小沢一郎幹事長は全国郵便局長会の総会で今国会での成立を約束した。日本郵政グループ労働組合(JP労組)の期待も大きい。与党内には、参院選でこれらの郵政票をあてにする声が強いが、党利党略で採決を急いだのであれば本末転倒だ。
 「6月16日の会期末まで時間がない」というなら、会期延長を図って審議時間を確保すればいい話だ。これだけの重要法案を、なぜもっと早く審議入りしなかったのかとの疑問も残る。
 国会運営もさることながら、この法案はそもそも成立させること自体に疑義がある。
 郵貯と簡保への政府の関与を残し、「暗黙の政府保証」の下で預金や保険の受け入れ限度額を約2倍に引き上げる。これでは巨大郵貯がさらに肥大化することにつながりかねず、民業を圧迫して金融システムを歪(ゆが)める懸念が強い。民営化を通じて郵貯・簡保を縮小し、資金の流れを「官から民に変える」という郵政改革の本来の目的から大きく逆行する中身だ。
 政権内では郵貯マネーを原資に「国家ファンド」をつくって橋や道路などインフラ整備の資金に充てる構想も閣僚らから示されている。かつて郵貯マネーが財政投融資計画を通じて特殊法人に流れ、無駄な事業の温床になったことを想起させる内容だ。こうした構想も出ている以上、十分な審議がないのはなおさら問題だ。
 与党は週明けにも衆院本会議を通過させる構えをみせている。問題点だらけの法案が疑問点をなにも解決されぬまま成立しては、将来に禍根を残す。野党・自民党は存在意義が問われている。

(゜Д゜ノ)ノェェ新聞

ソニー新情報端末発売へ 対iPad、携帯・ゲーム機能
 ソニーが、携帯電話やゲーム機などの機能を持つ新型情報端末を、日本を含む世界各地で今年度中に発売する方向で検討していることが分かった。タブレット(平板)型など複数の新製品を投入する見込みで、米アップルの多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や、タブレット型の「iPad(アイパッド)」に対抗する。
 ソニーは、携帯ゲーム機「プレイステーションポータブル」、多機能携帯電話「エクスペリア」、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」など様々な機器を持つ。地域のニーズに応じて、これらの機能を組み合わせたさまざまな小型端末を投入する考えだ。
 基本ソフトには、20日に提携を発表した米グーグル製の「アンドロイド」を採用する方針。ソニーが4月から米国で展開するコンテンツ配信サービスを、新端末向けに来年から日本でも始める。映画やゲームなどが対象になりそうだ。



次世代 Apple TVは iPhone OSベース、予価99ドル
 先日の Google TV プラットフォーム発表では Atom + Android + Chromeでテレビに挑む Googleの計画が明らかになったが、そういえば3年前も前から「社名+TV」製品を売っていたアップルも着々と次の手を打っているようだ。複数の情報提供者から得た証言によると、新 Apple TV は少量のフラッシュメモリのみを内蔵しストリーミング再生を主とするクラウドストレージ製品となり、OS には iPhone OSを採用するとのこと。
 ハードウェアアーキテクチャは iPhone や iPod touch、iPad とほぼ共通しており、プロセッサには iPad や 次世代 iPhone と同じApple A4を採用します。携帯電話とおなじファミリのSoCながら、メディア再生は1080p HD動画にも対応。またハードディスクのかわりに16GBフラッシュメモリのみを採用すること、ポート類は電源とHDMI出力 (+ USB?) 程度しか備えないことから、本体は非常に小型になるとされる。情報提供者の表現では、新 Apple TVは「画面のない iPhone」。Time Capsuleを外部ストレージとして利用することもできるものの、基本はストリーミングの「クラウドストレージ」製品です。ソフトウェアについては iPhone OS ベースであるほか具体的な情報はありませんが、iPhone / iPad アプリを大画面と非タッチインターフェース (リモコン?) にカスタマイズしたアプリの App Store展開も容易に想像できる。
 もっとも注目なのは、新 Apple TV の予価が99ドルとされていること。現行のApple TV はインテルCPU + NVIDIA GPU + HDDというPCに近い構成をとっており、次世代 Apple TVが心臓部は1チップ+小容量フラッシュメモリの iPhone 構成 (からマルチタッチディスプレイやバッテリーを抜いたもの) であれば低コスト化は当然としても、99ドルはやはり驚くべき価格です。モバイル製品のOS をテレビ攻略に持ち込む点で共通するライバル Google TV との大画面争いがいまから期待される。またテレビ版 App Store に大量のサードパーティーアプリが供給されるようになれば、ある意味でアップルの据え置きゲーム機と捉えることもできるかもしれない。情報提供者によれば次世代 Apple TV はまだ開発段階にあり、新 iPhone が主役となるWWDC では発表の予定なし。



Xperiaにフリック入力対応アップデート、ただし誤配信
 28日の夕方ごろ、Xperia SO-01Bになぞのアップデートが配信されていた。自動配信ではなく、設定画面「ソフトウェア更新」を選択することでアップデートできるというもの。アップデートの適用によりPOBox Touchでフリック入力が可能になります。Simeji、OpenWnnフリック入力対応版など代替案があるとはいえ、Xperiaが誇る独自入力アプリの進化は大歓迎だ。動作も高速で、快適です。
 しかしITmediaの記事によれば、このアップデートはドコモの誤配信でした。アップデート配信後も同社からの正式発表がないためフライングの気配はありましたが、実際は「近日中に公開予定だったソフトウェアを誤って配信してしまった。ソフトウェアは最終版でない可能性がある」とのこと。現在、アップデートは配信されていません。ともあれ「近日中に」こんなかんじのアップデートが配信されることは確認されました。今後Android 2.1 / 2.2の早期誤配信を夢見て、定期的に「ソフトウェア更新」を押す人が増えそうだ。



iPadの競合製品発売 中国大手、アップルに対抗
 中国の電子書籍端末大手、漢王科技は29日までに、米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」に似た新製品「TouchPad(タッチパッド)」を発売した。
 中国では約10年前、中国企業がアイパッドの商標を国内で登録しており、アップルは商標権の買い取り交渉を続けている。今回、競合製品が登場したことで、中国市場へのiPad投入をめぐり、一段と難しい判断を迫られそうだ。
 漢王は漢字の手書き入力を得意とし、電子書籍端末メーカーとして中国で高いシェアを持つ。タッチパッドは米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」や米半導体大手インテルのCPU(中央演算処理装置)を搭載、画面に触れて操作する。
 漢王の劉迎建会長は「われわれの製品がビジネス用なら、iPadは玩具だ」と話している。



スペイン国債の長期格付け、1段階引き下げ
 【ニューヨーク=池松洋】欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは28日、スペイン国債の長期格付けを「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げると発表した。
 信用不安を回避するため、大幅な債務削減策を進めることで、経済成長が押し下げられる可能性があるとした。ただ、見通しは「安定的」とした。
 スペイン議会は27日に、公務員の給与削減を軸とする財政赤字の削減策を承認したが、こうした緊縮財政が中期的にスペインの経済成長を押し下げる可能性があると分析している。



グローバル・マーケット・サーベイ◇リスク回避一巡で反発、くすぶる資金調達不安(10/5/29)
 今週(24~28日)の世界の株式相場は、欧州経済への先行き不安は行き過ぎとの見方から主要20市場のうち17市場で株価指数が上昇した。欧州の債務悪化を背景としたユーロ安が一巡。「売り疲れ」感も出始め、投資家のリスク回避姿勢がやや後退した。ただ、28日にフィッチ・レーティングスがスペイン国債を格下げし、債務悪化問題の「伝染リスク」はくすぶる。先行き不安は晴れない。
 株価上昇率が高かったのは、ロシア、南アフリカ、豪州などの資源国。今週は原油先物相場が堅調に推移し、資源大手株に買い戻しが広がった。「豪政府が鉱山会社に対する資源超過利潤税を見直す可能性がある」との現地メディアの報道も好感された。豪英資源大手BHPビリトンが大きく上昇するなど、資源関連株が大きく上昇。資源株の影響を受けやすい英国の株価上昇率は先進国の中でも割と高かった。
 投資家のユーロ離れに対する警戒感がやわらいだのも上昇を後押しした。英紙フィナンシャル・タイムズは「中国が外貨準備の運用で欧州への投資を減らす」と報じたが、中国当局はこれを否定。ロシアやクウェートなども欧州圏への投資を継続するとの意向を表明し、欧州経済への過度な不安心理は薄らぎつつある。
 ただ、欧州の債務問題に関する懸念が消えた訳ではない。フィッチによるスペイン国債の格下げを受け、政府債務の信認危機がギリシャにとどまらなくなるリスクも出ている。スペイン中銀は貯蓄銀行のカハスールを公的管理とし、大手銀行のバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)なども短期金融市場での資金調達に影響が出始めている。
 3カ月物のドルロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は28日にようやく上昇が一服。今後は「米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)などの米ドルスワップ協定が利用されるようになり、調達コストは上限に達しつつある」(米バンク・オブ・アメリカ―メリルリンチ)とみられるが、調達環境の緩和にはほど遠い。スペインIBEX35指数の戻りは鈍く、問題の根深さがうかがえる。ドイツでも中堅金融機関の調達コストが上昇する気配があり、先行きに予断を許さない。
 来週(5月31日~6月4日)は主要イベントが週末に集中する。4日発表の5月の米雇用統計や4~5日に韓国・釜山で開く20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が注目だ。G20では、金融規制改革や欧州の債務危機問題が議題にのぼるとみられ、要人発言には注意が必要だ。FRBが利上げ時期を先送りするとの見方も増えており、金融緩和の長期化が株式相場を下支えするが、欧州の債務問題で悪材料が出れば再びユーロ安が進みかねず、投資家のリスク許容度は安定しそうにない。



