(#゜Д゜)/新聞

1円玉製造、ピークの2700分の1 電子マネー普及で
 財務省は2010年度に一円玉の製造枚数を前年度比で40分の1に当たる100万枚にとどめる方針を決めた。ピーク時の1990年の約2700分の1にあたる。五百円玉や十円玉など貨幣全体でも、約7億9000万枚と1割弱減らす。電子マネーの普及で、コンビニエンスストアやスーパーなどのおつりが減ったことなどが背景にある。
 国は通常、流通量が増えて足りなくなったり、摩耗して使えなくなったりした分の硬貨を製造する。だが、あまり使われなくなったお金は、日銀の在庫にたまっていき、新たに造らなくてもよくなる。日銀にある在庫だけで、市場で必要とされる貨幣の量を満たすことができるためだ。
 一円玉の製造枚数が減っているのは、個人がエディ、ナナコといった電子マネーを使うことが増えたからだ。特にこの2~3年はコンビニエンスストアやスーパーに加え、地域の商店街や中小店などでも電子マネーを使える店が増えたことで、一円玉の製造枚数が急減したとみられる。
 同省によると、10年度は五円玉と五十円玉の製造もそれぞれ100万枚にとどまる。一円玉も含め、需要が見込みよりも少なければ製造枚数はさらに減る。同省は「一円玉などの少額硬貨の製造は今後も低迷する可能性がある」とみている。



アドビのフラッシュ「信頼できない」 アップルCEO
 米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は29日、ソフト大手の米アドビシステムズを批判する書簡を公開した。アドビは全世界のウェブサイトで普及しているコンテンツ(情報の内容)制作・再生ソフト「フラッシュ」を手がけるが、アップルは「信頼性に欠ける」などとして高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」では非対応。両社の対立がさらに深まりそうだ。
 ジョブズCEOは自社サイトへの投稿で、非対応の理由として、「オープン性」「信頼性」「電池寿命」「タッチ操作への対応」など6項目を列挙。「アドビはフラッシュをオープンだと言うが実際は逆」とした。
 アップルは最新の多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」でもフラッシュに対応せず、ユーザーがネット閲覧してもフラッシュで作られた動画や広告を見ることができない。そのため、アドビに加え、一部のソフト開発者からも「アップルの目的はコンテンツ配信技術での主導権」と批判の声があがっていた。
 アドビは、高機能携帯電話でアップルと競合するネット検索最大手グーグルと協力する考えで、フラッシュを巡るアップルとアドビの溝は当面埋まりそうにない。



大手百貨店4社売上高、4月は2.0~13.5%減
 大手百貨店4社が1日発表した4月の売上高(速報値)は、既存店で前年同月比2.0~13.5%減だった。雨天や気温の低い日が続いたため、ワンピースや薄手のジャケットなどの春物の衣料品が振るわなかった。株価の安定を背景に宝飾品や美術品は堅調だった。
 各社の売上高は、三越伊勢丹ホールディングス傘下の伊勢丹が4.2%減、三越が13.5%減。高島屋が3.0%減。大丸と松坂屋が合併した大丸松坂屋百貨店は2.0%減だった。



音楽不況ここに極まる......あゆ、テルマ、大塚――人気者のCDがまったく売れない!
