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政治家を「ネット選挙」解禁に動かす方法(COLUMN)
 政権交代をかけた衆院選を前に、ブログや動画共有サイトなどネット上でも前哨戦が激しさを増している。だが、肝心の選挙期間中は公職選挙法の規制を受け、候補者のサイト更新も止まる。「インターネット選挙」実現が遠いことにユーザーからは苛立ちの声が上がるが、政党や政治家の側に立って考えれば、ネット選挙解禁を積極的に推進する理由はあまり見当たらない。なにせネットは「票にも金にもならない」のだ。
■「選挙運動でTwitter」は違反 水差した閣議決定
 7月22日、毎日新聞社のウェブサイト、毎日jpは「『つぶやき』は公選法違反 政府『トゥイッター』禁止」との見出しで記事を配信した。民主党の藤末健三参議院議員の質問主意書に対し、政府が「選挙運動と認められる場合は違法」という答弁書を閣議決定したという内容だった(詳細は参議院のウェブサイトに公開されている)。これは従来回答の範疇(はんちゅう)にとどまるが、「『つぶやき』は違反」とのタイトルに大きなインパクトがありネット上に広がった。
 「Twitter(ツイッター)」は140字以内でつぶやきを投稿するミニブログサービスで、米国やイランの大統領選挙での情報共有にも使われ、日本でも情報発信に利用する議員が出始めている。禁止報道が流れたちょうど前日の21日には、自民党の両院議員懇談会を橋本岳衆院議員がTwitterで生中継し盛り上がっていたが、水を差されてしまった。
 ポータルサイト「ライブドア」で行われているネットリサーチの質問「『選挙運動でTwitter』は公選法違反、納得できる?」は5日夜時点で1200人以上が参加し、「納得できない」との回答が6割を超える。気軽に情報発信できるツールをなぜ選挙に活用できないのかというユーザーの不満はずっとくすぶり続けてきた。しかし、ネット選挙解禁の機運は2005年の衆院選よりも後退した印象を受ける。
■自民党がネットに近づいた2005年
 05年8月、自民党は公示直前にブロガーとメルマガ作成者との懇親会を開催して大きな話題となった。その場で武部勤幹事長(当時)が公職選挙法の改正に言及。その後も自民党はネット選挙を推進する構えを見せ、「06年にも解禁か」といわれた時期もあった。
 なぜ、自民党はネットに関心を持ち、近づいたのか。それを理解するためには05年の政治状況を確認する必要がある。
 小泉純一郎首相(当時)は、郵政民営化を争点に「自民党をぶっ壊す」と衆議院を解散した。自民党内は郵政民営化の賛否で分裂。小泉氏が反対派に「古い自民党」のレッテルを貼り、「刺客」候補を送り込むという前代未聞の選挙戦が繰り広げられた。選挙が終わってみれば賛成派の圧勝だったが、小泉氏は野党だけでなく自民党内や自民党員とも戦わなければならなかった。
 選挙直前という非常にリスキーな時期に、ソーシャルメディアを対象にしたイベントを実施したのは、イベントをマスメディアに取材させて有権者に「新しい自民党」を印象付ける戦略に加え、新たな票を獲得するという目的もあったはずだ。
 メディアもしがらみや既得権益と無関係ではいられないが、ネットは新たなメディアで既得権益から遠い。ユーザーの年齢層を考えても、従来の自民党支持者ではない新たな有権者にアプローチできる可能性を感じたのだろう。実際、ネットでは自民党の支持を表明するブロガーもいた。
 しかし、自民党はその後ネット選挙解禁から遠ざかる。小泉政権が終わったこと、選挙で予想以上に多くの国民の支持を得たことで、ネットユーザーに目を向ける必要がなくなったのだろう。
 06年6月、ネット選挙解禁に向けて民主党は公職選挙法の改正案を国会に提出した。それを伝える民主党サイトのニュース記事は「自民党は総選挙の勝利でインターネット選挙運動の解禁に傾いたが、その後ネット選挙はむしろ民主党を利するという判断に傾いたのではないか」と書いている。この見解も、そう外れてはいないだろう。
■ネットは票にも金にもならない?
 政治家というのは票に「現金」なものだ。
 自民党と民主党は、日本経団連にマニフェストを説明したが、献金だけでなく組織票も期待できる企業のトップが顔をそろえる団体を重視するのは当然のことだ。民主党が個人献金へのシフトを主張するのは、支持を受ける労働組合の一人ひとりから献金を集めることができるためとも考えられる。
 一方、ネットユーザーはどうか。そもそも自律・分散型のネットワークであり、まとまった動きになりにくい。既存勢力へのオルタナティブ性を帯びていたこともあり、政治や業界団体といった活動に嫌悪感を示す人も少なくなく、影響力が目に見えにくい。
 それを痛切に感じたのは、昨年春に巻き起こったネット規制の取材の最中だった。ネットを利用して法案策定のプロセスを公開して透明な政治を行ったらどうかと問いかけた筆者に、ある政治家は「ネットは票にならない」と理由を説明したのだ。最近も、大衆薬の通販規制で矢面に立っているネット企業の担当者が「ネットは業界団体がないから、個別企業がいくら主張しても政策に反映されない」とこぼしていた。
■ネットユーザーと選挙の関わりを「見せる」ことが大事
 Twitterを利用している議員やネット選挙解禁に関心がある政治家は、若いか、主流派ではないことが多い。崖っぷちだった小泉氏しかり、既得権益者の支持基盤が弱いからネットに注目しているという面もある。だから、今回のように焦点が従来の延長線にある選挙ではネットは見向きもされなくなる。
 米国では、04年のディーン氏、08年のオバマ氏と、大統領選でのネットの影響力が着実に高まっている。オバマ陣営はソーシャルメディアを効果的に活用し約6億ドルの選挙資金を獲得したとされる。重要なのは、動画共有サイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で多数の有権者を動かし、全体の9割を小口の個人献金でカバーしたことだ。オバマ大統領誕生は組織や団体ではなく、個人のパワーが集結した結果といえる。
 日本でもようやく楽天がクレジットカードによる個人献金を受け付けるサイトを立ち上げ、条件は整いつつある。ソーシャルメディアのパワーと寄付という両輪が動き始めれば、政治家はネットユーザーを意識せざるを得なくなる。ネット選挙解禁の流れをつくるには、ネットユーザーが投票することが一番の近道だ。その際に大事なことは選挙に積極的に関わっていることを「見せる」ことだ。
 インターネットユーザー協会(MIAU)が「MIAU総選挙プロジェクト2009」と題して、情報通信政策について政治家にアンケートしたり、政見放送を録画して選挙後にYouTubeで公開したりする活動を展開しているが、これも1つの手法だろう。投票したことをブログに書くだけでもいい。ネットユーザーの関わりが見えれば、「選挙に落ちればただの人」になる政治家はもっとネットを意識するようになるはずだ。



