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任天堂、「DSi」2割値下げ 販売苦戦で巻き返し
 任天堂は2日、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズの国内での希望小売価格を19日から引き下げると発表した。主力機種の「DSi」は1万8900円から1万5000円に値下げする。爆発的な売れ行きを記録した同シリーズも2010年3月期の販売台数は前の期を割り込んでおり、価格改定で巻き返しを狙う。
 大画面の「DSi LL」は2万円から1万8000円、小型の「DS Lite」は1万6800円からオープン価格に変更する。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」でゲームを楽しむ人が増えるなど、競争環境は厳しさを増しているという。



Twitterで見る、鳩山首相辞任表明
 鳩山由紀夫首相が6月2日、民主党の両院議員総会で辞任を表明した。小沢一郎幹事長にも辞任を求め、了承を得たことを明らかにした。
 辞任表明が報じられた午前10時前後から、Twitterはこの話題で持ちきりに。Twitterでよく書かれている単語を拾う「buzztter」(ばずったー)も、「鳩山辞意表明」「小沢幹事長も辞任」といった関連語で埋め尽くされている。
午前11時10分時点のbuztter
 辞任表明を受け、一部の政治家もTwitterでコメントしている。民主党の 蓮舫参議院議員は「情報公開、クリーンな党の再生のために尽くします」など決意表明し、今後の党の予定もツイート。自民党の山本一太参議院議員は「(参院選を前に)新しい総理になれば、多少はムードが変わる。要警戒だ」などと書き込んだ。前日に鳩山氏と会談した東国原英夫宮崎県知事は、「え?総理、辞任?」と驚きのコメントを投稿している。
鳩山首相のTwitterは“沈黙”
 経済・芸能界の有名人もTwitterで意見を表明。ドワンゴ取締役の夏野剛さんは、「政権交代しても政治は信頼できないということを証明してしまったこの後のニッポンはどうなるのか。(中略)今の枠組みでは改革は望めない。古い人はもういらない」などコメント。俳優の松尾貴史さんは、「鳩山氏、よい決断をされた。演説も良かった」と評価している。
 日本一のフォロワー数を持つ鳩山首相のTwitterは、5月30日の日中韓サミットに関するツイート以来、更新されていない。



【首相辞任】菅直人副総理が民主党代表選出馬へ 首相に伝えたもよう
 民主党の菅直人副総理・財務相は2日、鳩山由紀夫首相(民主党代表)の辞任表明を受け、後継を選ぶ民主党代表選に出馬する意向を固めた。同日午後、首相官邸を訪ね、鳩山首相との会談に臨み、出馬の意向を伝えたもようだ。



郵政改革法案、派遣法改正案…成立微妙に
 鳩山首相の2日の退陣表明を受け、今国会で審議中の政府提出の重要法案の成立が微妙な情勢になってきた。
 国会会期の途中で首相が交代した場合、首相指名で選ばれた新首相が新内閣を組閣し、所信表明演説をするのが通例だ。
 その後、衆参両院で代表質問が行われるため、その間、法案審議に「空白」が生じることになる。
 さらに、代表質問を行った後には、衆参で予算委員会の質疑を行うケースも多い。実際、会期中に首相が退陣した後に組閣した羽田、森、小泉、福田内閣などでは、代表質問後に予算委が開かれている。
 今国会の会期末は今月16日で、会期を延長しなければ、重要法案の審議の成立は難しいとの見方が強いが、民主党は会期延長は行わない方針を崩していない。重要法案の成立の見通しは立たないのが現状だ。
 今国会で審議中の重要法案には、わずか1日の審議時間で衆院を通過させた郵政改革法案、国家公務員の幹部人事を内閣で一元管理するための国家公務員法等改正案、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するとの目標を明記した地球温暖化対策基本法案などがある。
 現在、衆院で審議中の労働者派遣法改正案については、今国会成立は難しいとの見方が出ている。
 今国会は参院選を控えているため、衆院を通過して参院に送付済みの法案は、国会が閉幕すれば廃案となる。



東京株終値は108円安 政局混迷なら日本株敬遠の動きも
 2日の東京株式市場は、鳩山由紀夫首相の辞任に伴う政策の停滞懸念が広がる一方、政局の行方を見極めたいという様子見ムードも広がり、日経平均株価の終値は前日終値比108円59銭安の9603円24銭と続落した。東証1部全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は同9・99ポイント安の870・05。
 欧州の財政問題や中国の金融引き締めなど海外経済の不透明さが増す中、鳩山首相と民主党の小沢一郎幹事長の辞任が決まり、市場では「仕切り直しになり、むしろ好影響」(大手証券)との声も出た。
 このため平均株価は一時、同51円58銭高の9763円41銭まで反発したが、その後は政局の不透明感を嫌気して、じりじりと値を下げた。中国を中心とするアジア株も軟調で、相場の重しとなった。
 首相辞任の株式市場への影響について、日興コーディアル証券の橘田憲和ストラテジストは「前日の党幹部との会談など(辞任の)兆候は見えていたので、それほどサプライズはない」と指摘。ただ、「参院選後もねじれ国会が続けば、政局の流動化を嫌う外国人投資家が日本株を敬遠する可能性もある」としている。