 CDの売り上げ不振が指摘される中、実際にはどのアーティストのCDが、どれほど売れなくなっているのか? 今回は数人の女性歌手を例に挙げて、最新のCD売り上げの動向をリポートしたい。
 まずはシンガーソングライターの大塚愛。デビュー2作目のシングル「さくらんぼ」(エイベックス・トラックス)で約58万枚、その後もアルバム『LOVE COOK』(同)で約84万枚のセールスを記録するなど、ヒット作を量産してきた大塚だが、ここ数年はCDの売り上げが低迷している。極めつけは、今年4月にリリースされた両A面シングル「ゾッ婚ディション/LUCKY☆STAR」(同)。バンクーバーオリンピックと、本人出演のアルコール飲料のCMのテーマソングのダブルタイアップとあって、大量露出で再起をかけていたにも関わらず、彼女史上ワースト記録の約1万4,000枚と振るわなかった。かねてから激太り説がささやかれ、最近は体調不良で仕事をキャンセルしたという大塚。売り上げ不振による心労が原因だったのかもしれない。
 続いては青山テルマ。青山は08年のシングル「そばにいるねfeat.Soulja」(ユニバーサルミュージック)で約43万枚を売り上げて一躍シンデレラガールとなったが、そのあとはさしたるヒットもなくいまに至っている。今年3月にリリースのシングル「帰る場所」(同)では、映画『ドラえもんのび太の人魚大海戦』の大型タイアップまで付けていたのに、初動セールスは約1,000枚でオリコン初登場63位と痛々しい結果に。「そばにいるね」のヒットの際には着うた850万ダウンロードという驚異的な記録を叩き出し、「着うたの女王」と騒がれたテルマだが、最新曲「帰る場所」では「ダウンロード数が激減している」と、音楽配信関係者も落胆気味に証言する。
 最後は日本の歌姫・浜崎あゆみ。オリコン調べではCDセールスで00年~03年まで男女総合トップに輝き、01年にはCDセールス243.7億円を記録した。しかし、昨年の同売り上げは34.3億円と、絶頂期には遠く及ばない。また、4月14日にリリースされたばかりアルバム『Rock'n Roll Circus』(エイベックス・トラックス)は10曲にタイアップを付けた"売れ線"狙いの作品。発売一週目で20.5万枚を売上げたが、実は前作『NEXTLEVEL』(同)の初動24.1万枚に続き、本人史上ワースト1の初動セールス記録を更新してしまった。
 このように、アーティストごとで比較してみても、CDセールスの落ち込みは明らか。CDに代わるコンテンツ販路として期待されたダウンロード配信も伸び悩む中、レコード会社は新たなビジネスモデルを見出せずにいるようだ。



インタビュー「消費崩壊 若者はなぜモノを買わないのか」/松田久一氏に「嫌消費」を聞く
本来、消費が好きなはずな若者がモノを買わない。収入があっても消費しない。「嫌消費」現象と呼ばれ、25~29歳に多く見られるそうだ。なぜそうなのか。松田久一氏に話を聞いた。
ヴィトン持っているのは笑えるよね
――20歳代後半の若者はモノに興味がなくなっている?
松田 興味はあるのです。でも、これまでとは大きく違っています。従来はモノを欲しいという欲望があって、それを満足させたいと当たり前に思っていました。今の若者は欲望を抑制することに慣れていて、その方が自分らしいとさえ感じています。
人からどう見られるかに「超敏感」で、「バカにされたくない」「背伸びするのはかっこ悪い」と思っている。だから、たくさん買ったりしませんし、ブランド品は敬遠します。で、「高校時代にはやったヴィトンの財布やプラダ(を今持っているの)は笑えるよね」、なんて言い出す若い女性が出てきちゃうんですね。
――もう若者はブランド品に魅力を感じないのでしょうか。
松田 ブランドがまったくダメかというとそうではない。アイテムが豊富で少し手ごろな価格の「コーチ」は人気がありますし、宝島社の女性誌『スウィート』の付録にもなっているファッションブランド「シェル」のトートバッグを持っている若い女性もよく見かけます。「みんなが持っている」という安心感もあるようです。
いろんな分野で「ぶなん」「普通」がいいみたいです。例えば、結婚式。かつてのように数百万円をかける豪勢なものは「ありえない」というわけです。
――男の憧れの象徴だった車はどうですか。
松田 車が必要な地方は仕方がないとしても、交通の便のいい都心で、ローンを組み駐車代を払って車を持つ、なんてかっこ悪いこと。安くて燃費がいい「K4(軽自動車)」でいい。こうした意識は相当浸透しているようで、東京・六本木の交差点で若者がK4に乗っているのをよく見かけます。しかも女の子を乗せていました。昔じゃ考えられない。背伸びして車を買うのが当たり前だった世代からすると驚愕の光景です。もっとも、六本木で今もお金持ちはベンツやBMW、ポルシェといった外車に乗っています。収入に見合っているのだから、それはそれでいいと若者は考えるのです。
――今後、こうした消費行動は広がる?