グーグル、「第3のスクリーン」を狙う(COLUMN)
 米グーグルは5月20日、ソニーなどと提携し、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したテレビを開発すると発表した。ネット上の様々なサービスがテレビで利用できるというもので、グーグルはアンドロイドとウェブブラウザー「グーグルクローム(Google Chrome)」を統合したソフトウエア基盤「グーグルTV(Google TV)」を提供する。
パートナーはハードウエアから流通まで
 グーグルが選んだパートナー企業はソニーのほか、半導体大手の米インテル、周辺機器メーカーであるスイスのロジテック、衛星テレビの米ディッシュネットワーク、動画再生技術を持つ米アドビシステムズ、家電小売大手の米ベストバイ。
 ソニーが今秋にグーグルTVを組み込んだネットテレビとブルーレイディスクレコーダーを米国で発売するほか、ロジテックが既存のテレビでグーグルTVを利用できるようにするセットトップボックスを発売する。
 いずれの機器にもインテルが「アトム(Atom)」プロセッサーを供給する。またロジテックは、キーボードを備えるリモコンやグーグルTVを操作できるスマートフォン用アプリも開発する。
 これらの機器をベストバイが全米展開で販売するというわけだ。ユーザーは番組やウェブを検索して、好みのコンテンツを大画面で楽しめるようになる。
 また、写真のスライドショー、音楽再生、ゲームの利用も可能という。米アップルが「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」で提供しているアプリの仕組みも用意する。
 ハードウエア、ソフトウエア、コンテンツ、流通チャネルと多分野の企業と提携し、次世代テレビの市場に挑む。グーグルにとっては、パソコン、スマートフォンに次ぐ第3のスクリーンを狙うことになる。
 ソニーとは携帯端末の開発でも連携するとしており、アイパッドなどが好調なアップルに対抗する狙いもあると言われている。
失敗に終わった「ウェブTV」と「アップルTV」
 ただ、ネットとテレビをつなげるという試みは新しいものではない。しかもこれまで、ことごとく失敗に終わっている。
 米マイクロソフトが1990年代に「ウェブTV」という、テレビとネットの融合を図ったサービスを提供していたが成功しなかった。
 アップルは2007年に、映画やテレビ番組をダウンロード購入して家庭のテレビで視聴できる「アップルTV」を始めたが、これもあまり売れず、同社スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の道楽事業だったと言われている。
 このほかにも映像コンテンツのストリーミングなど様々なものがあるが、いずれもテレビに接続するセットトップボックスを利用するという点で共通している。しかしセットトップボックスを使った新サービスは米国の消費者にはあまり受け入れられないと米ニューヨーク・タイムズの記事は指摘じている。
 米国ではケーブルテレビが普及しており、既に多くの家庭にセットトップボックスがある。消費者にはテレビにもう1台機器をつなぐ動機がないのだという。
 また本体だけでインターネットに接続できるテレビも普及しているが、その機能を利用している人はあまりいない。消費者がテレビを購入する際に重視するのは画面サイズとデザインだけで、ネット機能はテレビ選びのきっかけにはなっていないという。
アンドロイドの成功事例をテレビに生かす
 ただ、グーグルがマイクロソフトやアップルの失敗から何かを学んでおり、もしこの試みが成功すれば、ケーブルテレビ事業者の脅威になるとニューヨーク・タイムズの記事は伝えている。人々はウェブのコンテンツを楽しむようになり、ケーブルテレビのオンデマンドサービスから遠ざかることになるという。
 そうした状況をうまくつくり出せれば、グーグルはテレビ向けのネット広告市場を構築できるようになる。パソコンで成功した手法を踏襲できるというわけだ。
 またアンドロイドもグーグルの強みになっている。テレビメーカーでもある韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスがスマートフォンでアンドロイドを採用しており、グーグルにとってはこうしたメーカーへの働きかけが容易になると見られている。
 米ウォールストリート・ジャーナルは、テクノロジーが進歩したこと、消費者の好みが変化していることを考えると、今回のグーグルの試みはこれまでとは違った展開になるかもしれないと報じている。
 アンドロイドのさらなる普及を図るグーグル。しかし次に狙うのは、いまだ誰も成功していないテレビの領域。今度こそテレビとネットの融合は起こるのだろうか?



神戸新聞社説
米倉経団連/共感できる成長戦略描け 
 日本経団連はきのうの総会で、住友化学会長の米倉弘昌氏を新会長に選んだ。2期4年の任期を務めた御手洗(みたらい)冨士夫会長(キヤノン会長)の後任だ。
 景気は回復基調にあるとはいえ、デフレの谷は深い。雇用情勢は厳しく、家計は冷え込む。民主党を中心とする政権は迷走を続けている。日本経済を確かな成長路線に導くのは容易なことではない。
 課題山積の船出だが、米倉氏は「民間活力による日本経済の再生・復活に全力を挙げる」と述べた。その旗をしっかり掲げ、難局を乗り切ってもらいたい。
 御手洗経団連は、世界的な金融危機や政権交代という激動に翻弄(ほんろう)されてきた。
 世界同時不況のダメージは大きかったが、ピンチを逆手に日本経済の輸出依存構造を変える絶好の機会という見方もあった。手薄だった環境や医療、教育などで需要を生み出す。新機軸が経団連には期待されたが、そうした面で御手洗氏が十分な指導力を発揮できたとは言い難い。
 政治との関係では、御手洗氏は安倍内閣時代に経済財政諮問会議のメンバーとして政策づくりにかかわるなど、自公政権とのパイプが太かった。法人税減税や労働規制の緩和といった新自由主義路線の側面が強く、政権交代後、政治との関係はぎくしゃくしたものになった。
 だが、いくら民主党政権と政策面でずれがあったとしても、政治と経済の連携は欠かせない。
 今年3月、経団連は企業・団体献金への関与の取りやめを決めた。今後は資金力で政治に働き掛けるより、経済界ならではの政策を通じた「対話」が大切になる。
 新体制に期待したいのは温暖化対策である。温室効果ガス25%削減の国際公約に対して経済界はこれまで否定的な考えだった。しかし副会長に就いた坂根正弘氏(コマツ会長)は「すべての業界が省エネ効率世界一を宣言しよう」と前向きな提案を続けている。温暖化対策のような、時代の課題に正面から向き合う姿勢が求められる。
 米倉氏は「経済活性化が一番重要。攻めの経営に転じるべきだ。政治に依存しない形の民間だけの経済成長戦略を描きたい」と述べ、国民に理解しやすいメッセージを発信する考えだ。
 幅広い共感を得るという、新しい経団連を築くことができるか。経済も政治も先行きが不透明だからこそ、「財界総理」として存在感を示してもらいたい。

( ´゜д゜`)英字新聞

How should Japan boost competitiveness?
What can Japan do to find a way out of the stalling economy and boost its international competitiveness? The Economy, Trade and Industry Ministry has come up with a review of the nation's industrial policy.
The review refers to the ministry's "Industrial Structure Vision," which serves as a guideline for the nation's economic revitalization. The government hopes to make this a major pillar of the new growth strategy that it plans to decide on in June.
As such countries as China and South Korea are quickly catching up with Japan, Japan's international competitiveness is on the decline.
With the declining population at home, economic expansion will be limited if the nation relies too much on domestic demand. On the other hand, Japanese companies are accelerating their transfer of production abroad, raising the fear of a hollowing out of domestic industries. This sense of alarm underlies the ministry's vision.
The Yomiuri Shimbun made an emergency proposal in early May, calling on the government to advance bold policies for the nation's economic reconstruction. The ministry's vision contains many points that overlap with those contained in the proposal. Both are probably aiming at similar targets.
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5% tax cut in works
It is noteworthy that the administration of Prime Minister Yukio Hatoyama has for the first time made clear its intention to lower the effective corporate tax rate by about 5 percent in the next fiscal year and lower it further to a range of 25 percent to 30 percent in the future.
Compared with corporate tax rates of about 30 percent in European countries and 25 percent or less in other Asian countries, Japan's effective corporate tax rate of 40.69 percent is strikingly high.
Such heavy tax burdens deprive Japanese businesses of their corporate vitality, causing them to curb capital investment and reducing their international competitiveness.
Many foreign companies are apparently reluctant to advance into the Japanese market because of the high corporate tax rate, which might partly explain the sluggish foreign investment in Japan.
The Yomiuri Shimbun has proposed that the corporate tax rate be lowered to a range of between 20 and 30 percent. The government should accelerate internal discussion and slash the corporate tax at the earliest possible time.
The ministry's vision also points out the need to reinforce the framework of public-private cooperation in promoting the export of such infrastructure-related technologies as nuclear power generation systems and high-speed railways to other Asian countries or elsewhere.
We can expect great demand for social infrastructure abroad, involving a large sum of money. It is important for the government to adopt a strategy to pursue the benefits of expansion in both domestic and foreign demand.
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'All Japan' system needed
Nevertheless, the international competition with countries in Europe, the United States and such Asian rivals as South Korea is fierce. For Japan--which has lagged behind these rivals in the export of infrastructure-related systems--to win the market competition, it has to establish an "All Japan" system and promote comprehensive support for the projects. Such support should range from the provision of funds to after-sales services, with the prime minister and concerned ministers showing diplomatic leadership.
The ministry's vision also includes the reinforcement of five strategic areas such as the development of next-generation vehicles, as well as the expansion of the economic partnership accords with other countries.
The government needs to tackle all these measures expeditiously to boost Japan's competitiveness in the international market. Japanese businesses should not lose business projects despite having superior technological prowess.
Yet the mere presentation of the vision without its realization would be of no practical use.
Because the vision may conflict with similar growth strategies being advocated by other ministries including the Land, Infrastructure, Transport and Tourism Ministry, the government must coordinate these views and clearly prioritize policies.
The speed with which these policies are carried out will be a test for the political leadership in the days ahead.

( ´゜д゜`)新聞

アップル・MS 時価総額の逆転が映す構造変化
 米アップルが株式時価総額で米マイクロソフト(MS)を逆転し、世界で最も価値の高いIT(情報技術)会社の座についた。1990年代後半の瀕死(ひんし)の状態からの鮮やかな復活劇。IT需要のけん引役が企業から消費者に移り、技術そのものよりビジネスモデル全体で競うルールの台頭が主役交代を促した。
iPad発売に1200人の行列
 5月28日、朝8時前の東京・銀座。アップル直営店に1200人の行列ができた。発売される多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」をいち早く手に入れようという人たちだ。「アップルさん、歩道をあけてください。110番に苦情が入っています」。警視庁のワゴン車がスピーカーで怒鳴る。
 「10、9、8……3、2、1。ウオー」。開店を知らせるカウントダウンを合図に、店の入り口付近から拍手と歓声が沸く。行列の先頭の人たちから順番に店内に案内される。「iPad、いよいよ日本上陸です」。女性アナウンサーがテレビカメラに向かって宣言した。
 アップルの勢いを示す出来事は米国時間の26日に起きた。終値ベースの時価総額が2213億ドル(19兆9千億円)となり、2193億ドルのマイクロソフトを上回ったのだ。マイクロソフトは90年代後半からほぼ一貫してIT分野での時価総額トップを守ってきた。インターネット検索最大手グーグルの攻勢にさらされながらも明け渡さなかったナンバーワンの地位をアップルがもぎ取った。世界のメディアが速報した。
かみついたバルマー氏
 真っ先にかみついたのはマイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)だ。出張先のインドで記者団に言い切った。「われわれほど収益性の高いIT会社はこの世に存在しない」
 その主張は間違っていない。2010年1~3月期の純利益は40億ドル。同じ期にアップルが稼いだ額より3割多い。手元資金も400億ドルとアップルの1.7倍だ。 とすれば時価総額の逆転はアップルの将来性が評価された結果となるが、ここでカギを握るのは、企業に代わって消費者がIT市場の拡大を引っ張るという構造変化だ。
 動画共有のユーチューブ、交流サイトのフェースブック、ミニブログのツイッター。2000年のITバブル崩壊後に生まれ、世界の注目を集める米シリコンバレーの企業群は、いずれも消費者がターゲットだ。収益基盤の確立は道半ばだが、IT人口のすそ野を広げ、IT利用の新たなトレンドを作り出しているのは間違いない。
世界で爆発するネット人口
 調査会社によると、世界のネット利用者は16億人を超し、全体の4分の1に及ぶ。中国など新興国の経済成長で今後もネット人口は爆発的に増える。IT市場での発言力を強める消費者の支持を得られるか。ブランドは魅力的か。こうした点をIT企業は無視できなくなる。
 そんな「消費者の時代」の先頭を走るのがアップルだ。パソコン市場でマイクロソフトに完敗、極度の経営不振に陥り同社の資金支援を受けたのは1997年。失うものはないとばかりにアップルは創業者のスティーブ・ジョブズCEOのもと、消費者に狙いを定めた戦略に着手する。2001年の携帯音楽プレーヤー「iPod」の発売以降、デジタル娯楽のビジネス基盤を着々と築いてきた。
 スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」、iPadとヒット商品が続くが、偶然と片付けられない。デジタル娯楽という軸は全くぶれず、むしろ手堅い経営で事業を広げてきたといえる。アップル製品を使ってユーチューブやツイッターを利用する人も多い。IT消費者の急増で吹き始めた追い風を一身に受けているのが今のアップルの姿だ。
 では、マイクロソフトはどうか。
切れ味を欠いた娯楽部門
 iPad発売から2時間半後、東京・六本木。マイクロソフト日本法人はワープロや表計算に使う「オフィス2010」など業務用ソフトの説明会を開いた。オフィスはパソコン用基本ソフト「ウィンドウズ」と並ぶ看板商品。世界で5億人が利用する。「皆様の会社の競争力向上に必ず貢献できると思っている」。あいさつに立った樋口泰行社長はダークスーツにネクタイ姿で深々と頭を下げた。
 企業向けビジネスで大きな存在感を示す一方、ゲーム機やスマートフォン関連など娯楽部門は切れ味を欠く。1~3月期の部門の営業利益はウィンドウズの19分の1。25日には部門責任者が退任する体制見直しを発表した。
 かつてマイクロソフトはIT盟主の座を米IBMから奪った。大型汎用機からパソコンへとコンピューターの大きさは劇的に変わったが、主な顧客が企業という点では「ビジネスマシン」の域を出なかったといえる。ポスト・パソコンの時代を迎えてもアップルに対抗できるスマートフォンなどが十分にそろわない。消費者ビジネスでの巧拙が株式市場での評価に表れた。
消費者の心くすぐる仕組み
 企業向け製品では高機能や安さが重視されるのに対し、消費者向けではデザインや使いやすさが商品力を左右する。ハード、ソフト、サービスをすべて1社で手掛けるアップル方式は、分業が進んできたIT業界では一見、非効率。だが、消費者の心をくすぐる微妙な味付けや、仕組み作りで威力を発揮する。
 マイクロソフトのバルマー氏はことあるごとに世界最大規模の研究開発費を自慢する。1~3月期は22億ドルと売上高の15%を投じた。アップルは4億ドルと売り上げの3%にすぎない。しかしIT会社といえども、研究開発費として計上されるような従来型の技術力だけでは競争力は決まらなくなった。マイクロソフトの悩みは深いかもしれない。
 アップルに時価総額首位を奪われた現実をマイクロソフトはどう受けとめているのか。説明会の終了時に尋ねると、樋口氏はしばらく考えてから、こう答えた。
 「われわれは企業向け、消費者向けと幅広くビジネスをしている。両方でこれだけ成功している会社はあまりない。消費者向け一点に絞ったところとも戦い続ける。瞬間的に(アップルへの)期待が高まっていると思うが、われわれはやるべきことを粛々とやるだけだ」