世界の携帯電話出荷、減少続く 4~6月期
 【ロンドン=清水泰雅】世界の携帯電話出荷の伸び悩みが長引いている。米調査会社IDCによると、2009年4~6月期の携帯電話出荷台数は前年同期比10.8%減の3億220万台と、3四半期連続の減少となった。韓国勢に比べて出遅れた米モトローラと英ソニー・エリクソンの落ち込みが目立ち、首位のフィンランド・ノキアとともに販売シェアが低下している。
 携帯電話機の出荷台数は新興国の需要で拡大していたが、景気の後退で昨年後半から急減速。今年1~3月期に同17.2%減まで落ち込んだ。4~6月期は減少幅が縮小したものの、2けたの大幅減となった。



露批判のブロガーへの攻撃か 「ツイッター」のトラブル
 米国で6日、インターネットの会員制交流サイト、ツイッターなどが一時アクセス不能となったのは、ロシア当局批判を続けるブロガーを狙ったハッカー攻撃が原因とみられると、8日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルなどが伝えた。
 同紙によると、狙われたのはツイッターやフェースブックなどのサイトを通じ「ロシアは侵略者」などの批判を重ねてきたブロガーで、居住地はグルジアの首都トビリシとしている。
 同日付ニューヨーク・タイムズ紙によると、このブロガーはグルジアからの分離独立を主張する親ロシアのアブハジア自治共和国から逃れてきた大学教員という。
 昨年8月のグルジア軍による南オセチアへの進攻と、これに対抗したロシア軍の軍事介入を機に、双方によるハッカー攻撃も強化されていた。