松田 実は世界的な傾向なんです。米ニューヨークの記者から取材を受けた時の話です。豪華な家や車にこだわる、欲望むき出しといってもいいアメリカでさえ消費行動に変化が起きているといいます。今は日本のバブル後の消費行動がかっこいいと思っていて、日本に学べ、ともてはやされていると聞きました。
アメリカやヨーロッパでは「日本式」が共感を持たれていますが、中国や韓国はかつての日本のように「ブランド大好き」。ここを除けば日本の若者が世界の消費傾向をリードしているんじゃないでしょうか。液晶テレビを若者が買わない理由
――この世代にモノを買ってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。
松田 最近、若者に売れたといえば、日本コカ・コーラのミネラルウォーター「い・ろ・は・す」やサントリーのウイスキー「角瓶」。液晶テレビはどんどん値下がりしていますが、若者のうけはイマイチだそうです。若者が好きなのは、お笑い番組。高画質で大きな画面は必要ない。ワンセグで見ればいいと思っているからです。
「自分たちの気持ちを代弁してくれるもの」「他人にスマートだと思われるもの」を買いたいので、ただ「安い」というだけでは選んでいません。若者がモノを買わない理由をどう解釈し、分析するかで、売れるモノ、売れないモノの明暗が分かれる。
――とはいえ、大手のメーカーや流通企業が路線を変更するのは至難の業です。
松田 そうですね。でも大手も従来のようなモノづくりや売り方ではだめになることはわかっているはずです。例えば車です。ハイブリッド車にどこも力を入れていますが、この世代はついていかないでしょう。最近売り出されたホンダのスポーツタイプのハイブリッド車「CR-Z」は超人気らしいですが、主な客は30歳代の車好き世代だと聞きます。若者を捕まえるには、安くてエコで下駄ばきのような車。仮に、50万円台のソーラーカーが開発されれば、爆発的に売れるのは確実です。そうなれば世界の自動車メーカーに大革命が起きます。
20歳代後半はあきらめ、もっと若い10~20歳代前半をターゲットにした店づくりに力を入れている百貨店もあります。モノづくり産業にとって、嫌消費世代は面倒な存在かもしれません。しかし、貯金もあり、小金持ちなのです。チャンスはあります。この世代をどう消費に引っ張り出すか。日本経済の課題です。



京都新聞社説
脱「GDP神話」  真の豊かさ見いだす転期に
 GDP(国内総生産)世界第2位の地位を、お隣の中国に今年中に奪われるのは間違いない。
 あす開幕する上海万博に、日本の高度成長期に開催された40年前の大阪万博が重なって映る。当時の西独を追い抜き、日本のGNP(国民総生産)が西側世界で第2位となった2年後だった。
 あのころからGNP、GDPという経済指標が、豊かさのモノサシとして特別なまなざしてで見られるようになったのではないか。
 ところが、GNPの豊かさは必ずしも幸せにつながっていない。
 内閣府が今月27日発表した調査によると、日本人の幸福度は10点満点で平均6・5点にとどまっている。2年前の欧州調査では最高のデンマークが8・4点、各国平均が6・9点となっているのに比べて、日本は低い。
 別の内閣府調査をみると、2005年までのデータで1人当たりの実質GDPは上昇傾向で推移しているのに、生活満足度は1990年から下がり続けている。
 先進国で見られる「幸福のパラドックス」と呼ばれる現象だ。貧困状態から脱して一定の所得水準に達すると、幸福度との相関がなくなるという。
「幸福度」求める潮流
 鳩山政権は6月に打ち出す成長戦略に「幸福度」指標を盛り込むとしている。経済界だけでなく冷ややかな反応が聞こえてくるが、実は世界の潮流をみれば決して的はずれではない。
 昨年9月にはフランスのサルコジ大統領がGDPを見直し、「幸福度」や「持続可能性」などを重視した新たな指標を提案している。ノーベル賞経済学者らに依頼した報告書に基づいており、経済協力開発機構(OECD)も歓迎したという。
 英国でも同3月に報告書「成長なき繁栄?」を公表、持続可能な経済に向けた方策を示している。
 GDPは不幸な交通事故や災害、環境汚染があっても、カネが動けば増大する。GDPの限界は70年代から指摘され、先進国の指標としては時代遅れという批判もあるくらいだ。