2030年のGDP 中国が首位、日本の4倍に
世界の23%、米抜く 内閣府予想
 内閣府は28日公表した「世界経済の潮流」の中で、世界の国内総生産(GDP)の8.3%を占める中国のシェアが2030年には23.9%に拡大するとの試算を示した。労働力人口の減少が深刻な日本は8.8%から5.8%に低下、米国は24.9%から17.0%になる。中国は日本の4倍の経済国となり、米国を抜いて世界一の座を占める。
 試算は人口の増減や高齢化などを反映した将来の潜在成長率見通しをもとに、世界の中でのシェアを推計したもの。
 2000年代に平均10.0%だった中国の成長率は10年代は9.1%、20年代は7.9%になる。20年代に労働力人口が減少に転じることで鈍化するものの、他の主要国に比べて高い成長が続く。インドも成長率は現在の7.2%から20年代に5.7%に減速するが、GDPシェアは2.2%から4%に上がる。
 日本の成長率は2000年代の平均1.4%から20年代に0.4%に低下。米国も2.4%から1.6%に減速する。この結果、09年時点のGDPは大きい順に「米、日、中、独」だが、30年は「中、米、日、印」という並びになる。また世界経済に占めるアジアの割合は現在の4分の1から30年には4割まで高まる見通しだ。
 先進国の経済が伸び悩む中で、今後のアジアは「世界の工場」から「世界の市場」に生まれかわる必要があると報告書は指摘した。
 今までアジアの成長は先進国向けの輸出で伸びてきたが、今後は域内でモノを貿易しあう構造にしていく必要があるとしている。
 東アジア諸国でも比較的早く発展を遂げた国々は、人口減少で中印以上にブレーキがかかる見通し。台湾や韓国も成長減速そのものは免れられない。人口減少で先陣を切る日本は新時代のモデルづくりを迫られる。
 アジア各国にも、日本と同様の急速な高齢化が控えている。一方で年金や医療など社会保障の整備は遅れ気味。公的年金について経済協力開発機構(OECD)加盟各国は労働力人口の83.3%をカバーしているが、中国は20.5%、インドは9.1%しか対象となっていないという。



日本企業の税負担率突出 成長の足かせに
09年度49%、米英独の20~30%台を上回る
 国際的に見た日本企業の税負担の重さが改めて浮き彫りになっている。2009年度の日本の主要企業の税引き前利益に占める税負担額の割合は49%と、米国や英国、ドイツ企業の20~30%台を上回った。法人税などの法定実効税率が高いことが主因だ。世界では台湾が法人税率を25%から17%にするなど引き下げ競争が加速している。高負担は日本企業の成長の足かせとなりそうだ。
 日本経済新聞社が日経株価指数300の構成企業(銀行・証券・保険除く)を対象に、09年度連結決算を集計した。法人税、事業税、住民税などの企業の税負担額を、税引き前利益で割って会計上の税負担率をはじくと49.1%に達した。
 情報会社トムソン・ロイターの調べで、海外主要企業の09年度連結決算から同様の比率を求めると、米国(S&P500ベース)が29.9%、独(DAX30)が34.4%、英国(FTSE100)が36.0%。日本の比率はもっとも高かった。
 日本では国税、地方税を合わせて現在、世界最高水準の40.7%の法定実効税率がかかる。米国は約40%、英国は28%、ドイツは約29%で、日本企業の会計上の税負担比率が高止まりする原因になっている。
 有力企業の比較でも、ホンダの43.7%に対し独フォルクスワーゲンは27.7%にとどまるなど日本勢の高負担は鮮明。韓国勢は法定税率が24.2%と低く、サムスン電子が18.6%、鉄鋼大手ポスコが14.3%など税負担率も低い。
 世界の製薬大手などはシンガポールなどの低税率国の優遇税制を活用、税負担率を低く抑えている。こうした戦略でも米欧勢が先行、世界最大手の米ファイザーの税負担率は20.3%と武田薬品工業の27.8%をさらに下回る。米企業全体では税負担率は法定実効税率を10ポイント程度下回る。
 法定税率の差だけではない。新日本製鉄、JFEホールディングスの固定資産税の負担は200億~300億円に上った一方、「韓国の有力鉄鋼メーカーは固定資産税などがきわめて軽い」(日本鉄鋼連盟)という。「せめて競争条件は平等にしてほしい」(宗岡正二・新日鉄社長)との声も出ている。
 税負担は資金流出を招き、投資余力の差に直結する。ソニーの税負担率(過去5年平均)は46.5%と、サムスンの同16.2%を上回る。仮に韓国並みの法定税率なら、過去5年で約1800億円の余力が発生したと試算できる。サムスンは10年に約2兆円(約26兆ウォン)を設備投資と研究開発に投じる計画。ソニーの10年度はその3分の1の水準にとどまる。



性描写規制の改正案「否決」 都議会民主党が表明
 子どもを性行為の対象にした漫画やアニメを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、都議会最大会派の民主党は28日、都が撤回しなければ6月の定例議会で否決するとの意向を表明した。
 石原慎太郎知事はこれまで、改正案で規制範囲とされる18歳未満の登場人物「非実在青少年」の概念が分かりにくいため修正すべきだと発言。しかし、28日の記者会見で「撤回する必要はない」と明言した。
 民主党と生活者ネットワークは同日、「提出者自らが不備を認める議案は撤回し、あらためて責任の持てる案を提出すべきだ」と石原知事に文書で求めた。
 独自の修正案を提出しても自民や公明の賛同が得られないと判断しており、都議会民主党の大沢昇幹事長は「いったん更地にして議会と議論した方が最善の条例をつくる近道だ」としている。



電書協、iPad向け電子書籍の閲覧ソフトを今秋公開
 出版社31社が参加する「日本電子書籍出版社協会」(代表・野間省伸講談社副社長)は28日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けに電子書籍の閲覧ソフトを今秋に公開すると発表した。先行して、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けを6月上旬に公開する。
 ソフト自体は無料で、協会が運営する販売サイト「電子文庫パブリ」で提供する1万点近い電子書籍を購入、閲覧できる。講談社が電子版を提供する京極夏彦氏の新作ミステリー小説「死ねばいいのに」も、同サイトから購入可能。



書店で電子書籍をダウンロード 東京都書店商業組合など
 東京都内の書店で構成する東京都書店商業組合(東京・千代田)と携帯電話向けソフト開発のACCESSは28日、書店店頭で来店客に電子書籍を提供するサービスを共同で始めた。非接触IC技術「FeliCa(フェリカ)」に対応したデジタルサイネージ(電子看板)を書店に設置。来店客が携帯電話で書籍の試し読みデータなどを取得できるようにした。
 第1弾として大手書店の有隣堂(横浜市)のアトレ恵比寿店(東京・渋谷)で開始した。書籍広告を表示したデジタルサイネージに来店者が携帯電話をかざすと、同組合の電子書籍販売サイトにアクセスでき、広告で表示された書籍の試し読みデータや有料コンテンツをダウンロードできる。
 今年7月までに新たに都内3カ所の書店でサービスを始める。紙の書籍に加え電子書籍を扱うことで、書店の魅力を高めたい考えだ。



アップルなどの生産委託企業、中国で基本給20%上げ
台湾・鴻海、従業員自殺で信頼回復狙う?
 EMS(電子製品の製造受託サービス)世界首位で、中国での従業員連続自殺問題で揺れる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は28日、中国各地の工場で働く現場従業員の基本給を近く、平均20%引き上げることを明らかにした。信頼回復策の一環とみられるが、ソニーや任天堂、米アップルなど生産委託企業のコストが上昇する要因になる可能性もある。
 鴻海傘下の富士康科技(フォックスコン)は主力生産拠点である広東省深セン市で約45万人の従業員を抱えており、中国全土の従業員は80万人超に達する。
 連続自殺が問題になった深セン市の経済特区外にある主力工場での基本給は現在、最低賃金と同じ月900元(約1万2000円)。同社は近くこれを22%引き上げ月1100元にする。中国各地の工場でも同様に賃金を引き上げるとしている。
 富士康の深セン工場では今年、従業員の自殺が相次ぎ、中国メディアは労務管理などを問題視する報道を繰り返していた。鴻海の郭台銘董事長は26日、深セン工場を初めて内外のメディアに公開し記者会見したが、その夜に12件めの自殺が発生。27日にも従業員が手首を切って自殺を図ったことが明らかになった。