消費税引き上げ 必要性を率直に国民に説け(8月9日付・読売社説)
 社会保障制度を持続可能にする財源をどう確保するか、もう答えを出す時ではないか。
 安定財源となり得るのは、広く薄く負担を求める消費税しかないことは多くの国民が理解している。
 だが、衆院選に向けた与野党の消費税議論は一向に深まっていない。景気回復や歳出削減の徹底が先だとしても、与野党は選挙戦を通じて、将来の引き上げの具体像を示すよう努めるべきだ。
 自民党は消費税を含む税制抜本改革について、「2011年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後、遅滞なく実施する」と政権公約に明記した。
 増収分の全額を社会保障財源に充てる目的税化を行い、税率を段階的に引き上げる。その準備を終える期限を約束したのは、責任ある姿勢といえるだろう。
 与党は05年の前回衆院選で、07年度をメドに消費税などの抜本改革を実現すると公約したが、果たせなかった。今回は真剣に取り組むというなら、税率や引き上げ時期をはっきりさせるべきだ。
 民主党は、今後4年間は消費税率は引き上げないという。前回衆院選では年金目的消費税として、3%の引き上げを掲げていた。なぜ今回は引き上げを不要としたのか、十分な説明はない。
 昨年暮れの「税制抜本改革アクションプログラム」では、「消費税の重要性はますます高まる」とし、民主党政権の最初の任期中に消費税を含む税制改革の制度設計を進めることを明記した。
 社会保障財源として消費税を活用し、その制度設計を始めるなら、与党が示した道筋と大差はない。ならば、国民に負担増の必要性を率直に説くべきではないか。
 スウェーデンの25%を筆頭に、イギリス、ドイツ、フランスなど欧州の付加価値税の税率は、15~20%が当たり前だ。中国は17%、韓国でも10%だ。日本の5%は、むしろ例外的といえる。
 引き上げで負担が増える低所得者に対する配慮は必要だ。増収分を社会保障に回すことで低所得者への給付は手厚くなるが、同時に生活必需品への軽減税率の適用も課題になる。インボイス(伝票)方式の検討も避けて通れまい。
 民主党は生活必需品の消費税相当額を低所得者に還元する「給付つき消費税額控除」を提唱しているが、実現には所得把握の方法など難題を抱えている。まず軽減税率を考えた方が現実的だ。
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KDDI、家庭内の携帯「圏外」解消 中継装置、無償で設置
 KDDI(au)は携帯電話の電波がつながりにくい家庭向けに、小型の電波中継装置を無償で設置する取り組みを始めた。利用者の自宅内での「圏外」を解消する狙い。半径約10メートルの範囲内の電波を増幅でき、奥まった部屋の通話品質を改善できるという。年間1000~2000世帯程度に設置する計画で、顧客満足度の向上につなげる考えだ。
 このほど総務省から周波数2ギガ(ギガは10億)ヘルツ帯の電波を使う小型中継装置の包括免許を取得した。KDDIの顧客相談窓口に自宅の電波状況に関する苦情があった場合に担当者らが調査に出向き、必要に応じて小型中継装置を設置する。



富士通、パソコン部品調達の窓口一本化 欧州に、規模増やし安く
 富士通はパソコンの世界での部品調達体制を見直す。これまで日本と欧州で別々だった調達窓口を主力の欧州拠点に一本化。基幹部品も世界共通にして購買規模を増やし、調達コストを5%削減する。パソコンは米国や台湾企業が低価格機種で攻勢をかけており、富士通は悪化している事業採算の改善を図る。
 富士通は2008年度のパソコン出荷台数が約736万台で世界8位。日本本社が管理する部品調達は3分の1で、3分の2は欧州に本拠を置く独シーメンスとの合弁会社が手掛けていた。4月に合弁を解消、富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)として完全子会社化したのを機に調達体制を改める。



上場企業、10年3月期の経常益10.5%減 日経集計
 上場企業の収益は足元で改善してきたが、先行きについては不透明感がくすぶっている。2010年3月期通期の連結経常利益は前期比10.5%減と、期初予想(10.8%減)並みとなる見通しだ。製造業を中心にコスト削減が進み、4~6月期決算は予想を上回るペースで回復した。だが世界景気動向は予断を許さず、通期業績については引き続き慎重にみている企業が多い。
 7日までに決算発表を終えた1247社(金融・新興3市場を除く)を対象に、日本経済新聞社が集計した。社数では全体の8割に相当する。期初予想も同じ1247社ベースで算出した。



自動車産業への政府支援、世界で15兆円に 競争環境にゆがみも
 【ニューヨーク=小高航、フランクフルト=下田英一郎、広州=阿部将樹】自動車産業に対する2009年の世界各国の政府支援の総額が、1642億ドル(約15兆6000億円)に達したことがわかった。米調査機関センター・フォー・オートモーティブ・リサーチ(CAR)の集計によると、米国はゼネラル・モーターズ(GM)などの再建に900億ドル近くを投じ、欧州も600億ドル規模を投じた。金融危機の動揺がほぼ収まった今でも一部で支援が拡大中で、特定産業への政府介入で、競争のゆがみや保護主義への懸念も強まりそうだ。
 CARが米ミシガン州で主催した自動車産業の経営者セミナーで政府支援の総額を示した。09年に世界の少なくとも15カ国以上で自動車産業への政府支援が実施された。