【首相辞任】「国民失望、民主と経済界の考え方違う」同友会代表幹事会見
 桜井正光経済同友会代表幹事は2日の記者会見で鳩山首相の辞意表明について「8カ月という短期間で辞任されたのは遺憾だ。重要な政策課題が山積しているのに辞めるとは。国民の失望のみならず日本に対する海外の不信増大を招きかねない」と懸念を示した。
 国民の政治不信を解くためには「国を預かる人のリーダーシップだけではなく、政権の運営体制の再構築が必要だ。参院選では鳩山政権の政策運営をしっかり見直して政権与党として責任感のある政策を示してもらいたい」と注文をつけた。
 また「経済界は鳩山政権発足後、建設的協力関係を構築することが非常に難しくなった。民主党とは基本的に考え方が違う。国民生活が大事だということは否定はしないが、民の力をいかに活用するかという政策が大事だ」と強調した。



小沢氏道連れに退陣、新政権の浮揚効果狙う?
 2日の民主党両院議員総会で、最も衝撃を広げたのが、首相の次の発言だった。
 「私自身もこの職をひかせていただくことになるが、幹事長も恐縮ですが、ひいていただきたいと言った。そのことで、よりクリーンな民主党を作り上げることができる」
 自ら身をひくと同時に、「政治とカネ」の問題を抱える小沢幹事長にも辞任を迫った「舞台裏」を明かしたのだ。
 首相は前日まで、続投に向けて強気の発言を繰り返すなど、政権維持に自信を持っているかに見えた。来日した中国の温家宝首相との会談をこなし、家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に見舞われた宮崎県を急きょ視察するなど、公務を次々とこなした。
 首相周辺も「首相は辞める気などさらさらない。退陣要求は参院の一部に過ぎない」と自信を見せていた。
 だが、首相は内心、政権維持への意欲を徐々に失いつつあったようだ。
 小沢氏と輿石東民主党参院議員会長との2度にわたる会談では、今夏の参院選で改選を迎える輿石氏から、参院を中心に「鳩山首相では戦えない」との声が高まっていることや、社民党の連立離脱で重要法案の成立が困難視されていることを詳しく伝えられた。「人一倍、プライドが高い」(首相側近)とされる首相にとって、わずか8か月半で政権を放り出すのは、文字通り「苦渋の選択」だったに違いない。このため、党内や世論の批判が強い小沢氏を道連れにする形での「ダブル辞職」によって、新政権の浮揚に貢献する道を選んだようだ。退陣表明後、首相官邸に戻った首相は、記者団から「一言お願いします」と呼びかけられると、力なく答えた。
 「いいよ、もう十分です。ありがとう」
 歴史的な政権交代を果たしながら、道半ばで退場する悔しさをにじませた。



子ども手当、高校無償化…財政悪化の置き土産
 2009年8月の衆院選で歴史的な政権交代を果たし、民主、社民、国民新3党の連立で同年9月に発足した鳩山政権は、家計への直接支援を重点政策とし、民主党政権公約(マニフェスト)に掲げた子ども手当の創設、高校授業料実質無償化の実現などの「成果」を上げた。
 ただ、マニフェスト実現にこだわるあまり、10年度予算で歳出が過去最高の92兆円超となる一方、国債発行が税収を上回る44兆円に達するなど、国家財政の一層の悪化を招いた。
 鳩山政権が最も重視した「子ども手当」は、中学生までの子ども1人当たり月額2万6000円(10年度は半額)を支給するもので、今月1日から一部自治体で支給が始まった。高校授業料の実質無償化も4月1日から行われている。農業経営の安定を目的に農作物価格と生産コストの差額を国が助成する戸別所得補償制度も導入した。
 鳩山首相は2日の民主党両院議員総会で「私たちの判断は間違っていないと確信している」と成果を強調した。
 こうした「ばらまき」色の強い政策を実現する一方、マニフェストに掲げたもう一方の柱である「税金の無駄遣い根絶」は、十分な成果を上げることは出来なかった。鳩山首相が目玉と誇った「事業仕分け」では、10年度予算の概算要求に盛り込んだ事業を対象に行った昨年11月の事業仕分けで、3兆円の財政規模圧縮を目指したが、約7000億円の削減に終わった。
 「政治主導」「首相官邸主導」の実現も道半ばだ。国家公務員の幹部人事を内閣で一元管理するための国家公務員法等改正案は衆院を通過し、参院で審議中だが、政府の国家戦略室の「局」昇格を柱とする政治主導確立法案は衆院で審議入りしたばかりで、成立のメドは立っていない。
 外交面では、日米の「密約」問題に取り組んだ。外務省の有識者委員会は1960年の日米安保条約改定時に、朝鮮半島有事の際、在日米軍の作戦行動を事前協議なしで認める密約があったことなどを認定した報告書をまとめた。また、首相は「東アジア共同体」構想を打ち出したが、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で迷走を重ね、目立った成果を残すことはできなかった。