普天間日米合意 混乱の責任は鳩山首相にある(5月29日付・読売社説)
 日本政治と日米関係を混乱させた末、「国民との約束」を簡単に破る。一応謝罪はするが、責任はとらない。これが鳩山首相の本質だろう。
 日米両政府は、米軍普天間飛行場の移設先を沖縄県名護市辺野古周辺と明示した共同声明を発表した。日米合意に反対し、閣議での政府対処方針への署名を拒否した社民党党首の福島消費者相を、鳩山首相は罷免した。
 連立与党の一角を担う党首とはいえ、政府方針に同意しない以上、罷免は当然である。
 ◆福島氏罷免は当然だ◆
 鳩山政権が、展望のない県外移設を断念し、辺野古沿岸部に代替施設を建設する現行計画にほぼ回帰したのは、現実的判断だ。
 だが、方針転換がいかにも遅すぎた。昨年までは現行計画を容認していた地元が反対に転じており、実現のハードルは高い。辺野古移設は迷走の末、元に戻ったというより、政権発足前より悪い状況に陥ったにすぎない。
 政府は、日米合意の実現に向けて、沖縄県や名護市の説得に全力を挙げるべきである。
 共同声明は、沖縄の負担軽減策として、米軍訓練の分散移転や、自衛隊と米軍による米軍施設の共同使用など8項目を掲げた。
 ただ、その多くは、代替施設建設の進展に応じて「検討」するとされているだけだ。負担軽減がどの程度実現するかは不透明だ。
 政府は当初、県内移設に反対する社民党に配慮し、日米の共同声明にある移設先の「辺野古」を、対処方針には明示しない方向で調整していた。だが、福島党首の罷免に伴い、対処方針にも「辺野古」を明記した。
 「二重基準」をとらなかったのは当然のことだ。民主党には、社民党が政権を離脱し、参院選での選挙協力ができなくなる事態を避けたい思惑がある。だが、選挙目当てで、安全保障にかかわる問題をあいまいにすべきではない。
 社民党は、「日米安保条約は平和友好条約に転換させる」「自衛隊は違憲状態」との見解を維持している。そもそも、民主党が、基本政策の異なる政党と連立を組んだこと自体に無理があった。
 鳩山首相自身が、「常時駐留なき安保」を持論とし、“米国離れ”志向を見せていたことも、混乱を招く一因となった。
 ◆社民との連立解消を◆
 社民党は、県内移設に反対するばかりで、実現可能な対案を出さなかった。普天間問題の迷走への責任は免れない。
 社民党との連立が続く限り、外交・安保政策をめぐり、対立が繰り返されるだろう。首相は、この際、社民党との連立解消をためらうべきではあるまい。
 首相は、問題決着に「5月末」の期限を自ら設けた。それまでに沖縄県、移設先の自治体、米国、連立与党の同意を得ると「大風呂敷」を広げたうえ、最近まで「職を賭す」などと言い続けた。
 ところが、実際は、米国との合意を得ただけで、沖縄も移設先も社民党も反対している現状は、これらの発言を裏切るものだ。
 政府の最高責任者が「国民との約束」を反故(ほご)にすれば、政治への信頼は地に落ちる。
 鳩山首相は28日夜の記者会見で「誠に申し訳ない思いでいっぱいだ」と謝り、「今後も粘り強く基地問題に取り組むことが自分の使命だ」と強調したが、単なる謝罪で済まされるものではない。
 これは、鳩山政権が、普天間問題に詳しい官僚を外し、知識と経験、洞察力の乏しい首相と担当閣僚がバラバラで場当たり的に取り組んだ結果である。
 名ばかりの「政治主導」で、重大な失政を犯しながら、首相も担当閣僚も責任をとらず、民主党内から強い批判も出ないのは、あまりにお粗末だ。
 鳩山首相は、その資質に深刻な疑問符が付いている。首相発言は日替わりのように変わり、指導力も決断力も発揮できなかった。
 政治で問われるのは結果責任だ。努力したが、できなかったでは、誰も評価しない。
 首相に求められるのは、自己流の「思い」を語ったり、会談相手に迎合したりすることではない。着地点を見極めつつ、閣僚と官僚を使いこなし、最後は自ら決断して問題を解決する実行力だ。
 ◆同盟強化が緊急の課題◆
 鳩山首相の力量不足により、日本政府と米国や沖縄県、関連自治体との信頼関係は、大きく損なわれてしまった。
 北朝鮮の魚雷攻撃による韓国軍哨戒艦沈没事件で、朝鮮半島情勢は緊迫している。中国軍の増強や示威的活動の多発など、不透明な東アジア情勢を踏まえれば、日米同盟の強化は緊急の課題だ。
 政府は、その視点を忘れず、道半ばの普天間問題の解決に真剣に取り組まなければならない。

∩(゜д゜)∩万歳新聞

似て非なる「挑戦者」 稲盛氏と孫氏(COLUMN)
 民主党政権の誕生は経済界にも大きな変化を呼んだ。「財界主流」と呼ばれたいわゆる経団連銘柄の大企業の影響力が後退する一方で、これまで“野党的”だった企業経営者に脚光が当たっている。その代表格が日本航空の会長に就任した稲盛和夫氏(78)と、通信分野で何かと話題を振りまく孫正義氏(52)だ。
 今年3月に出版された稲盛氏の軌跡をたどったノンフィクション小説『挑戦者(日本経済新聞出版社)』にはこの2人の興味深い接点が出てくる。稲盛氏が第二電電(現KDDI)を設立し、長距離電話事業への進出をめざしていた1986年の暮れ。京都・山科の京セラ本社を、まだ29歳の孫社長が訪れた。電話機に取り付ければ、付加番号を押さなくても自動的に第二電電を選択するアダプターを孫氏が開発し、それを稲盛氏に売り込むためだ。
 その時、両者の思惑がぶつかった。孫氏は第二電電以外の新電電にも自社のアダプターをつかってほしい。一方で稲盛氏はアダプターの独占使用を求め、当時の日本ソフトバンクの年間売上高を上回る巨額の買い取り価格を提示したという。
 だが、延べ2日に及んだ交渉は最終的に決裂し、第二電電は結局、アダプターを自社で開発することにした。
 実はこれと似たような場面が最近もあったという。京セラが出資し、稲盛氏が事実上の創業者でもあるPHS会社のウィルコムの再建話。ソフトバンクが支援に名のりを挙げたが、ウィルコムの関係者によると、その過程で稲盛氏と孫氏の会談がもたれたという。ところが、1度固まった案に孫氏が一時難色を示し、関係者を慌てさせる場面があった。最後はモトのさやに収まったが、この関係者は「孫さんの貪欲(どんよく)なまでの交渉タクティクスが遺憾なく発揮された」と見る。
 稲盛氏と孫氏は親子ほどの年齢差があるが、共通点も多い。同じ世代では抜きんでた起業家であること。どちらも通信事業に大きなビジネスチャンスを見いだして、そこに飛び込み、従来の事業を一回り大きくしたこと――などなど。
 だが、経営者としての肌合いはかなり違う。稲盛氏はJALの会長就任にも見られるように、頼まれればいやといえない国士的な雰囲気がある。かつてトヨタ自動車系のIDOと京セラ系の携帯電話会社が首都圏での事業免許を争ったときも、自ら譲歩することで決着させた。「人間としての懐の深さが魅力」と近くで仕えた旧DDIの幹部はいう。
 一方で、孫氏は自分の利益を直線的に追求する。今はやりの言葉を使えば、草食系ではなく、「肉食系」である。
 視線がグローバルに開かれていることも、大きな特徴だ。ポータルサイトの重要性が認識される前に米ヤフーの真価を見抜き、大胆に投資した。ADSL事業においては、韓国などのメーカーから安価な機器を調達し、高コスト体質の日本の通信業界に風穴を開けた。次世代PHSサービスでは、中国方式を導入し、日中一体型の事業展開を志向する。未来を先取りする嗅覚(きゅうかく)には、凡人ではマネのできない鋭さがある。
 日本航空再建の陣頭に立つ稲盛氏と、NTTの構造分離の旗を振る孫氏。今しばらくこの二人から目が離せそうにない。



なぜSIMロック? 孫社長、iPadの疑問に答える
 国内で販売される3G対応iPadはなぜSIMロックがかかっているのか、モバイルルータを使ってWi-Fiモデルを他社3G回線で使うことについてどう思うか、iPadは出版の形をどう変えるか――ソフトバンクの孫正義社長が5月28日、報道陣の質問に答えた。
――米国ではSIMフリーで発売されたiPadを、国内ではSIMロックで発売できたのはなぜか。
 iPadを一人でも多くの人に届けたいというソフトバンクの強い思い入れや情熱が、Appleに通じたのでは。(※海外のSIMカードは使える)
――NTTドコモが3G対応モバイルWi-Fiルータを出すなど、iPad Wi-Fiモデルをソフトバンク以外の3G回線で使えるようにしようという動きもある。
 「Pocket WiFi」のようなものもあるが、iPadとルータをそれぞれ充電し、両方のバッテリー持ち時間を考えながら使うのは面倒で、3Gモデルがいいと思うのでは。Wi-FiモデルはGPSがなく、地図アプリなども使いにくい。3Gモデルを使いだせば、ほとんどの人が「3Gモデルが良かった」と思うだろう。
――(iPadに限らず)端末販売で、SIMロックは必要と考えているか。
 SIMフリーの場合は販売奨励金を出せないし、サービスの互換性などの問題が出てくる。それでも欲しい人がいるか、いくつかのモデル(端末)でSIMフリーを試してみたい。
――iPadの月額データ定額料金は(「月月割」を適用すると)2910円と、iPhoneより1500円安いのはなぜか。
 「ケータイWi-Fi」の料金(月額490円)も値引いているので、実質的には月額1990円×24カ月分割り引いている。端末を普及させるための値引きで、販売奨励金のようなものだ。
「世界の通信キャリアでiPadを店頭販売できるのは日本ぐらい」
――iPadの在庫数や店頭発売数は。
 コメントできない。
――3GモデルとWi-Fiモデルの比率は。
 3Gモデルが思いのほか多かった。
――予約が2日で打ち切りになるなど、ニーズに対して供給数が少なく、販売店も絞られていた。
 販売方針についてはAppleの方針なので、どうこういう立場ではない。世界の通信キャリアでiPadを店頭販売できるのは日本のソフトバンクぐらい。他国はもっと絞られている。iPadにできるだけ触れられる環境を整備したことで、販売できたのだろう。
――国内メーカーからiPadのような革新的な端末が出ないのはなぜだと思うか。
 大きいハードや薄いハードなど、ハードはいくらでも作れるが、世界のクリエイターが熱狂的に支持してアプリをどんどん作り、ユーザーにも強く支持されるというソフトウェアのプラットフォームが一朝一夕にはできないのでは。
iPadは出版を変えるか
「右手にiPhone、左手にiPadで二丁拳銃にしたい」と孫社長。「1人に1台、家族で計何台か持ち、新しいライフスタイルが生まれる端末」と絶賛
――ソニーやKDDIなどが電子書籍プラットフォームを発表した。
 各社が切磋琢磨し、技術やサービスが発展するのは業界にも消費者にとってもいいことだ。
――ライバルの電子書籍端末に対するiPadの優位性は。
 一般的なブックリーダーとは決定的に違う。iPadは本も読めるが、iPadはあらゆるアプリを魔法のようにダウンロードでき、アプリプラットフォームは世界のクリエイターやユーザーから熱狂的に支持されている。
――iPadは出版を変えるのか。
 出版社は紙に印刷したものを作品と思いこんでいるかもしれないが、印刷が大事なのではなく、中に書いてあるものが大事で、媒体は紙だろうが何だろうが同じ。iPadは、記事の写真をタッチして動画を再生したり、声を聞けたりなど、紙の印刷ではできなかったこともでき、紙より大きな感動や情報をもたらすことできる。
――iPadの気に入っている点は。
 Twitterもスケジュールも音楽再生もめちゃくちゃいい。iPhoneと使い方が一緒のはずなのに、なぜか感動がすごい。