 GDPを超える新たな指標も提案されている。有名なのはブータンの「国民総幸福(GNH)」だ。精神的な豊かさや文化、環境などを大切に守る国づくりを実践している。経済的には貧しい農業国だが、英レスター大の幸福度調査では世界8位と北欧に並ぶ。ちなみに日本は90位だ。
 米国の民間団体が90年代に発展させたGPI(真の進歩指標)は、GDPでは考慮されない犯罪や家庭崩壊、環境破壊などのコストを控除する一方で、ボランティア活動や家事労働などの価値を加算する手法だ。
 日本でも滋賀大の中野桂教授らの研究グループが独自にGPI計測を手がけ、滋賀県でも5年前に都道府県別GPIを試算するなど、GPIの可能性を探る動きが出ている。
 実感に近い指標こそ
 中野教授らによる研究では、1955~2000年の間の日本のGPIは緩やかな成長だったのが、90年代から減少傾向に変わり、右肩上がりのGDPとの隔たりが大きくなった。
 論文で、GDPは「体重」のようなもの、と中野教授は書いている。子どもの時には順調に増えれば健康だが、成人になればそうはいかない。体重以外に皮下脂肪や血圧などを含めなければ健康を測れない。GPIは大人の「健康」を測る指標というわけだ。
 金融危機前の長期好況の陰で進んだ格差拡大、3万人を超える自殺、リストラといった現実は、GDPの数値からはうかがえない。
 「GPIの方が生活実感に近い」と中野教授は話し、さらにGPIの可能性を指摘する。
 ボランティア活動など市場を経ない価値に対する「主観的」な評価がGPIの弱点といわれるが、むしろ強みとしてとらえたいという。
 行動経済学のごみ拾い実験で、5ドルで雇われた者よりボランティアの方が熱心に活動した例がある。ボランティアはGDPに寄与していないが、社会に貢献したことでGPIはアップすることになる。
 新しい生き方に向け
 給料は減っても労働時間を短くすれば、多くの人が仕事を分かち合うワークシェアが可能になる。地域や家族とふれ合う時間が長くなり、文化活動にもいそしむことができる。
 GDPが多少下がっても、そんな社会の方が豊かに見えないだろうか。現実に欧州で広がりつつあり、日本の地域でも芽生えようとしている。
 綾部市にUターンした塩見直紀さん(45)は、「半農半X」という生き方を提唱し、実践している。農業で自分が食べる分を確保しながら、自身の使命をXとして公益に生かす。塩見さんの「X」は地域や人の交流をサポートして、生き生きとした持続可能社会を実現していくことだ。
 塩見さんの働きかけで、都市から移住した人たちが地元の高齢者とともに新しいコミュニティーをつくっている。GDPへの貢献は小さいだろうが、豊かさを実感する。
 GDPで中国に抜かれることを、塩見さんは「チャンスかもしれないですね」話した。競争から肩の荷を下ろし、日本の良さを見つめ直せるからだ。
 本当の豊かさとは何か。新しい指標を見いだす転期ではないだろうか。
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(゜Д゜;)y─┛~~新聞

通信業界の改革を押し戻す SIMロック守旧派の弱点(COLUMN)
 米グーグルのアンドロイド端末、米アップルのiPadなどは、最初から消費者が自由に通信事業者を選ぶことを前提に設計されている。日本では、数年前から総務省の主導により、そのような流れを見越した準備が進められてきた。だが、通信事業者の思惑により、議論の中身が矮小化されて足止めを余儀なくされている。
 急ごしらえの3枚だった。
 4月2日の午後5時少し前に、日本通信の福田尚久・代表取締役専務兼COOは、総務省の事務方から緊急電話を受けた。
 その日の午後6時から開かれる「携帯電話端末のSIMロックの在り方に関する公開ヒヤリング」(公聴会)への出席要請だった。急きょ、福田専務は夜の予定をキャンセルして、主張の骨子を3枚の図にまとめて総務省に送り、霞が関へ向かった。
 SIM(Subscriber Identity Module)とは、現在使われている第3世代携帯電話(3G)の端末内部に埋め込まれた「個人情報を記録した小型ICチップ」のこと。日本では、通信事業者が消費者を囲い込むための“手段”として、端末と小型チップをセットにして販売している。このチップは、別の通信事業者の端末に差し込んでも使えないようにロック(制限)がかけられている。これをSIMロックと呼び、総務省が主導する公聴会は、SIMロックを解除する方向性について、関係事業者の話を聞くという場だった。