「審査基準を明らかにすべき」と講談社  iPhoneアプリ「妄撮」配信停止で
 講談社が携帯端末「iPhone(アイフォーン)」向けに製作・販売していたグラビアアイドルの電子写真集について、販売サイトを運営する米アップルが配信を停止していたことが分かった。同社は理由を明らかにしておらず、講談社は「強い影響力を持つ配信メディアだけに、審査基準を明らかにすべきだ」としている。
 販売が停止されたのは講談社などが販売していた「妄撮 for iPhone」。同名の人気写真集の電子版で、画面に表示されたグラビアアイドルの画像をなぞると水着姿に「変身」する仕組み。昨年12月からアップルのコンテンツ販売サイト「アップストア」で売られていたが、今年2月下旬に削除。アップル側から事前通告や削除の具体的な説明はないという。
 講談社の担当者は「もともとアップルは性的、宗教的コンテンツなどモラルに厳しく、同じころにほかの『お色気』コンテンツも削除されていた。だが、一度審査を通過したものが説明なしに削除されたことはフェアではない」と話す。
 アップル・ジャパン広報は「審査の具体的な基準は明らかにしていないが、製品にしろ(コンテンツの)ラインアップにしろ、子供にも安心して使用、閲覧できるようなサービスを心がけている」としている。



台湾の鴻海精密工業、中国製造拠点で30%の賃上げ
 [台北 2日 ロイター] 台湾の大手電子部品メーカー、鴻海精密工業は、傘下の富士の中国南部の製造拠点で、30%の賃上げを実施することを明らかにした。鴻海精密工業のスポークスマンは、賃上げは即日実施されると述べている。
 先週の段階では、20%の幅の賃上げを計画している、としていた。
 富士康の製造拠点では今年に入って、10人の従業員が死亡しているが、全員が自殺とみられており、中国国民からの反発も高まっていた。



米では競合、日本では… アマゾン、iPhoneなどに買い物ソフト提供
 インターネット小売大手の米アマゾン・ドット・コムは2日、日本市場向けのショッピングサイト「Amazon.co.jp」で買い物ができるソフトを、米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」や多機能情報端末「iPad(アイパッド)」向けに、無償で提供すると発表した。日本法人のアマゾンジャパン(東京都渋谷区)を通じて配布、このソフトをダウンロードすれば3日から利用できるという。米では電子書籍事業で競合するアップルのユーザーを自社のサイトに取り込むのが狙い。
 アマゾンは世界有数のネット通販事業者で、書籍類の品ぞろえなどに強みを持つ。同社はスマートフォンの世界的な普及を見込んでモバイル戦略を重視しており、日本市場でもアイフォーンやアイパッドの利用者急増に乗じて、ショッピングサイトの裾野拡大をもくろむ。
 今回提供するソフトは、携帯電話のカメラで撮影した画像で商品検索できる「フォト検索」や、注文した商品の受け取りが可能なコンビニエンスストアの検索など、使い勝手を向上させる新機能を盛り込んだ。
 アマゾンジャパンの古屋美佐子シニア・プロダクト・マネージャーは、これまでのパソコンによる注文方法に比べ「より速く、より直感的に買い物が楽しめるようになる」と説明した。このソフトはアップルの携帯情報端末「iPod touch(アイポッドタッチ)でも利用できる。



緊急特集
鳩山首相辞任、配分重視で株価を「味方」にできず=編集委員 藤田和明(10/6/2)
 鳩山由紀夫首相が2日午前、辞任を表明した。迷走を重ねた普天間問題が命取りとなり、深刻な支持率低下により退陣を余儀なくされた。歴史的な政権交代から8カ月あまり。この間、鳩山首相に対する株式市場の評価は高くなかった。
 MSCI世界株指数と日経平均株価を重ね合わせた右のグラフ(09年3月末を100として指数化)がそれを如実に示す。
 衆院選で民主党が自民党を破ったのが2009年8月30日。08年9月のリーマン・ショックから選挙までは、世界株と日本株はほぼ似た動きが続いたが、民主党が勝利して以降、日本株は世界株に出遅れた。
 衆院選直前の週末である8月28日を起点に今年5月末までの株価指数の成績を比べると、MSCI世界株指数が2.6%上昇したのに対し、日本株は7.3%下落した。その差は10ポイント近い。鳩山政権下の日本に対して、市場参加者の視線が冷たいものだったことは否定できない。
 時の政権にとって株価は、内閣支持率と並んで、敵にも味方にもなる。
両院議員総会で辞意を表明する鳩山首相(2日午前、国会内)
 かつて小泉元首相は執務室で日々株価をチェックしていたともいわれる。野党時代の鳩山氏自身、株価下落を自民党政権の失策だと国会で追及したこともあった。しかし、政権を握った鳩山氏は最後まで株価を味方にすることはできなかった。
 成長戦略を欠いたまま、配分ありきの政策を推し進めることへの不安。財源確保を果たせず、財政悪化に拍車がかかった。郵政改革の逆戻りも市場の評価を落とした。外為市場の円高放置も株価にとって重荷になった。日銀が金融緩和策に動き、菅財務相発言もあって、12月に円高が一服。株価も持ち直したものの、世界株への出遅れ分を取り戻せないまま、きょうに至っている。
 鳩山首相が就任したころと比べると、市場環境はむしろ難しさが増している。
 ギリシャ危機は日本を含む過剰債務国のソブリンリスクに火を付けた。中国の金融引き締めなど新興国の成長も不透明さが漂う。北朝鮮問題など地政学リスクも高まる。市場からの厳しい揺さぶりにさらされる場面がどこかで待っているかもしれない。山積する難題に、ポスト鳩山の新政権は求心力を持って対処できるだろうか。