【iPad発売】銀座は午後1時も300人の列 店頭在庫品薄気味に 
 米アップルが28日午前8時に新型多機能情報端末「iPad(アイパッド)」を日本で発売したが、東京・銀座のアップル直営店などでは午後になっても行列が続いている。店側は、日差しが強くなったことで来店客に飲料水を無償配布するなど対応に気を配っている。
 東京・銀座のアップル直営店「アップルストア銀座」では、午前8時の発売時に1200人を超える行列ができたが、午後1時ごろになっても依然、300人超が行列を作っている。列のうしろになれば購入にこぎつけるまで1~2時間かかるうえ、一部の機種が品薄となっていて、希望通りの商品が購入できるかは不透明になっている。午前11時ごろから並んでいるという東京都内の主婦(33)は「ちゃんと買いたいものが買えるか心配だ」と不安げに話した。
 昼ごろから日差しが強くなってきたため、アップルストア銀座は来店客にペットボトルの飲料水を無償配布したほか、日傘を貸し出した。東京都内の30代の会社員男性は「早く買いたい」と疲れた表情をみせた。



【iPad発売】「W杯“観戦”も端末で…」 ソフトバンクが国内配信権
 ソフトバンククリエイティブ(東京都港区)は28日、サッカーFIFAワールドカップ(W杯)南アフリカ大会全64試合の動画コンテンツ(情報の内容)について、日本国内の携帯電話向けに独占配信できる権利を得たと発表した。多機能携帯情報端末「iPad(アイパッド)」でもW杯の試合を楽しめるよう、近く有料アプリケーションソフトの販売を始める方針。
 同社がW杯の試合映像を携帯電話向けに配信するのは、前回06年のドイツ大会に続き2回目。今回の南ア大会では全64試合分の動画に加え、過去のW杯の名シーンを集めた動画も流す。
 配信対象の携帯機器はiPadだけでなく、スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」向けにも有料アプリを発売する。また、一般の携帯電話でも月額税込み525円で、ソフトバンクモバイルに加え、NTTドコモ、auの各通信キャリアの有料コンテンツとして用意する予定だ。



Appleの電子書籍ストア、個人の自費出版作品も販売可能に
 AppleのiPhone・iPad向け電子書籍ストア「iBookstore」で、出版社やSmashwordsなどの出版サービスと契約していない個人も自分の作品を販売できるようになった。新しいポータルから申し込みができるが、幾つか条件がある。その条件とは作品ごとにISBN(国際標準図書番号)を取得しておくこと、作品をEPUBフォーマットで用意すること。iTunes Storeアカウントと米国の納税者番号も必要だ。また、電子書籍をAppleのソフトでエンコードする必要があり、このソフトはIntelプロセッサとMac OS X 10.5以降を搭載したMacで動作する。売り上げの配分は不明だが、価格や販売地域は作者が決められるという。



“仁義なき”牛丼値下げ戦争再燃? 松屋 牛丼並盛りを再び250円に
 牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズは28日、6月1日~8日の期間限定で、現在320円の牛めし(並)を、70円引きの250円で販売すると発表した。「すき家」の280円を下回り一時的に業界最安値となり、さらに関西地域の2府4県の105店では、8日以降も250円と最安値で売り続ける。ライバル勢も対抗値下げに踏み切る可能性が高く、“仁義なき”牛丼値下げ戦争が再燃する公算も大きい。
 牛丼チェーン各社は4月にも値下げ競争で火花を散らしたばかりだ。
 このときは吉野家が4月7~13日に、通常380円の並盛りを270円に引き下げるキャンペーンを実施したのがきっかけだった。一時的に業界最安値のすき家の280円を下回ったが、直後にすき家に加え、松屋も並盛りを250円に下げて吉野家に対抗した。結果は、吉野家の4月の既存店売上高が前年同月比6・9%減と14カ月連続で前年実績を下回る一方、すき家は23・2%増、松屋も5・9%増となり、明暗が分かれた。松屋は、今年4月のキャンペーンで大きな集客成果を上げたため、再値下げに踏み切ることにした。



キリンビバレッジ コーラ飲料市場に参入
 コーラ系飲料市場の新規参入が相次いでいる。キリンビバレッジは28日、同社ブランドとしては初となるコーラ飲料「キリン コーラ」を6月1日から売り出すと発表。アサヒ飲料も同社としては17年ぶりのコーラ飲料「グリーンコーラ」を25日から販売した。コーラ飲料は日本コカ・コーラとサントリーのカロリーゼロタイプがけん引し市場の成長が続いており、ニーズが見込めると判断した。
 キリンビバレッジのコーラは、適度な甘さと炭酸の爽快な刺激感を出したほか、隠し味としてホップ風味も加えることでキレのある後味を実現した。これまで一部地域限定で試験販売を行ってきたが、販売好調だったため、本格参入する。実勢価格は350ミリリットル缶で120円。
 アサヒ飲料の「グリーンコーラ」は、保存料や着色料を使わず、レモン果汁で香りを加えるなど天然の原料にこだわった。月内の出荷が20万ケースとなる見込みなど「大ヒットを記録している」(同社)という。
 国内清涼飲料市場が漸減傾向を続けているが、コーラ飲料の販売は堅調。サントリーの2010年のコーラ飲料「ペプシ」の販売は、カロリーゼロタイプの一段の販売拡大を見込み前年比3%増の3000万ケースと計画するなど、飲料各社が“コーラブーム”に沸いている。



出版社、書籍“検閲”に不安 配信体制にも課題多く
 米アップルの多機能情報端末「iPad」の発売で、これまで書籍の電子化に慎重だった国内出版社が対応を急ぎ始めた。講談社が人気作家、京極夏彦氏の新刊小説を配信するほか、70誌近い雑誌がiPadで記事などを読めるようになる。ただアップル独自のコンテンツ流通の仕組みには不安もあるようだ。
 「まさかこの本がひっかかるとは」。広済堂の担当者はアップルの判断に驚きを隠さない。高機能携帯電話「iPhone」でベストセラーのビジネス書を配信しようとしたところ、一部文中の「酒」や「たばこ」の記述が事前審査に引っかかった。
 アップルは配信するソフトについて暴力や性などに関する表現を審査し、対象年齢を定めたり、配信を拒否したりしている。ソフトの“検閲”はiPad向けでも実施される。しゃくし定規な方法には不満の声が強い。
 広済堂は結局、対象のビジネス書を「12歳以上」の条件付きで販売。電子出版制作のボイジャー(東京・渋谷)も大手出版社の委託で458作品の漫画をiPhone向けに配信しようとしたが、161作品が拒否された。女性編集者の奮闘を描いた青春マンガ「働きマン」は一部の入浴シーンが問題にされたという。
 インプレスR&Dの河野大助氏によると「販売の仕組みにも課題は多い」。アップルのコンテンツ販売サイトには細かな文芸書やマンガといった分類がなく、シリーズものを一括購入する機能もない。大半の利用者は売れ筋ランキングで書籍を探すため、一部に人気が集中してしまう。
 購入のしにくさもあってiPhoneでの電子書籍販売は伸び悩んでいるもよう。09年度は市場全体の約2%にあたる10億円程度にとどまったとの推計もある。もっとも、書籍の閲覧に向くとされる大画面を備えたiPadの登場で、状況は変わるかもしれない。
 「紙と電子は共存できるはず。実験台を買って出た」。京極氏は20日の記者会見でiPadに作品を配信する意義を語った。出版社もしばらくは手探りの状況が続きそうだ。

( ゜д゜)ホスィ…新聞

IT、世界で合従連衡 アップルに対抗軸 ネットサービス補完
 【シリコンバレー=岡田信行】世界のIT(情報技術)業界で提携や買収が相次いでいる。ソニーと米グーグルが提携したのに続き、携帯電話世界最大手のノキア(フィンランド)と米ヤフーが携帯向けインターネットサービスを実質統合することで合意した。ネットに接続する情報機器の主役がパソコンだった時代が終わり、米アップルが多機能端末の新時代を切り開いた。日本の電機大手も巻き込みながら、アップル対抗軸が次々と形成されつつある。
 「テレビとウェブの融合は10年来の悲願。実現する時がついに来た」。米グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)が、米国でインターネットテレビを投入すると発表したのは今月20日。情報端末などの共同開発でも提携したソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長と、がっちり握手を交わした。
 両社を結びつけたのは米アップルの躍進だ。同社は世界的に大ヒットした多機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」で、外部のソフト会社などが自由な発想でゲームなどを開発し、提供する仕組みを構築した。こうしたソフトはすでに世界で18万種類を超え、アップルの収益源にもなっている。
 ソニーとグーグルは同様の仕組みをインターネットテレビにも広げることを狙っている。
 両社が提携を発表した4日後、今度はノキアと検索大手の米ヤフーが提携を発表した。ノキアはスマートフォンの出荷台数で世界シェア約4割。ヤフーのサイト利用者は毎月6億人に上る。ネット専業と機器メーカーが手を組み、得意技術を持ち寄る構図はソニー・グーグル連合と同じだ。
 ノキアとヤフーは共通ブランドでメールや地図情報などのサービス提供を始め、2011年までに全世界で事業を共同展開する。利用者はパソコンと携帯電話の違いを意識せず、様々なネットサービスを使えるようになる。ノキアはスマートフォンでアップルの攻勢を受けており、ヤフーと組んで対抗する。
 IT業界ではネットに接続する機器の主役がパソコンの時代が長く続いた。勝者は米マイクロソフト(MS)と、CPU(中央演算処理装置)を制した米インテルの2社だった。そんな「ウィンテル時代」の終わりを決定づけたのが株価だ。米ナスダック市場では26日、アップルの時価総額がMSを抜きIT業界で首位に躍り出た。
 アップルの追撃を急ぐのはグーグル、MSだけではない。
 パソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)も4月、携帯情報端末大手の米パームを12億ドルで買収すると発表した。「スマートフォンの世界市場は1000億ドルを超え、年率20%以上のペースで拡大している」(HP幹部)。コスト競争で激戦のパソコン市場を勝ち抜いたHPだけに、コンテンツ配信の仕組みが整えば、アップルの対抗勢力に浮上する可能性は十分にある。
 ネット新時代に生き残れるのは、ネットサービスと機器の技術をともに持った企業連合に絞られる。ソニーはグーグルと組むことでネットの“弱点”を補う戦略に打って出るが、多くの日本企業はハード依存の収益構造から抜け出せていない。機器単体では規模に勝る韓国や台湾勢との低価格競争に勝ち残れない。