 現時点では、技術上の問題などが残るが、SIMロックが解除されれば、欧米のようにさまざまな価格帯の端末が増え、消費者は自分のSIMを好きな端末に差して使うことができるようになる。
 公聴会の当日、日本通信の社名は、見学者に配られた議事次第にも入っておらず、当の福田専務も「ぶっつけ本番で臨んだのはあれが初めてだった」と振り返る。
 今回、日本通信に常識はずれともいえる急な出席要請がかかったのには、理由があったのである。
 当初、総務省が予定していた米グーグルの日本法人が公聴会への出席を断ったからだ。内藤正光・総務副大臣の意向で公聴会を組織した総務省は、本音ではSIMロックの解除を積極的に望まない既存の通信事業者を向こうに回して、「SIMロックを解除すべきだ」と強く主張する立場の新規参入事業者が必要だったのである。
SIMロック問題は“積み残し”の案件
 結局、この日の公聴会は、すでにSIMロックの解除が既定路線であることを公の場で再確認するための“儀式”にすぎず、最後まで各事業者の主張は一致することがなかった。にもかかわらず、翌朝の新聞各紙には、「合意」と摩訶不思議な見出しが躍り、NTT労組出身議員の内藤副大臣が意図した方向でまとめられた。
 じつは、このSIMロック解除問題は、昨日今日出てきた話ではない。過去に、総務省内の改革派官僚たちが中心になって組織した「モバイルビジネス研究会」の場において、公式・非公式のヒヤリングを重ねて議論が続けられてきたもので、その成果は2007年9月に『モバイルビジネス研究会報告書──オープン型モバイルビジネス環境の実現に向けて』にまとめられた。
 とかく、通信事業者から「役所が余計な口を出すな」と酷評された報告書だが、改革の方向性としては間違っていなかった。
 この報告書には、通信事業者間の競争を活性化させる施策として、(1)MVNO(新規参入の仮想通信事業者)へのネットワーク網の開放、(2)端末代金と通信料金の切り分け(分離プラン)、(3)SIMロックの解除が挙げられていた。
 すでに、最初の二つは実現しており、SIMロックだけが残った。それでも、「SIMロック解除については、2010年の時点で(次世代携帯電話の通信規格である)3.9Gや4Gを中心に法制的に担保することについて最終的に結論を得るという上記の方針を念頭に置きつつ、関係各方面において戦略的取組が開始されることが期待される」と明文化された。
 しかしながら、いったんは端末代金と通信料金を切り分けたことで、店頭価格が上がった携帯電話だが、現在は「0円」が復活している。SIMロック解除問題は、このグレーゾーンにもメスを入れるものなので、通信事業者は乗り気でないのである。
携帯市場を拡大できる最大最後のチャンス
 とりわけ、このSIMロック解除問題で守旧派の急先鋒になっているのが、ソフトバンクモバイル(SBM)の松本徹三副社長だ。
 公聴会、講演会、勉強会、ブログ、ツイッターとありとあらゆる舞台で、精力的に「今、SIMロックを解除すれば、消費者のデメリットのほうが多い」という趣旨の発言を繰り返している。
 だがこれは、裏を返せば、SBMは、今、SIMロックを解除されると、会社の屋台骨を揺るがしかねない大きな“難題”を二つ抱えているからにほかならない。
 第1に、SIMロックが解除されて通信事業者を選べるようになったら、SBMが獲得した累計300万人といわれるiPhoneユーザーが、NTTドコモへと逃げてしまう可能性がある。
 SBM最大の弱点は「ネットワークの脆弱性」なので、通信回線の質で競争すれば負けてしまう。約2兆円の借金も返済中なので、大型の設備投資は不可能だ。質の面で、ドコモは圧倒的に有利なのである。内藤副大臣がこの問題に熱心な理由も、そこにあると目されている。
 第2に、SIMロックが解除されて海外製の安価な端末が出回ると、日本製の高機能端末は売りにくくなる。SBMが0円販売を復活させた「新スーパーボーナス」(特別値引きプラン)で、見かけ上は端末代金と通信料金を分けて販売したあと、販売奨励金などを含めて通信料金で回収する独自のスキームが破綻する。割賦の債権を証券化して運転資金にしているので、右肩上がりで新規契約者を獲得しないと、資金がショートするのである。
 SBMが反対する本当の理由は、消費者のデメリットよりも、自身のデメリットが大きいからとも思える。もっとも、消費者にとっても、現在のところはSIMロックを解除しても、音声通話とSMS(海外で主流の電話番号付きのショートメッセージ)などに限定されるか、日本で主流の携帯メールアドレスが互換できないなどの課題が残る。