緊急特集
鳩山首相退陣、市場に聞く今後のシナリオ(10/6/2)
 鳩山由紀夫首相が2日、退陣する意向を表明した。海外投資家の動向などに詳しいエコノミストやストラテジスト3氏に、今後の政治をどう見るかや、マーケットへの影響などについて聞いた。
「次期政権、成長戦略提示を」
JPモルガン証券チーフエコノミスト 菅野雅明氏
 鳩山政権の支持率は20%前後まで落ち込んでおり、このまま政権を続けられる状況ではなかった。参院選の日程を考えるとむしろ遅すぎたぐらいだ。
 株式市場にとっては、これ以上現政権が続いていたらネガティブだったので、辞任は前向きにとらえることができる。ただ、辞任が株価上昇につながるかというと、それはない。
 今の日本株相場は海外次第。外国人投資家が今回の鳩山氏辞任で日本経済に対して見方が変わるとは思えない。もしも次期首相が少子高齢化のなかでの成長戦略を打ち出すことが出来るなら、外国人の見方が変わり、日本株は上昇するだろうが。
 鳩山政権を振り返ってみると、あまりにもメッセージがなさ過ぎた。どういう方向に国を持って行くか、何を優先するか大きな政策のフレームワークが見えなかった。具体的には、財政再建を進めながら、高齢化のなかで長期的な成長をどう実現するかを打ち出せなかった。
 参院選後も民主党が政権を担うことはほぼ確実だ。日本経済はもはや問題先送りが許されない状況になっている。次期首相には、行程表を提示し、時間軸を含めて国のあり方を示してほしい。
 具体的には、消費税の引き上げなど早めに痛みを伴う施策をとらないと、ギリシャのように手遅れになりかねない。また成長戦略として、規制緩和や市場開放が必要だ。海外企業や外国人に日本に来てもらって、経済を活性化をする必要がある。また法人税減税によってアジアなど海外との競争条件の統一もしないといけない。
 次期首相として名前が挙がっている菅直人氏は安定感があると評価している。しかし早期の消費税増税には消極的で、財政再建に対する認識は甘いと思う。もし首相となったらどういうメッセージを打ち出すかに注目したい。(聞き手は土居倫之)
「菅氏後任なら外国人好感も」
パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表 宮島秀直氏
 現在、欧州に投資家訪問をしているが、仮に辞任があった場合の投資姿勢を鳩山首相辞任前に聞いたところ、「様子見」と「条件付きでポジティブ」とみる2つの見方が多かった。
 普天間基地移転問題などで、外国人投資家の鳩山政権に対するイメージは悪い。なかには「鳩山政権下では日本株は割り引いて見ざるを得ない」とする投資家までいた。ただ、政治状況が不透明ななか、進んで買うには材料不足だろう。
 市場が注目しているのは、小沢一郎幹事長の今後の動向だ。
 民主党政権が維持されるには、小沢氏が選挙で一定の役割を果たすことが依然として不可欠だろう。ただ、新政権のイメージに響くとして、表だった活動を望む声は少ない。小沢氏の今後の動向次第では、政局の安定が遠のいたとして外国人が売りに動く可能性もある。
 小沢氏がある程度引いた立場となったうえで、菅直人財務相が首相の後任となれば市場は好感するだろう。外国人投資家の間には、昨年12月の株価上昇のきっかけとなった金融緩和は菅財務相が主導したとする認識があるためだ。特に為替の円安誘導に対する期待感は大きい。4日に予定される次期代表選で菅財務相が選ばれれば、日本株は急反発する可能性もある。
 6月末の日経平均株価は1万円をやや上回る水準となるのではないか。菅新政権誕生でいったん急騰するものの、参議院選挙をひかえた不透明感から、利益確定売りも出てきそうだ。(聞き手は川路洋助、欧州へ電話取材)
「新政権誕生期待も、反応は一時的」
野村証券 チーフ・ストラテジスト 岩沢誠一郎氏
 鳩山由紀夫首相の辞任発表に合わせて日経平均株価は一時的に反発に転じたが、これはイレギュラーな現象だ。
 首相辞任は政局混迷の表れとして受け取られるため、一般的には市場の下落要因となる。今回の場合、もともと市場の鳩山政権に対する評価が低かったことに加え、金融緩和姿勢が強いとみられる菅直人財務相が次期首相として有力とされていることが、一時反発した背景にあったようだ。
 仮に菅財務相が首相に就任したとしても、経済政策は大きく変わらない公算が大きい。ただ、昨年12月の株価上昇のきっかけとなった日銀の金融緩和で、菅財務相が果たした役割は大きいとみられている。菅財務相のデフレ脱却姿勢が強いこともあり、市場では「菅新首相」によるプラス効果をいったんは織り込んだようだ。
 ただ、今日午前の上昇は瞬間的なものにとどまった。仮に菅財務相が鳩山首相の後任となっても、参議院選挙で民主党が立たされている厳しい状況は変わらないとみられているためだ。参院選後、民主党がどのような政権の枠組みを作るのかも不透明で、投資家が(菅政権を織り込んで)買い進める状況にはない。
 ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の改善とそれに伴う企業業績の回復が株価上昇を主導するという基本的なシナリオは変わらない。政局の混乱が一服すれば、市場の関心は再びファンダメンタルズに向かうだろう。