革新サービスで広がる選択肢、ハイテク大手の実力拮抗
 マイクロソフト(MS)、アップル、グーグルなどを含めたハイテク大手間の実力が拮抗(きっこう)する「多極化時代」が幕を開けようとしている。各社は革新的な製品・サービスの開発でしのぎを削っており、競争激化が続くことで、消費者の選択肢は大きく広がりそうだ。
 ほんの数年前までMS製ソフト搭載の「ウィンドウズ」製品群とその周辺機器が牛耳っていたデジタル機器市場。アップルは携帯音楽プレーヤー「iPod」の大ヒットを突破口に、多機能携帯電話「iPhone」、新型情報端末「iPad」を投入。自社製品間で音楽や映画などを簡単にやりとりできるようにして、パソコンでもシェアを拡大。MS最大のライバルとなった。
 インターネット検索で力を付けたグーグルも携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」で携帯市場に参入。年内にはパソコン用OSを投入するなど、MS、アップルに「待った」をかける。電子書籍分野では、ネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムがアップルを迎え撃つ。
 ハイテク業界の巨人が顧客争奪戦を繰り広げることで恩恵を受けるのは消費者だ。グーグルOS搭載パソコンは端末側の機能を絞った「ネットブック」になる見通しで、パソコン価格のさらなる低下が見込まれる。
 一方、戦いに敗れた企業の製品やサービスは市場から消えることになる。MSのウィンドウズ搭載パソコンを買っている限り、安定した機能向上が見込まれた時代とは一線を画す。



「電子教科書」普及で連携 ソフトバンクやマイクロソフト
協議会設立 政策提言へ
 ソフトバンクやマイクロソフト日本法人(東京・渋谷)などは、パソコンやタブレット端末などを活用した小中学校向け電子教材の普及を推進する「デジタル教科書教材協議会」を7月に設立すると発表した。普及に向けた課題の整理や、小中学校と協力した実証実験、IT(情報技術)に詳しい教師の育成などの政策を提言する。
 具体的な行動計画は協議会発足後に詰める。幹事会員として両社のほかベネッセコーポレーション、毎日新聞社、クアルコムジャパン、京セラコミュニケーションシステム、エフエム東京、NTTコミュニケーションズなどが参加する。
 発起人でもある三菱総合研究所の小宮山宏理事長は「まずは1教科でもいいので、通年で使える電子教科書を開発して実証実験をすべきだ」と提言。マイクロソフト日本法人の樋口泰行社長はペンで操作できるタブレットパソコンによる教材の例を挙げ、ソフトバンクの嶋聡社長室室長は米アップルの「iPad(アイパッド)」などの端末を全小中学生に配布するアイデアを披露した。



iPad発売へ民放連会長「テレビが緊張すべき状況」
 iPadが28日に発売されることについて、日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日顧問)は27日、定例の記者会見で「われわれにとってみれば緊張すべき状況を迎えた。テレビはこれまで広告を集める点で優位を保ってきたが、メディア間の競争が急激に熱を帯びる中、テレビの優位を失わないようにしたい」と話した。
 国は来年7月までにテレビの地上デジタル放送完全移行を目指しているが、「これからデジタル化を図ろうとすれば10年はかかり、iPadのような新しいデバイスには太刀打ちできなかった。幸いに来年完成するのは心強い」と言葉をつないだ。



みずほ銀行、iPadを支店ロビーに配備
 みずほ銀行は、「iPad」を支店のロビーに配備し、来店客が待ち時間をiPadで楽しめるようにする。
 端末の入荷状況をみながら、7月から都内の数店舗にそれぞれ5台程度を置く予定だ。
 テレビや音楽、雑誌などのほか、株価や為替相場、金融商品の広告も閲覧できるようにする。
 みずほ銀は、来春ごろまで試験的に配備し、顧客の反応を見ながら対象支店や台数を増やしたい考えだ。



「伝統メディアもデジタルへの移行を」 米「ニューヨーカー」記者、ケン・オーレッタ氏
 米ネット検索大手「グーグル」の実態をまとめ、昨年、米国でベストセラーを記録した『グーグル秘録 完全なる破壊』(文芸春秋)の著者で米誌「ニューヨーカー」記者のケン・オーレッタ氏(68)が翻訳出版に合わせて来日、産経新聞のインタビューに応じた。同氏はグーグルらの台頭で大きな打撃を受けた新聞など伝統メディアのあり方について、「事業を再定義し、デジタルプラットホーム(土台)にどう移行させるかを考えるべきだ」と語った。
 同書によると、グーグルの影響力は絶大だ。540億ドル(約4兆8600億円)の規模を持つ世界のネット広告市場で40%のシェアを占有。同社の2008年の広告収入は、米5大テレビネットワークの合計に拮(きつ)抗(こう)するまでに増加した。
 中でも深刻な打撃を受けたのは新聞業界だ。米国の全広告費の25%近くを占めてきた新聞のシェアが、07年までに20%以下に急落したという。
 グーグルは莫(ばく)大(だい)な広告収入を背景に、各種コンテンツの無料サービスで躍進した。ネットの情報は無料という意識が広まり、伝統メディアを圧迫しているが、オーレッタ氏は「無料配布はジャーナリズムを陳腐にさせる。コンテンツの課金制度を考えることが非常に重要だ」と強調する。
 新聞などの伝統メディアも、今後は「編集者はエンジニアリング(工学系)の知識が必要になる」とし、紙面のオンライン化については「ITをきちんと理解した人が責任者に立つべきだ」と語った。
 一方、グーグルも意識が変化してきているという。「コンテンツの質が良くなければ、広告も取れないということに気づき始めている。質の良いコンテンツとは、優秀なジャーナリストが書いたものであることが多い」
 グーグルが「広告だけでは危うい」と思い始めた背景には、金融不安を生んだリーマン・ショックもあるようだ。「広告依存度を下げたいという状況を考えると、新旧のメディアが歩み寄るチャンスは意外にあるかもしれない。オンラインは活字媒体よりも安くできるので、伝統メディアがうまくデジタルに移行できれば成功の可能性がある」と言う。
 オーレッタ氏は、グーグルを「偉大な企業」と評価する一方、2つの時限爆弾を抱えていると指摘する。膨大な情報を収集していることによる「プライバシー問題」と、書籍のデジタル化といった「著作権問題」だ。さらに「3つ目があるなら、巨大化によって周囲に恐怖心を与えてしまうこと。それが今後のグーグルの名声と成功を左右するだろう」と語った。



中国携帯メーカーで相次ぐ若者の自殺 軍隊式管理のストレス? 一人っ子世代のひずみ?
 【上海=河崎真澄】27日付の中国紙、東方早報などによると、広東省深●(=土へんに川)の携帯電話機メーカー、富士康(フォックスコン)で26日深夜、従業員男性(23)が建物から転落し、死亡が確認された。転落死した同社の従業員は、今年に入って10人に達し、いずれも自殺と地元警察は断定した。同社は米アップルなど有力企業から製品の生産を受託する典型的な輸出型企業で、中国の成長を支える現場での相次ぐ自殺に、社会矛盾や一人っ子世代の心理的なゆがみを指摘する声が広がっている。
 10人はいずれも20歳前後で、10人目の転落死は、富士康の親会社でEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長が、深●の工場で初めて記者会見した26日の深夜に起きた。
 郭会長は会見で、今年に入って25日までに死亡した9人の遺族に哀悼の意を示す一方で、「40万人以上いる従業員の割合からみて9人の死亡は多くない」「9人はいずれも入社半年以内で、仕事上のストレスが原因だったとはいえない」などと述べた。
 富士康では昨年7月にもアップルから受注した携帯電話機「iPhone(アイフォーン)」の次世代製品のサンプル紛失の嫌疑をかけられた当時25歳の従業員が飛び降り自殺する事件が起きたほか、死亡者とは別に、従業員2人が転落で重傷を負っている。
 中国や香港のメディアは、富士康が製品や技術の秘密保持を徹底するあまり、軍隊式といわれる厳しい人事管理を敷き、ストレスを受けた若い従業員が死に追いやられたのではないか、と経営姿勢を追及している。27日付の文匯報によると、中国の公安省などはこのほど、同社に対する合同調査を開始した。
 40万人の工場従業員のほとんどは深●以外の地方出身で、中学や高校卒業後に採用され、工場に近接する寮などで暮らしている。地元紙は、「戸籍問題をたてに農村出身者が差別される中国都市部の社会矛盾に直面したのではないか」との専門家の見方を伝えた。
 富士康の従業員は1980年以降に生まれた一人っ子政策世代ばかり。「4人の祖父母と両親に甘やかされて貧困を知らず、努力もしなかった中国の若者は、現実の企業社会のルールに適応できない」といった中国の製造業全体が抱える問題に対する関係者の指摘もある。



ブックオフ、書籍買い取りで売り手全員の本人確認 8月から  中古書籍最大手のブックオフコーポレーションは消費者から書籍などを買い取る際、売り手全員の本人確認を8月から始める。従来は古物営業法で義務付けられている、買い取り額1万円超の場合などに限って、身分証明証の提示を求めていた。売買金額に関係なく本人確認を厳格化し、万引き本の流通を防止する効果などを狙う。
 直営とフランチャイズチェーン店を合わせた全約千店で実施する。現在、本人確認は金額1万円超やゲームソフトを買い取る場合に、免許証や学生証などの身分証明証の提示を求めている。8月からは身分証明証の提示を全員に求める。すべての買い取り品目が対象。同時に、小学生以下の場合は保護者同伴とし、保護者の同意書が必要な対象も従来の18歳未満から18歳以下に広げる。
 中古書籍を巡っては、新刊書店で万引きしたマンガ本などを換金目的で中古店に売却するケースが少なくないとの指摘もある。本人確認の基準も中古書籍を扱う企業間でばらばら。中古書籍市場が広がる中、他社も厳しい買い取りルールの導入に動く可能性がある。



伊ドルチェ&ガッバーナ、若者向け日本撤退 全18店を閉鎖へ
 伊高級服飾ブランドのドルチェ&ガッバーナ・グループは日本事業を縮小する。国内で展開する2ブランドのうち、若者向けブランド「D&G」は撤退、全18店を来年1月に閉鎖して販売を停止。富裕層向けの「ドルチェ&ガッバーナ」の事業に特化する。中国など成長が期待できる市場に経営資源を集中する。
 「D&G」はTシャツが1万~2万円程度で、20代など若い男女向け。全国の百貨店などで18店を運営する。売り上げは伸びているものの、価格が安いために利幅が薄く、人件費負担が重くなっていた。
 一方、ドルチェ&ガッバーナはスーツで20万~30万円程度。国内店舗数は16店とD&Gより少ないが、富裕層向けに特化しているため販売効率が良く、日本事業の年間売上高約100億円の7割を占めている。
 ドルチェ&ガッバーナ・グループは欧州を中心に世界23カ国・地域で事業を展開している。日本では1996年から2ブランドの販売を開始し、2001年には日本法人のドルチェ&ガッバーナ・ジャパン(東京・港)を設立している。