「FF XIII」開発は「順調」 発売月は「あと数週間で発表」
 スクウェア・エニックスの和田洋一社長は、年内の発売を予定している「ファイナルファンタジーXIII」について、「開発は順調に進んでいる」とコメントし、東京ゲームショウ(9月24日~27日)出展に間に合わせる考えを示した。
 発売が今年の何月になるかについては、「あと数週間で発表させていただくと思う」としている。



知事会「自民60点、民主58点、公明66点」 分権公約を評価
 全国知事会は8日、自民、民主、公明3党の衆院選マニフェスト(政権公約)のうち地方分権への取り組みに関する採点結果を発表した。100点満点で自民党は60.6点と民主党の58.3点をわずかに上回った。最高点は公明党の66.2点。評価をまとめた古川康佐賀県知事は「各党とも地方分権改革を重視するようになった結果、小差になった」と分析した。
 知事会が事前に設定した評価基準に基づき、29人の知事が採点作業に参加。平均値を各党の点数とした。



「生活水準、向上している」過去最低の2.8% 内閣府世論調査
 内閣府が8日発表した国民生活に関する世論調査によると、生活水準が去年と比べて「向上している」と感じる人は2.8%で、昨年の前回調査より1.6ポイント下がり過去最低となった。「低下している」は33.6%でほぼ横ばい、「同じようなもの」は63.1%で1.8ポイント上昇した。内閣府は「世界的な経済危機の影響が生活感に出ているのではないか」と分析している。
 「日常生活で悩みや不安を感じている」人は68.9%で1.9ポイント低下。さらに悩みや不安を感じている人に理由を複数回答で聞いたところ「老後の生活設計」が54.9%で最も多く、「自分の健康」が49.2%、「今後の収入や資産の見通し」が43.9%と続いた。



民主・小沢氏「日米FTA、何も矛盾しない」 持論を展開
 民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で明記した日米の自由貿易協定(FTA)を巡って揺れている。菅直人代表代行は7日に「締結する」から「交渉を促進する」と修正する方針を表明。しかし、小沢一郎代表代行は8日、鹿児島県肝付町で記者団に「農家には戸別所得補償制度の導入を提案しており、食料自給体制の確立と自由貿易は何も矛盾しない」と持論を展開した。
 小沢氏は2007年の参院選でFTAの推進と、農業や漁業の生産コストと販売価格の差額を補てんする戸別所得補償制度をセットの政策として訴えた。貿易自由化を進めても農家の経営が成り立つようにする狙いだが、衆院選に向けて与党や農業団体が強く批判。小沢氏は「農協が一方的にわいわい言っているケースもあるようだ。ためにする議論でしかない」と意に介さないが、党内外で火種になる可能性もある。



欧州、大西洋・地中海のクロマグロ禁輸提案へ 10年3月の国際会議で
 【ブリュッセル=瀬能繁】大西洋・地中海のクロマグロ(本マグロ)を保護するため、輸出入の全面禁止をめざす動きが欧州で広がってきた。絶滅の恐れがある動植物の取引を規制するワシントン条約の対象として提案する見通し。欧州最大の漁獲国であるフランスが規制を容認する方針に転換、独英オランダも支持を表明した。米国も同様の検討に着手しており、来年3月の国際会議で提案が採択されると、最大の輸入国である日本の食卓や外食産業などに大きな影響を与えそうだ。
 クロマグロはすしや刺し身に使われる高級マグロ。大西洋・地中海のクロマグロの漁獲量は、約3万4千トンで、大半は日本に輸出されている。日本のクロマグロ消費量の約6割が同海域産という。



予算ムダ点検の「中止」を文科省が要求
 予算を効率的に使っているかどうか政府が自己点検する「政策評価」制度を巡り、文部科学省が現在進行中の手続きを停止するよう所管の総務省などに求めていることが8日、明らかになった。
 民主党が政権を獲得すれば手続きが不要になる可能性などを理由に挙げている。他省庁からは、閣議決定に基づいて予算の効率化を目指す手続きを一省庁の判断で停滞させるのは不適切との指摘が出ており、今後論議を呼びそうだ。