(っ゜Д゜)っ新聞

ソフトバンクが電子書籍アプリ「ビューン」を投入、早々のサーバーダウン・休止は大きな潜在需要の表れ?
 5月28日に米アップルのタブレット端末「アイパッド」を発売したソフトバンク。同端末の強化策を、早くも打ち出した。それが30以上の新聞、雑誌を定額料金で読めるコンテンツ配信サービス「ビューン」だ。
 「(アイパッド用のアプリとして)日本で唯一足りないと言われていたのが、雑誌・書籍。『アイパッド』ユーザーにはほとんど標準装備に近い形で楽しんでもらいたい」。
 31日に開かれた発表会の場で、ソフトバンクの孫正義社長はそうアピールした。
 毎日新聞、週刊朝日、AERA、週刊ダイヤモンド、CanCam……合計31の新聞・雑誌を発売日から閲覧でき、価格はアイパッド用で月額450円(アイフォーン用は350円、3G携帯用は315円)。価格だけを見れば、かなりお買い得といえる。
 評価のポイントとなるのは、この価格でどれだけ見られるかだ。発売日に全ページを見ることはできない。「ものによるが、31誌・紙のうち、7割のものについては、次号が発売されるまでに5割以上がアップされる。第一特集、第二特集を発売日から配信し始め、日を追うごとに追加でアップされる仕組み」(蓮実一隆・ビューン社長)。
 実際にどれくらいのペースで、どの程度の量のコンテンツが配信されるのか、実際に確認してみるまでは、このアプリの価値を判断することはできなさそうだ。
 6月いっぱいは無料での閲覧が可能(ソフトバンク携帯については、販売代理店で端末購入とあわせて申し込んだ場合、利用開始から1ヵ月間無料)となる。この無料期間に試して加入の是非を判断したいところだ。
 だが、アプリの配信を開始した1日未明から、アクセス集中によりつながらない状態が続いている。配信元のビューンは同日、システムの増強等を目的に、配信を一時停止とするリリースを発表した。
 予想以上の反響があった証しとも言えるが、準備不足を露呈した格好。ユーザーからは散々に酷評されており、やや幸先の悪い船出となってしまった。
 今回発表のアプリについては、これ以上のコンテンツ追加は行わない方針。今後、第二弾、第三弾として、これ以外のコンテンツをパッケージ化したアプリを投入していく方針だ。
 アイパッドの発売でようやく本格開始となる日本の電子書籍市場。だが、割安価格のこのアプリが浸透すれば、予想以上に早く市場が立ち上がる可能性もある。当面はその動向に注目だ。