最低賃金、「平均1000円」大幅先送り
政府目標「20年までに」 現実路線に転換
 政府は企業が従業員に支払う義務を負う最低賃金について、景気状況に配慮しつつ2020年までに全国平均で時給1000円を目指すとの目標を策定し、実現時期を大幅に先送りする方針を固めた。都道府県ごとに異なる最低賃金の下限を早期に800円に引き上げることも明記する。民主党は昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で全国平均で1000円を目指すとの目標を打ち出していたが、企業収益への影響などに配慮して現実路線に転換する。
 政労使などでつくる雇用戦略対話で決め、6月にまとめる新成長戦略に盛り込む。民主党は衆院選マニフェストに、景気状況に配慮しつつ、全国平均で1000円を目指すことと800円を想定した「全国最低賃金」の設定を盛り込んだが、実現時期は明記していない。ただ最低賃金制度を所管する厚生労働省の細川律夫副大臣が最低賃金を800円に引き上げるための法案を11年度国会に提出する意欲を示すなど、次期衆院選までに実現させる意向を示唆していた。



ソニー・凸版など、電子書籍の新会社設立会見詳報 「オープンなプラットフォーム作る」
 ソニーとKDDI、凸版印刷、朝日新聞社の4社は27日、電子書籍の配信を手がける事業企画会社を7月に設立し、年内をめどに配信サービスを始めると発表した。会見した米国ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントはソニーも年内に電子書籍端末を国内で発売すると表明したほか、「オープンなプラットフォームを作る」と話し、競合他社とも話し合いを進めていることも明らかにした。4社からの出席者の主な一問一答は以下の通り。
 ――事業企画会社立ち上げの経緯は。
 ソニー・野口氏「4社がいきなり集まったわけではない。4社がそれぞれ電子書籍事業をどう広げていくのか考えており、様々な経緯の中で知り合った。同じ方向を向いているのなら一緒にやった方が大きなビジネスとして出版社・新聞社をサポートできるため、合意に至った。話を進めているのはこの4社だけではないが、話を広げてもはっきりした形がみえづらい。4社が責任を持って企画準備会社を作って、事業を進めることになった」
 ――28日には米アップルの電子書籍「iPad(アイパッド)」が発売されます。このタイミングで新会社設立を発表したのは日本勢として米国勢に対抗する狙いもあるのですか。
 ソニー・野口氏「日本に限らず世界中で各社がこのビジネスに参入して競争している。そういう意味では予想以上に早い形で世界中にこのビジネスが広がっている。ソニーとしても日本でいち早く参入できる。今年が多くの電子書籍ビジネスをやる方が参入する年だと思っているので、市場が一気に立ち上がる。iPad対抗というよりは今、この市場に入っていくのがビジネスとしての判断だ」
 ――日本勢で集まることに意味はありますか。
 野口氏「電子書籍は文化と密接につながっている。日本人が考える電子書籍が文化を吸収するために日本の会社が集まるのは自然の流れ。ソニーも日本のメーカーなので、電子書籍がスタートするにはそういう日本の文化を吸収する意志を持った人と一緒にやりたいと考え、このように日本の会社が集まった」
 「ただ、ソニーは全世界で電子書籍事業を手がけている。欧州は現地の企業と提携している。オープンなプラットホームで多くのコンテンツを配信するやり方が日本では1番適している」
 ――オープンなプラットホームを目指すということですが、利用者から見て何が違うのですか。
 凸版・前田氏「企画会社でこれから具体的に詰めていきたい。出版社側にとって安心してコンテンツを提供できるスキームを作りたい。それはいろんな形でコンテンツを提供できる仕組みが整っていることが大切。そのためには競合とも協力して仕組みを作り、出版社側にコンテンツを出しやすくすることで、優良なコンテンツが集まることが大切だ」
 高橋誠・KDDI取締役執行役員常務「配信先を多く確保することがオープンだと思う。配信先はソニーの端末も、我々の端末も、スマ-フォンもある。配信先を増やすことで、たくさんのコンテンツが集まると、よりビジネスの発展が望める」
 ――現状でどのようなコンテンツがどのくらい見られそうか。
 ソニー・野口氏「コンテンツ量を確保するにはたくさんのデバイスがあることが大切。デバイスをそろえられれば、それぞれのデバイスに適したより読みやすいコンテンツが提供される。出版社にも望まれているし、それができたらコンテンツを出していきたいと行っているので、作っていきたい。きょうは残念ながら事業企画会社の発表。事業会社ができたときにコンテンツ量は発表したい。発表文に『書籍・コミック・雑誌・新聞』とあるように、我々の活動として多くのコンテンツが提供できるのではないかと考えている」
 ――将来的にiPadやキンドルへもコンテンツ提供ができるのですか。
 野口氏「事業会社として決めることだが、基本的にはオープン。そこを否定するものではない」
 ――ソニーは年内にリーダーを出すと言うことで良いのですか。
 野口氏「年内にリーダーという形で商品を出す」
 ――KDDIは通信キャリアとしてなぜ参加するのですか。
 KDDI・高橋氏「専用端末の開発を進めたい。スマートフォンも積極的に対応したい。その上での電子書籍配信ビジネスとして我々の参画の意味がある。また、色々な電子書籍デバイスが出てくるときに第3世代や3.9世代の通信手段が欠かせないものになってくる」
 ――出版31社の中でも参加を表明しているところとそうでないところがあります。
 凸版・前田氏「直前まで4社で検討しており、31社会とテーブルについて話す機会はなかった。直近で一部の出版社とは若干話が出来た。これから出版社にはご説明ご相談に上がる。31社会とは接触していきたい。時間的な問題で、意思統一が出来ていないわけではない」
 ――値付けの仕方、利益の分け方にはどんな合意があるのですか。
 ソニー・野口氏「海外のビジネスモデルをそのまま持ってくるわけにはいかないと思っている。事業会社で出版社の方々と値付けの方法について相談しながら値付けのしくみを作っていきたい。書籍に限らず新聞などコンテンツによって読み方も変わる。様々なサービスの提供方法があるので、いろんな値付けの仕方が今後出てくるのではないか」
 「企業の役割それ相応の配分も最終的な事業会社の枠組みが決まった段階でおのずと決まるだろう」
 ――「オープン」というのはフォーマットの話ですか、ビジネスモデルも含めたものですか。
 野口氏「プラットホームとしてオープンにしていこうというのがきょうの定義。日本の電子書籍事業で日本の文化を継承するために企業に入っていただき、コンテンツを預けていただき、利益を守りながらコンテンツを届ける。特定の1社だけではないことをオープンと言っている」
 ――ソニーのようなハードウエアビジネスの場合、経済合理性を考えれば国内対応だとコストの問題もあります。
 野口氏「ソニーとしても国際的な展開を考えている。あくまで私のコメントだが、日本に特化するよりは、日本の様々なコンテンツを海外に持って行ったり、海外のコンテンツを見られたらいいと思っている」
 ――ソニーのリーダーは、なぜ日本で発売されなかったのですか。年末の発売では出遅れ感があるのでは。
 野口氏「電子書籍はコンテンツを提供できる仕組みを作らないとだめ。単に日本語が読めるハードを持ってきても何の意味もない。日本に限らずどの国に参入するときも同じだ。コンテンツをきちっと提供できると確認できる国から参入している。今年ソニーでは日本にとどまらず、複数の国で発売する予定だ。決して出遅れているとは思っていない」
 ――凸版印刷はビジネスモデルにどのようにかかわるのですか。
 凸版・前田氏「活字の組版がなくなったときからデジタル化が始まっている。リアルの本の既存の流通加工のほか、デジタルコンテンツ流通がある。後者のビジネスに正面切って向かっていかなければならないという危機感がある。紙媒体の既存流通が縮小していくが、売り上げを確保していかなければならない」

(ノ゜Д゜)ノホレホレ新聞

ソニー、KDDI、朝日新聞 iPadに対抗 電子書籍新会社7月設立
 ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社は27日、共同出資して電子書籍端末向け配信会社を設立する、と発表した。ソニーは現在欧米で展開している電子書籍端末「リーダー」の国内販売を年内にも開始する計画。配信基盤環境を整備し、リーダー向けデジタルコンテンツ(情報の内容)の充実を図り、米アップルが28日から国内販売する新型多機能情報端末「アイパッド」に対抗する。
 新会社の資本金および資本準備金は3千万円で、4社が25%ずつ出資する。当初は事業企画会社として7月1日に設立する。書籍、コミック、雑誌、新聞などを対象としたデジタルコンテンツ向けの配信基盤を構築、管理・運営する事業会社に早期に移行し、年内にサービスを開始する。
 ソニーなどの4社は国内の電子書籍市場の早期立ち上げに向け、他の企業にも新会社への参加を呼びかける。同日、都内のホテルで記者会見した米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは「日本の市場に合った手軽に楽しめる電子書籍市場を展開したい」「電子書籍に対する認知度が急速に高まっており、機が熟したと判断した。今年は日本にとっても電子書籍元年になるだろう」と述べた。
 ソニーは2007年に国内での電子書籍事業から事実上撤退しており、再参入となる。



米アップルの時価総額、マイクロソフトを抜く 米市場で2位 19兆9000億円に
 米ナスダック市場に上場するアップルの時価総額が26日、終値ベースで2213億ドル(19兆9千億円)となり、米マイクロソフト(MS)の2193億ドルを抜きIT(情報技術)業界で首位となった。アップルは新製品のヒットで業績好調。株式相場全体が下落するなか、強さを示した。
 26日の米株式市場でアップル株は前日比1.11ドル安の244.10ドルで取引を終えた。MSは1.06ドル安の25.01ドルと4%強下がり、終値ベースの時価総額がアップルを下回った。米株式市場の上場企業としても石油最大手エクソンモービルの約25兆円に次ぐ第2位。
 アップルは高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」のヒットで1~3月期の純利益が前年同期比90%増加。28日には米国でヒットした多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を日本でも発売する。6月7日には米サンフランシスコで開くイベントで、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が次世代iPhoneを発表するとみられている。



アップルに巨人が食われた日(NY特急便)
 誰もが想像していた日がやってきた。26日のダウ工業株30種平均は欧州発の金融不安が消えず、引き際には売り優勢になって3カ月半ぶりに終値で1万ドルを割り込んだ。そして、乱高下する株式市場は、かつては「世界の支配者」のようにも見えたマイクロソフトに冷酷な宣告を下した。とうとうアップルに時価総額で逆転されたのだ。
 この日のマイクロソフトの株価は4%下落した。前日、ゲームや携帯電話など娯楽・機器部門をバルマー最高経営責任者(CEO)が直接指揮する「非常時」のような人事を発表。ネット時代の新ビジネスがなかなか育たないマイクロソフトの苦労がありありだ。
 一方、アップルの姿は、かつて憎らしいほど強かったマイクロソフトのよう。デジタル音楽や多機能携帯電話(スマートフォン)の世界はアップルの独壇場と化し、独禁当局の関心にさらされるほど業績自体は絶好調だ。
 ジョブズCEO頼み、宿命づけられたヒット商品の連発……。アップルの経営は「綱渡り」「リスキー」にも見えるが、株式市場はマイクロソフトと逆転させた。これでアップルの時価総額は全米2位だ。リスク回避の相場が盟主交代を迫った理由は何だろう。その答えは時価総額1位のエクソンモービルの株主なら分かるかもしれない。
 テキサス州ダラス。26日午前に株主総会を開いたエクソンのティラーソンCEOは株主らを前に胸を張った。「過去5年で配当は57%増やしました。自社株買いは1190億ドル(約11兆円)になります」。あまりにケタ違いの株主還元を株主たちがもろ手を挙げて喜んでもいいはずだが、拍手喝采は広がらなかった。
 理由の1つは、「手堅い」とも、「臆病」ともいえるエクソンの経営だ。過去5年の投資額は1100億ドルと株主還元とほぼ同じ規模。「バランスが良い」といえば聞こえがいいが、今回の総会でも「代替エネルギーなどへの投資戦略をはっきりさせて」という株主の声が相次いだ。
 エクソンもマイクロソフトも最上級の格付け「トリプルA(AAA)」を持つ優良企業だ。盤石な財務体質はいかなるリスクも寄せ付けないが、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やコカ・コーラなど元AAA企業の多くは財務リスクを膨らませることを覚悟しながら成長投資を続けていった。
 「(アナログ時代からデジタル時代への転換に乗り遅れた)コダックやポラロイドのようにならないように」。エクソンの総会では、米石油大手の母体となったスタンダード・オイルを19世紀に設立したロックフェラー一族が株主としてエクソン経営陣にくぎを刺した。
 ゼネラル・エレクトリック(GE)はAAAの金看板を失うや否やインフラ事業などへの積極投資に動いた。残るAAA企業は4社。もうエクソンやマイクロソフトは天然記念物のような存在かもしれない。2社の問題を一言でいえば、「成長戦略欠乏症」だ。
 巨大な企業や金融機関だけでなく、国家の信用すら揺れる時代だ。欧州の危機が収まらない限り、世界の投資家はしばらくリスクを遠ざけようとし続けるだろう。一方で、「リスクをとらないことが最大のリスク」であることも企業や市場の歴史が証明してきた。弱気一辺倒の相場で起きたアップルとマイクロソフトの逆転は、そんな真理がなお健在であることを示している。