日経社説 09衆院選 政策を問う 自由貿易と農業再生の両立策を示せ(8/9)
 日本の農業は病んでいる。多くの農地が荒廃し、農家の高齢化も進んでいる。食料自給率は低迷が続く。農林族、農協、農水省の3者が支配してきたこれまでの農政を抜本的に見直し、再生を目指した改革を実行しない限り、日本の農業には日本の食を担う力がなくなってしまう。
 自民、民主両党は危機的な状況を打開する方策を、どこまで具体的に政権公約で描いたか。農業票の獲得に目を奪われるあまり、どちらも改革の道筋を示す説得力に欠ける。
所得補償の具体論を
 第一の論点は農家に対する国の支援策だ。農業の国内生産力は農業関係者だけでなく、国民全体の資産である。この基本認識は両党に共通している。農業生産を支える農家の所得を、必要に応じて財政負担で補償する考え方は基本的には正しい。
 ただし、農家への支援の条件が不明確なままでは、負担を強いられる納税者に納得してもらえない。自民党は「すべての意欲ある農家を支援対象とし、面積・年齢要件は撤廃する」と記した。現実に「意欲ある農家」をどう判定するのか。
 2007年に政府が導入した農家の経営安定化策では、支援対象に4ヘクタール以上の面積条件を設けた。農家1戸当たりの耕作面積を広げる方向に誘導し、日本の農業全体の生産性を高める狙いが明確だった。今回の政権公約は、この改革路線から大きく後退したと見なさざるを得ない。
 民主党は、小規模経営の農家を含めて支援する「戸別所得補償制度」の創設を掲げた。これだけでは自民党と同じばらまき政策だが、補助額について「規模、品質、環境保全、主食用米からの転作等に応じた加算を行う」とも約束している。
 全農家を補助対象とする一方で、将来の担い手に手厚く配分する修正を施した点は評価できる。両党は今後の党首討論などの場で、農家支援の具体的な条件を明らかにしてほしい。農家を保護しながらも生産性の向上につながる方法で、政策の知恵を競うべきである。
 第二に注目すべき点は、通商政策と農政の整合性だ。両党とも、世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の早期合意や主な貿易相手国との自由貿易協定(FTA)の早期締結を主張している。だが、看板に掲げた自由貿易主義と国内農業に対する保護主義との矛盾は明らかである。
 民主党は当初、公約で「米国とFTAを締結し、貿易・投資の自由化を進める」と宣言し、貿易自由化に向け大きく踏み込む姿勢を示した。ところが、発表後に「交渉を促進する」に軌道修正したほか、コメを自由化対象から除外する方針を農業団体に伝えるなど、迷走が目立つ。
 貿易相手国に市場開放を迫り、日本製品の輸出を増やしたい。しかし、国内の農産物市場は閉鎖したまま保護したい。そんな身勝手な構えを続けても、通商交渉が成立するはずはない。仮に相手国がFTA交渉に応じても、交渉力は大幅にそがれて、日本経済全体にとって実りがある結果は得られない。
 経済外交と国内農政を切り離して論じることはできない。農家の所得を補償するのは、FTAなどで農産物市場を開放しても、担い手の国内生産者が競争力を増し、生き残れる仕組みを築くためであるはずだ。
 両党とも公約では通商と農政の関係に明確に言及すらしていない。本質から逃げず、真正面から難題に挑むべきだ。
農政の透明性を高めよ
 第三に問うべき問題は、これまでの農政のあり方そのものに対する両党の改革の姿勢だろう。日本の農業を再生するためには、農協と政界の農林族、農水省が一体となった不透明な政策決定の構図を、根本から変えなければならない。
 農政は農業関係者だけの閉ざされた専門領域ではなくなっている。消費者は安心で低コストな食生活を求めている。産業界では、生産から流通、加工までを含めて農業分野に新たな事業機会を探す企業が増えている。広い国民の期待に応えるには、農政の透明性が欠かせない。
 これまでの農政のどこが問題だと認識し、どのように改善するつもりか。国民が本当に知りたいのは両党の農政改革の姿勢である。自民党は「食料自給率50%を目指す」とうたうが、目標を実現する道は描いていない。響きのよい文言を並べるだけでは、広い支持は得られない。
 両党は政権公約で農業重視の姿勢を強調している。だが、目標が農業再生なのか、農業票の獲得なのか、その理念の確かさに疑問を抱かざるを得ない。日本の農業への国民の危機感は強い。高まる危機感に応え、未来像を示すべきだ。
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