競争力強化で258万人雇用…産業構造ビジョン
 経済産業省は1日、日本経済の再生策を示す成長戦略「産業構造ビジョン」を決定した。
 国を挙げて産業競争力の強化に乗り出す必要性を強調し、原子力発電や新幹線を始めとする「インフラ(社会基盤)輸出」など五つの戦略分野を政策支援することで、2020年までに149兆円の新市場、258万人の雇用を生み出す目標を掲げた。経産省は、国家戦略室が今月中にまとめる政府の新成長戦略の柱に位置づける考えだ。
 ◇戦略5分野◇
 ビジョンは、同日の産業構造審議会(経産相の諮問機関)の専門部会で了承された。
 戦略5分野は、「インフラ輸出」「環境・エネルギー」「医療・介護・健康・子育てサービス」「文化産業」「先端分野」だ。
 政府が昨年末に決めた新成長戦略の基本方針では、20年の名目3%成長の目標を掲げており、生産額は310兆円増加すると経産省は試算している。5分野が創出する市場規模149兆円はこの48%を占め、3%成長の達成に大きく影響する。
 ◇行き詰まりを直視◇
 ビジョンは戦略実現のため、「産業構造の転換」「企業のビジネスモデルの転換」「国内雇用維持とグローバル化の二択からの転換」「政府の役割の転換」の四つの課題に、官民一体で取り組む必要性を示した。
 いずれも、日本経済の行き詰まりへの強い危機感が背景にある。自動車関連産業への依存や、日本企業が国内競争で消耗している現状の改善を進めるべきだとの認識だ。
 ◇横断的政策◇
 国税と地方税を合わせ、企業が実質的に負担する法人税の実効税率を25~30%と国際的な水準まで引き下げるなど、日本の産業を支える横断的政策も示した。
 1日にはインフラ輸出を推進する「国家戦略プロジェクト委員会」(委員長・鳩山首相)などの設置が発表され、戦略の実現に向け、政府も動き始めた。
 ◇産業構造ビジョン概要◇
 ▽産業構造の転換
 ・戦略5分野の強化
 ▽企業のビジネスモデルの転換
 ・国際標準の獲得
 ・世界市場を見据えた再編
 ▽国内雇用とグローバル化の二択からの転換
 ・法人税改革など国内立地の国際競争力強化
 ▽政府の役割の転換
 ・インフラ輸出の官民連携



米IT大手、手元資金が急増 8社17兆円、1年で3割増
 【シリコンバレー=奥平和行】米IT(情報技術)大手の手元資金が増加してきた。ソフトウエア最大手のマイクロソフトやネットワーク機器最大手のシスコシステムズなど主要8社の合計は、2010年春時点で1904億ドル(約17兆4000億円)に上り、1年前より約3割増えた。各社は豊富な手元資金をM&A(合併・買収)や研究開発などに投じる方針だが、投資家から株主配分の強化を求められる場面もありそうだ。
 各社の1~3月期末時点の現金や短期有価証券などを合算した。決算期が異なる企業は直近の四半期末の数値を用いた。主要8社の合計は1年前に比べて28%増加し、半年前との比較でも約1割増えた。多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など、新製品の開発や販売促進に資金を投入したとみられるアップルを除く7社が手元資金を積み増した。
 3月期決算の日本の上場企業の手元資金は今年3月末の合計で約63兆円。米ITはわずか8社でその約3割に相当する手元資金を持つ計算になる。
 景気の持ち直しを追い風に企業のIT投資などが回復傾向にあり、各社の足元の業績は好調。本業で稼ぎ出した自己資金を積み増した企業が多く、マイクロソフトの手元資金は1年前より約6割多い400億ドル近くに上った。シスコの手元資金も同水準に達している。
 各社は手元資金を元手にM&Aなどを積極化する。IBMは15年までに企業買収に200億ドルを投じる方針で、5月には米AT&Tグループから企業向けソフト開発会社を約14億ドルで買収すると発表した。ヒューレット・パッカード(HP)も携帯電話端末メーカーの米パームを12億ドル(約1100億円)で買収する。
 半導体最大手のインテルは最新の製造技術を活用したMPU(超小型演算処理装置)の増産に向けて10年までの2年間に70億ドルを投資する。ただ、一部企業では大型の買収案件や投資先が見あたらない。成長シナリオを提示することができなければ、投資家から株主還元を手厚くするように求められることもありそうだ。



日本企業の「クラウド」導入14% 米の4分の1
 インターネット経由でソフトなどを利用する「クラウドコンピューティング」サービスを利用する日本企業の割合は14.8%で、米国の4分の1にとどまることが総務省の調査でわかった。電子メールやデータ保管など情報系システムで利用する割合は日米でほぼ同程度だが、受注販売や生産管理など基幹業務への導入で遅れている実態が浮かび上がった。
 調査は野村総合研究所などの協力で、インターネットを使ったアンケート方式で実施した。対象は両国とも500社。クラウドサービスの利用実績の有無や今後の導入予定、どのような業務に採用しているかを尋ねた。
 米国ではクラウドサービスを利用している(利用したことがある)と答えた企業は56.2%あった。どのようなサービスに利用しているか聞いたところ、購買システムでの利用は米国企業が25.6%に上る一方、日本企業は7.8%にとどまった。
 クラウドサービスを利用すると自社の外部に情報を保管することになる。日本企業は安全性などの面から基幹業務への導入に慎重になっているとみられる。