アップルストア銀座でiPad販売待ち 「行けないけど応援してますよ」孫社長も声援
 米アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」の発売を翌日に控えた27日朝、東京・銀座のアップルストア前に早くも客が並んだ。
 一番に陣取ったのは26日午後4時から並びはじめた東京都府中市のフリーター、山中竹千代さん(19)。予約してあるので、待たなくても購入できるが「一番乗りを狙ってきた。ツイッターで1カ月前から宣言していた。(前日の)雨は想定外でしたが」と笑顔で語る。
 ストアの前で状況を発信する山中さんのツイッターに、ソフトバンクの孫正義社長が「行けないけど応援してるよ」と激励のリツイート(返信)がくるなど、ネット上でも大いに盛り上がっている。
 山中さんはライブ映像を発信できる「ユーストリーム」で行列の様子も実況中継している。
 一部店舗で予約なしで買える当日販売分があることが明らかになったが、山中さんは涼しい顔だ。
 3番目に並んでいたのは有給休暇をとってきたという44歳の男性会社員。



都の漫画規制案、民主が撤回要求へ
 18歳未満の性行為を露骨に描いた漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都の青少年健全育成条例の改正案について、都議会民主党は、都に撤回を求める方針を決めた。
 改正案には共産も反対の意向を示しており、民主が姿勢を明確にしたことで、6月議会で原案通りに成立する可能性はなくなった。
 都は改正案を撤回しない考えだが、石原慎太郎知事が定例記者会見で「誤解を受けているなら文言を修正したらいい」と述べ、都議会与党の自民、公明が条文の見直しを検討している。これに対し、都議会民主党の幹部は「いったん白紙に戻す必要がある」と指摘。抜本的な見直しが必要との考えを示している。



米音楽市場、“二刀流”のAmazonがAppleに次ぐ2位に
 米国における音楽販売シェアのトップは依然として米Appleだが、デジタル音楽とCDの両方を扱っている米Amazonが伸びており、米Wal-Martと同列の2位になった。米調査会社NPD Groupは5月26日(現地時間)、第1四半期(1~3月)の米音楽市場調査の結果を発表した。
 首位のAppleのシェアは前年同期比4ポイント増の28%。2位はWal-MartとAmazonが12%の同列で、Amazonは3ポイント増だった。NPDは、AmazonのCDとデジタル音楽の両方を販売するアプローチが、両フォーマットを買い分ける顧客を引きつけているとみている。
 デジタル音楽が音楽販売全体に占める割合は5ポイント増えて40%になった。デジタル音楽だけで販売シェアを見ると、AppleのiTunes Storeが前年同期とほぼ横ばいの70%でトップ。2位は12%のAmazon MP3で、1位に大きく水をあけられているものの、4ポイント伸びている。
 New York Timesによると、現在Appleはデジタル音楽市場での行動に関して米司法省から調査を受けている。同社が独占的立場を利用して、リリース前の楽曲をAmazon.comに独占販売させないよう音楽レーベルに求めている疑いがあるという。



「児童ポルノ根絶を」 日本ユニセフ大使のアグネス・チャンさんが中井国家公安委員長に要請 
 児童ポルノの根絶に向けた活動を続けている日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんらが27日、東京・霞が関の警察庁で中井洽国家公安委員長と面会、児童ポルノ画像の単純所持を取り締まる法律の早期整備など、対策を急ぐよう要請した。
 アグネスさんは、「児童ポルノのない世界の実現に向けてがんばっています。児童ポルノは見るだけでも辛い。単純所持を罰する法律がないことについて、各国の大使などからいつも指摘されている」と指摘。
 これに対し中井委員長は、「法務大臣との間では単純所持を禁じることで了解に達している。児童ポルノは世界の恥だ」と延べ、早期の法制化を目指す考えを示した。



ネット選挙を解禁しても、ツイッターは許さなかった日本政治の限界(COLUMN)
 夏の参院選からインターネットを利用した選挙活動が解禁されるという。
 きょう(5月26日)、与野党の選挙制度協議会で合意に至り、今国会中の法案成立が確実になった。来月には国会を通過し、即施行、参院選には間に合わせるという算段だ。
 とはいえ、その内容は限りなく不十分であり、諸外国と比較しても恥ずかしいことこの上ない。とてもIT立国を目指している国の選挙制度とは思えない内容だ。
 とくに標的となったのはツイッターである。この革命的なメディアツールに対して、日本の政治家が下した結論は「ノー」であった。
 先般の英国下院議員選挙はまさしくネット選挙であった。日本では、現職のブラウン首相を叩きのめしたテレビ討論会の様子ばかりが伝えられているが、実際は「ツイッター選挙」の様相を呈していたのだ。
 キャメロン首相、グレッグ副首相のふたりの若い候補者は当然のことながら、二人の夫人たちも猛烈に“つぶやく”ことによって、ネット世代の支持を急速に取り付けたことは無視できない。また、ツイッターに書き込む43歳の両候補者の砕けた様子が、有権者の親近感を誘ったのは想像に難くない。
 加えて、各党の政策を比較するインターネット上の論議も盛んであり、もはや政策討論はテレビなどの放送メディアよりも、ネットを中心に行われていたといっても過言ではないほどであった。
 また米国における「ネットと選挙」の関係は、いまさら言うまでもないだろう。
 2年前の米大統領選挙についてのリポートは本コラムを参照していただきたいが、米国ではネットはすでに選挙に不可欠なツールとみなされ、各陣営も選挙戦略の中に当然に組み込んでいた。
 そもそもツイッターは、当時のバラク・オバマ候補が使っているということで一気に広がったSNSでもある。実際は、オバマチームのスタッフが“つぶやいて”いたのだが、それでもオバマ陣営のネット戦略が大統領選の勝利に貢献し、多額の献金を集めた事実は疑いないのである。
 なにも欧米の例ばかりを引くまでもない。アジア諸国でもネットが政治の舞台の中心に入り込み、大きな影響を与えている。
 タイでは、タクシン元首相が亡命先のドバイ(当時)からツイッターで国民に対してメッセージを送ることで、農民たちは団結して戦い続けることができた。またイランやモルドバの反政府デモもツイッターを利用した連帯によって初めて可能であったのだ。
世耕自民党議員の不安は的中した
 このように、その政治的な意味合いの是非は別として、すでに政界においては、ツイッターを筆頭としたネットこそが「選挙の最強の道具」としてインフラ化し始めているのである。
 翻って日本の政界だが、そのあまりにも「現実認識」の低さに改めて驚き呆れるしかない。
 とくに、本日決定した与野党協議会の合意内容をみると、これは前世紀に起こった事象なのではないか、と錯覚を起こしてしまうほどである。
 協議会メンバーのひとり自民党の世耕弘成参議院議員は、会合直後、こうつぶやいている。
〈各党実務者協議を終えました。最大公約数での合意に止まったのはまことに残念です。特に民主党は第三者の利用の解禁と、ツイッターについては極めて後ろ向きでした。しかし合意して前へ進まないことには、参院選でネットを使えないので、ここは苦渋の合意で前へ進むしかありません〉
http://twitter.com/SekoHiroshige
 世耕氏の言う〈苦渋の合意〉を、日本経済新聞の記事(ウェブ版)でみてみよう。
〈与野党は26日午後、インターネットを利用した選挙活動に関する代表者協議(座長・桜井充民主党参院政審会長)を開き、候補者本人と政党による選挙期間中のホームページとブログ更新を夏の参院選から解禁することで最終合意した。地方選も対象に含め、法律違反時には罰則を科す。今国会中に全会一致で公職選挙法改正案の成立をめざす。
 ツイッター(ミニブログ)は与野党でまとめるガイドラインに基づき利用を自粛し、メールも解禁対象から除く。候補者が経歴などを偽った場合は虚偽表示罪(禁固2年以下または罰金30万円以下)を適用する。国政選挙だけでなく地方選も解禁対象となり、6月24日以降に告示される首長選などはネット利用が可能になる〉
 じつは、ネット選挙解禁を牽引してきた世耕議員は、かなり前からこうなることを危惧していた。そしてその不安は的中した。
 今日発売の拙著『なぜツイッタ―でつぶやくと日本が変わるか』(晋遊舎)の中で世耕議員はこう語っている。
〈これをなんとか解禁したいと思ってずっとやっています。ネットそのものがダメという法の建て付けになっているから、とりあえずネットを全部使えるようにする法改正に取り組んでいます。自民党の中で一〇年間、僕はこれで袋叩きにあってきた。選挙制度調査会で必死になってやろうとなったのは二〇〇五年の郵政選挙直後からなんですね。本当に解禁しようという空気が出てきた。当時、民主党が党のウェブを更新したことで枝野さんと何回も文書をやりとりをしましたが、こんなことでガタガタ議論するより、早く解禁した方がいいということで取り組んだ。その時、専門家の意見も数十回聞いて法律に向けての叩き台まで作ったのですが、それ以来何年も毎回報告をする度につるし上げられる。
 反対の輪は大きく二つあって、一つは誹謗中傷をどうするのか。今でも怪文書があるのに、どんどん広がってしまうのではないかと心配する人がいる。もう一つは金がかかる。ホームページを業者に丸投げしている先生がそういうことを言うのですが、この二つが二大反対論。底流では「オレのわからないものは使わせたくない」とか、若いやつが多いから民主党に有利ではないか、ということもあった〉(同『なぜツイ』)
 ツイッターの使用を禁止するということは、政治家が、政治信念や政策を国民に訴える有効な手段を自ら放棄したことに他ならない。
 それはまた、有権者が自分の国の代表を選ぶにあたって、無料でありかつ容易な手段であるツイッターという「道具」を奪われたことも意味する。
 日本の政治家は何を考えているのか。世界中で何が起きているのか、ぜひともツイッターを通じて知ってほしい限りである。

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