 通信事業者としては、今からオープン化を進めて互換性の問題解決に乗り出しておけば、市場のパイを拡大できる可能性があるし、日本製のスマートフォンで海外に打って出れば将来に禍根を残すこともなくなる。
 総務省は、6月にSIMロック解除のガイドラインを出す意向を示した。当初の「義務化」は見送られて、スマートフォンと割賦の支払いがすんだ端末については、希望する消費者のロックを解除して選択肢を増やす方向に落ち着く見込みである。



サンリオ、国内40店を閉鎖 海外ライセンス強化
 サンリオは主力事業である国内の物販事業を見直す。売上高の落ち込みが大きい百貨店内の店舗を中心に、3年間で全国260店の15%にあたる40店を閉鎖する。雑貨などの売上高が伸び悩んでおり、海外でのキャラクターライセンス事業に成長の軸足を移す。少子高齢化の影響を受けている玩具などの他企業も海外シフトを急いでいる。
 サンリオは全国の百貨店やショッピングセンター内の「サンリオショップ」で、自社キャラクターをあしらった文具や雑貨、ギフト用品などを販売。国内物販事業の売上高は2010年3月期(推定)で約250億円と総売上高の約3割を占める。ただ直近のピークである04年3月期の335億円から大幅に減少し、本部の関係人件費なども含めると営業赤字に陥っている。
 このため特に販売状況が悪い地方百貨店内の店舗を中心に店舗網を見直す。120店ある百貨店内店舗は4分の1にあたる30店を閉鎖。採算性の高い店舗に集約して運営コストを抑え、事業を黒字転換させる。店舗閉鎖に伴い、約700人いる同事業の人員も約1割を配置転換で削減する。
 今後は経営資源を成長の見込める海外事業などへ重点的に配分する。具体的には欧米やアジアで主要キャラクター「ハローキティ」の人気が上昇しているのを受け、同キャラクターの使用ライセンスを現地企業へ販売する事業を強化する。



電子部品、業績が急回復 大手5社前期 新興国需要が追い風
 薄型テレビやパソコンなどデジタル機器の需要拡大を背景に、電子部品大手各社の業績が急ピッチで回復している。30日までに発表した大手5社の2010年3月期連結決算は、最終損益が軒並み改善した。11年3月期もサッカーのワールドカップ(W杯)の開催に伴う薄型テレビ特需などを追い風に電子部品業界の活況が続く見通しで、全社が最終増益を見込む。
 「中国など新興国の需要拡大に支えられた」。村田製作所の村田恒夫社長は30日の決算会見の席上、純利益が前の期の6.9倍になった前期業績の背景についてこう述べた。携帯電話やAV(音響・映像)機器などの需要増を受け、主力のコンデンサーが好調に推移。リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ稼働率も急回復した。
 エコポイント制度の後押しによる国内での薄型テレビ市場の拡大も電子部品各社の業績の追い風になった。日東電工ではテレビなどに使う液晶パネル用偏光フィルムを中心に、液晶表示用材料の売上高が18%伸び、業績をけん引した。
 TDKが同日発表した前期決算は、最終損益が135億円の黒字(前の期は631億円の赤字)に転換した。主力のハードディスク駆動装置(HDD)用ヘッドが高水準の出荷が続いたうえ「生産拠点集約など構造改革の効果も多大に寄与した」(上釜健宏社長)。
 今期もデジタル機器の市場拡大を背景に、大手5社がそろって最終増益を予想している。日本電産は2期連続の最高益を見込む。新興国のパソコン需要拡大でHDD用モーターが伸びる。業績回復を受けて増産投資に動く企業も多い。京セラは半導体に使われるセラミックパッケージの増産などで今期の設備投資を前期比6割増の600億円に引き上げる。
 もっとも、先行きには不透明感もくすぶる。日東電は上期に通期の純利益の55%を稼ぐ計画で、下期は「W杯などイベントの反動が読み切れない。リーマン・ショックから完全に立ち直っているとは思わない」(柳楽幸雄社長)と慎重な姿勢だ。



「ソーシャルゲーム大成功」 DeNA、四半期利益倍増
 「ソーシャルゲームが大成功した」――ディー・エヌ・エー(DeNA)が4月30日に発表した2010年1~3月期連結決算は、売上高が前年同期比81%増の190億円、営業利益が2.4倍の98億円と急成長した。ソーシャルゲームの急拡大が、売り上げ・利益とも押し上げた。