TSUTAYAのTポイント、iモードとEZwebで提供開始
 カルチュア・コンビニエンス・クラブは1日、iモードとEZweb上の「TSUTAYAプレミア」において、新たにTポイントサービスを開始すると発表した。同サイト上でのソフトバンク向けのTポイントサービスの提供は今年2月に開始されているため、これで主要3キャリアにてTポイントサービスが展開されることになる。
 「TSUTAYAプレミア」は同社が運営する携帯コンテンツ配信サイト。着うた・着メロや電子コミック、ゲーム、芸能ニュース、デコメなどのデジタルコンテンツを配信している。100円(税込)の購入につき1ポイントが付与され、利用レートは1ポイント1円となる。
 ファミリーマートや、ENEOS、ガストなどのTポイント参加企業での買い物で得たTポイントを「TSUTAYAプレミア」でのコンテンツ購入に利用できるほか、同サイトでの買い物で貯まったTポイントを他のTポイント参加企業で利用できる。



中国工場に賃上げリスク 所得底上げ政策、争議多発
 【香港=吉田渉】労働者の若さと賃金の安さを強みに発展してきた中国で雇用の動揺が広がっている。外資系工場では大幅な賃上げを求める争議が多発。所得を高め内需の底上げを目指す政策を受け、賃上げの要求はエスカレートする一方だ。厳しい環境を受け入れて働く人々が支えてきた「世界の工場」のもろさが浮かび上がってきた。
 5月下旬にストライキに見舞われたのは広東省仏山市にあるホンダの変速機工場だ。従業員の賃上げ要求が発端で、生産ラインが止まった。変速機が納入されないため、広州市や武漢市にある完成車工場も操業停止に追い込まれた。
 ホンダは実質約2割の賃上げを提示して事態の収拾に動いた。今月1日、変速機工場が2日から順次稼働すると発表。完成車工場は4日にも操業を再開したい考えだ。ただ、一部従業員の間で不満はなおくすぶる。
 韓国・現代自動車の中国合弁会社が部品供給を受ける北京市の工場でもストライキが発生した。賃金の3割増を求める従業員1000人が5月28日から就業を拒否。同31日には操業を再開したが、会社側は賃上げ要求の受け入れを迫られた。
 労働者が強気になる背景には政策の変化がある。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は出稼ぎ労働者らの所得を高める方針を示した。低所得層の収入を底上げして内需を刺激するのが狙いで、地方政府は法定最低賃金を軒並み10%以上引き上げた。
 こうした賃上げの意向には、開発が遅れてきた内陸部の急成長に歩調を合わせる意味もある。中国政府は08年の世界的な金融危機を踏まえ、内需を掘り起こす景気対策の柱として公共事業を内陸部で大幅に拡大した。四川大地震の復興工事が続く成都市では600元(約8000円)前後だった土木作業員の月収が、沿海部の工場並みの1500元に跳ね上がった。都会に出ず地元に残る労働者が増え、沿海部の人手不足感が強まった。
 中国の社会で浸透する「大国意識」も問題を複雑にしている。中国メディアは「中国人従業員と日本人駐在員の給与格差は過大だ」「外資に安い労働力を提供する時代は終わった」などとする論調の記事を一時掲載した。これが労働者に伝わり、外資への反発が強まる悪循環もみられる。



米HPが3千人削減 企業向けサービス効率化
 米コンピューター大手のヒューレット・パッカード(HP)は1日、今後数年間で全社員の1%に当たる約3000人を削減すると発表した。
 2008年に買収した企業向け情報技術(IT)サービス大手の米エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)を中核とした企業向けサービス部門に対して13年までに10億ドル(約900億円)を投じ、効率化を進める計画。約9000人分の業務を圧縮する一方で、営業や配送部門を約6千人増強する。
 リストラが一段落すれば、年間5億~7億ドルのコストを圧縮できるとしている。(共同)



スクランブル
民主党政権に「買い余地」はあるか
 「鳩山首相の退陣論強まる」と報じられた1日の東京株式市場で、日経平均株価は56円87銭(0.58%)安の9711円83銭。取引時間中も前日終値を上回ることはなく、上値の重さが目立った。市場では「政権運営の先行き不透明感が強まり、買いが手控えられた」(大手証券)との解説も目立った。ただ、なお民主党政権に絡む買い材料に注目する向きも少なくない。7月の参院選まで残りわずかの局面で、政治要因の買い場はどこか。
 「政府の働きかけに背中を押される形で、日銀が次の一手を踏み出す」
 株式市場でささやかれているのが、日銀による追加的な金融政策だ。欧州財政問題などで海外市場になお不安定さが残るなか、5月の日経平均は月間で12%も下落。市場では金融当局の政策による株価てこ入れ期待が強まっている。
 5月31日に白川方明総裁が成長基盤の支援強化に絡み、前向きな発言したことも前向きに評価され、昨年12月、今年3月に続く金融緩和策への期待感は強い。
 昨年12月の追加金融緩和策で日経平均株価はドバイ・ショックによる下げからの反発局面を迎え、外国人投資家は日本株を大幅に買い越した。「菅直人副総理・財務相と白川総裁の関係が比較的深く、選挙前に日銀が金融緩和策を実施しやすい地合い」(大手証券の株式ストラテジスト)との観測は少なくない。
 社民党の福島瑞穂党首が閣僚を罷免されたことで、法人税率の引き下げへの期待も高い。
 法人税の実効税率は主要国で最高水準。鳩山首相はかねて「減税の方向に導いていくのが筋」としてきたが、社民党は税率引き上げを主張していた。社民党の連立政権離脱により政権基盤こそ弱体化するものの、減税の実現可能性は高まった格好だ。
 「減税が実施されれば、企業の国際競争力強化という見方から日本株は買われやすい」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)と、今後の株高に期待する声が出ている。
 「子ども手当」支給に絡む株式市場への資金流入の期待もある。
 今月に支給が始まった子ども手当は、6月、10月、2月の3度に分けて支給される。対象世帯は今年10月以降、4カ月分を受け取れる計算だ。「教育関連などの消費意欲が増し、日本の内需株の下支え要因になる」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方がある。
 実際、1日は日経平均が下げるなか、子供服専門店の西松屋チェーンが前日比3%上昇、玩具のタカラトミー、バンダイナムコホールディングスが1%それぞれ上昇した。
 とはいえ、足元の地合いはあまり良くない。鳩山内閣の支持率は続落しており、政権の運営力は低下。4月下旬に第2弾が始まった事業仕分けも「財政構造を抜本的に改善するには至らない」(パインブリッジ・インベストメンツの元木宏常務執行役員)との見方から株価の支援材料にはなりにくかった。
 政界は再編含みで不透明感も強く、「しばらくは様子見姿勢」(みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)との見方が多い。株式売買シェアの約6割を占める外国人投資家も5月、第2週(10~14日)以降、売り越しに転じている。
 「株高に向けた戦略の切り札は規制緩和」と話すのは、バークレイズ・キャピタル証券の高橋文行・株式ストラテジスト。介護・福祉分野などへの民間事業者の参入が促されれば、企業活動が活性化し日本株に投資資金が流入しやすいという。
 民主党政権の顔ぶれが刷新され、規制緩和を前面に打ち出す機運が高まれば、外国人投資家の買い意欲が再び高まる可能性がある。



日経社説
成長戦略は的を絞りスピード感を出せ
 政府が月内にも詳細を決める経済成長戦略に向け、各方面から具体案が出てきた。基本とすべきは民間企業の投資や事業展開の意欲を引き出す、政府の強い意思表示だ。個別案をホチキスで留めるのではなく、優先順位が明確でスピード感に富む戦略づくりを求めたい。
 昨年末に政府が決めた成長戦略の基本方針は環境、健康、観光の3分野で100兆円を超す新たな需要をひらき、2020年まで10年間の平均で名目3%成長を目指す内容だった。急ごしらえだっただけに、今回の詳細版は有効な政策の肉付けと、手順を示す工程表が必須だ。
 経済産業省は1日、成長戦略への反映を狙った「産業構造ビジョン」を決めた。インフラ輸出、環境、文化産業、医療、先端分野といった「戦略5分野」で20年の生産額を07年に比べて約150兆円伸ばすとの試算を示した。
 00~07年は生産額全体の伸びのうち4割を自動車関連に頼る「一本足打法」だったが、今後は戦略5分野に成長の柱を分散する。インフラ輸出の強化へ官民連携も拡大する。現在は40%程度と世界的に突出して高い法人税率をまず5%下げ、抜本税制改革に合わせて25~30%に下げるとの方針も打ち出した。
 韓国や中国などの競争相手は戦略産業の分野を中心に官民一体の有利な条件で海外市場を開拓している。日本の出遅れは明らかであり、不利な条件の改善や税制の見直しは緊急課題といえるだろう。
 一方、行政部門が産業活動に過度に関与するようでは、長い目でみて成長や雇用の拡大につながらない。産業政策の復活でなく、大胆な規制緩和などで民間の事業意欲をじゃましない政策の視点が重要だ。
 他の省庁や経済団体も、個々の政策分野で関心に沿う成長戦略の案を出している。幅広いアイデアが出るのはいいが、問題は取捨選択である。分量は多いが、総花的で統一感のない成長戦略を出しても、メッセージは企業や海外に伝わらない。
 国土交通省の成長戦略は航空、観光、海洋などの縦割りだ。羽田・成田両空港のハブ機能の強化や関西国際空港の再生をいいながら、航空会社の体制や新幹線とのすみ分けの姿に触れないなど、全体像を欠く。
 農水省が漁業に対する所得補償を提案したように、成長との関連がよくわからない政策も多い。
 日本が何で稼ぎ、どうやって雇用を増やすかという骨太の構想を、仙谷由人国家戦略相らは今度の成長戦略ではっきり示してほしい。

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