 主力の「モバゲータウン」で09年10月に内製ソーシャルゲームを投入。今年1月からゲームプラットフォームをオープン化し、他社製ゲームも導入した。10年3月末現在、オープンゲーム提供パートナーは59社、タイトル数は148。内製ゲームのmixiアプリへの提供も行っている。
 10~12月期のソーシャルゲーム売上高(mixiアプリ提供ゲームからの売り上げ含む)は35億円だったが、1~3月期はその3倍・100億円(mixiアプリからの7億円含む)に急成長。モバゲーの総売上高(10年1~3月期:139億円)に占めるゲームの割合は約7割まで上昇し、「ソーシャルゲームが売り上げの中心になってきた」
 ソーシャルゲーム投入をきっかけに月間ページビュー(PV)も急拡大。09年9月は175億PVだったが、12月は380億PV、10年3月は616億PVと「日本最大級のPVを短期間で実現した」。PV急拡大を支えた技術者のスキルの高さも同社の自慢だと南場社長は話す。
 低迷していたアバター販売も復調の兆しを見せている。09年10~12月期のアバター売上高は14億円だったが、10年1~3月期は18億円に。ソーシャルゲームの成功でアバター利用も活性化し、動きを付けられる新アバター「3Dアバター」の人気に火がつき始めているという。
「ソーシャルゲームを中心に、積極的に攻める」
 今期(11年3月期)は「ソーシャルゲームを中心に、積極的に攻める年」。既存ゲームをブラッシュアップする一方、新規ゲームも投入していく。ソーシャルゲームメーカーなどをインキュベートするファンドへの25億円の出資も発表した。
 「mixiモバイル」へのゲーム提供も強化。Facebookなどほかのプラットフォームへのゲーム提供も行う予定だ。英語圏と中国を中心に、ソーシャルゲームプラットフォームの構築も目指す。
 ヤフーと提携して構築するPCサイト「Yahoo!モバゲー」や、NTTドコモとの合弁新会社でスタートするモバイルECサイト「E★エブリスタ」など新規事業にも力を入れる。



ANAセールス、2年で人員2割削減
 全日本空輸の旅行子会社で国内旅行4位のANAセールス(東京・港)は、今後2年でグループ全体の従業員数を現在の1850人から1450人へ約2割削減する。3月に30人の正社員が希望退職に応じて退職したのに続き、2011年春の新卒採用を凍結する。従業員の25%を占める派遣社員なども減らし、必要業務を正社員がこなすようにする。
 10月をメドに販売子会社のANAセールス北海道(札幌市)、同九州(福岡市)、同沖縄(那覇市)の3社を吸収合併して間接業務の要員を抑える。3月末まで5カ所あった予約受付のコールセンターは今月に沖縄県の拠点を閉鎖、さらにもう1カ所を11年3月期中に閉める予定だ。
 同社は景気低迷による客単価の大幅な低下などが響き10年3月期の営業損益が1億円の赤字となった。



韓台半導体大手、設備投資上積み 業績回復受け攻勢
 【ソウル=尾島島雄】韓国と台湾の半導体大手の業績が急速に回復している。メモリーで世界首位の韓国・サムスン電子の1~3月期の半導体部門の営業利益率が前四半期比で7ポイント高い24%に上昇するなど、各社とも1~3月期としては過去最高水準の利益をあげた。半導体市況は4~6月期以降も強含みだと判断し、2010年の設備投資を上積みする方向だ。
 韓台の半導体メーカーはメモリーや、システムLSI(大規模集積回路)のファウンドリー(受託生産)で日本勢より市場シェアが高い。08年後半以降の半導体景気の低迷からいち早く脱却して攻めの経営に転じ、日本の競合メーカーを引き離す構えだ。
 30日発表したサムスンの1~3月期の連結業績は半導体に引っ張られる構図が鮮明で、同部門の営業利益は前四半期比46%増の1兆9600億ウォン(約1666億円)。売上高は全社の23%にすぎないが、営業利益では44%分を稼いだ。パソコンなどに搭載するメモリーであるDRAMの販売が好調だった。
 韓国のハイニックス半導体の1~3月期は連結営業利益が前四半期比13%増の7990億ウォン。DRAMの平均販売価格は前四半期比3%上昇し、出荷量も6%増えた。
 市況回復を受け、サムスンは30日、メモリーで10年に5兆5000億ウォンとしていた従来の設備投資計画を見直す方針を示した。ハイニックスも2兆3000億ウォンからの増額を検討している。
 一方、ファウンドリーで世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)は、例年はクリスマス商戦の反動で需要が落ちる1~3月期も売上高が前四半期比で0.1%増の921億台湾ドル(約2763億円)に達した。張忠謀(モリス・チャン)董事長は4~6月期の売上高が1000億~1020億台湾ドルに増えるとの強気の予想を示した。
 TSMCは10年の設備投資を前年比で8割多い過去最高の48億米ドルとする計画。ファウンドリーで世界2位の聯華電子(UMC)も、1~3月の半導体出荷量が材料であるシリコンウエハー換算で四半期ベースの過去最高を記録した。
 台湾のメモリー大手では、南亜科技がDRAM需要の拡大が続くと判断し、10年の設備投資額を当初計画から16%上積みし220億台湾ドル(約660億円)にする。南亜は1~3月期は赤字に転落したが、今後の需要見通しには強気だ。



ソニー、2年ぶり営業黒字に 前期、液晶TVが堅調
 ソニーの2010年3月期(米国会計基準)業績は、本業のもうけを示す連結営業損益が2期ぶりに黒字(前の期は2277億円の赤字)に転換したもようだ。黒字幅は数百億円となる可能性が高い。従来、300億円の赤字を予想していたが、液晶テレビの販売が堅調に推移した。人員削減などのコスト削減も損益の改善に貢献した。
 中国市場に投入した低価格液晶テレビが好調。国内市場ではエコポイントの恩恵も受け、液晶テレビの販売台数は1600万台弱(計画は1500万台)に達したようだ。価格下落の影響も限定的で、テレビの損益が想定以上に改善した。
 コスト削減も進んだ。部材などの調達コストは年間約5000億円規模で削減。また、不振だった携帯電話の英ソニー・エリクソンは10年1~3月期、7四半期ぶりに最終黒字に浮上した。
 ソニーの黒字化により、東芝やシャープなど売上高が1兆円を超える日本の主要電機メーカーの営業損益は前3月期、全社が黒字を確保したとみられる。ただ一時的なリストラ費用の計上などで、最終損益では赤字が続く企業が残る。



日経社説
新産業の発掘・育成に乗り出す日銀
 長引くデフレの背景は、経済の生産性が下がり将来への期待も低下したことである。そんな認識に基づいて、日銀が新産業の発掘や育成の支援を始める。物価、景気や金融を安定させる本来の仕事から、一歩も二歩も踏み出すものだ。
 新興国や資源国の経済拡大に引っ張られ、日本経済が持続的な成長に戻るメドが立ちだした。消費者物価も2011年度には、小幅ながら上昇に転じる見通しとなってきた。
 日銀が30日発表した経済・物価の「展望リポート」は、こんな見取り図を描いた。日本はリーマン・ショック後の危機を脱しつつあるといえるが、その先にある経済の姿を民間も政府・日銀もつかみかねている。
 バブルが崩壊してから20年にわたる長期低迷で、経済が無理なく伸びられる潜在成長率は0.5%程度まで低下してしまった。
 日本経済の成長基盤を取り戻すために、民間金融機関を資金面から支援したい。30日の金融政策決定会合で、日銀はそんな方針を決めた。生産性を高めるための研究開発への支援や、環境・エネルギー分野の後押しが想定される。
 日銀はいま金融市場に年0.1%の低利で3カ月物の資金を供給している。新分野への融資を増やした金融機関にはその期間をもっと長くして、腰を据えて新規案件を発掘できるようにすることが考えられる。
 発足直後のベンチャー企業の資金調達支援も大きなテーマだけに、証券化の手法を活用し、返済の優先順位の高い部分に日銀がカネを出すことも、将来の課題になるだろう。
 中央銀行がリスクマネーの出し手を支援する劇薬なので、副作用も心すべきだ。日銀自身に融資の目利きの能力がないことを忘れてはならない。民間の融資規律が緩み、後押しした日銀が信用リスクを抱え込むような事態は防ぐ必要がある。
 今回の措置は民間金融機関を支援するものなので、郵便貯金を元手にした融資で民間を圧迫する日本郵政とは違うと、日銀はいうだろう。だが、中央銀行が民間金融に手を染めることで、もうひとつの政府系金融が誕生するようでは困る。あくまでも民間の金融機関の仕事を後押しし、新しい産業や技術に資金を流す呼び水の役割に徹してほしい。
 30日の決定には、望ましい物価上昇率を目指し金融政策を運営するインフレ目標を受け入れたくないばかりに、日銀が奇策をろうしたとの批判もある。デフレ脱却と経済再生に向け政府と足並みをそろえることが大切なのは、いうまでもない。
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