ヾ(゜Д゜)ノ"新聞

狙われる著名人 Twitterで「なりすまし」相次ぐ
 人気のミニブログサービス「Twitter」のなりすまし事件が相次いでいる。海外だけでなく、日本でもサイバーエージェントの藤田晋社長がなりすまし騒動に巻き込まれた。
 Twitterのユーザーは世界中に広がっており、著名人の利用も目立つようになっている。米国では、オバマ大統領を始め、多くの政治家がTwitterを利用している。公務中にTwitterへ「つぶやき」を書き込んだ政治家もいて、物議を醸したほどだ。
 一方で、著名人を騙るなりすましも起きるようになっている。2月には、ダライ・ラマ14世を騙ったアカウントが作成された。また、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスのトニー・ラルーサ監督も、なりすましの被害に遭っている。ラルーサ監督のなりすましについては、Twitterの運営会社を相手にした訴訟にまで発展した。
 サイバーエージェントの藤田社長を騙るアカウントが登場したのは6月だった。同じ時期にTwitterを始めたばかりの堀江貴文・元ライブドア社長も、藤田社長のニセモノであることに気付かなかったようだ。自身のブログに「twitterでまんまとだまされちまったよ」と記している。
 藤田社長本人のブログによれば、社員から「社長、最近twitterやってますよね?」と言われて、なりすましの存在に気付いたという。藤田社長のブログに日ごろ書きこまれていたことを元に、ニセモノがTwitterへ「つぶやき」を書き込んでいたため、身近にいる社員もニセモノとは思わなかったようだ。
 その後、このなりすましをしたのは自分であると名乗り出るブロガーが現れた。本人確認ができないTwitterの危うさを指摘するために、「『サイバー藤田』を演じることで、周りにTwitter上での『なりすまし』の危険性を教えたかった」と、このブロガーは記している。ただし、「このエントリ自体がなりすましである可能性があります」という注意書きもあり、本当にこのブロガーがなりすましたかどうかは定かではない。



20代、海外旅行離れ 余裕のない暮らし反映か JTB
 20代の海外旅行者数がこの10年で4割近く減ったことが、旅行大手JTBの調べで分かった。安定した職に就けない若者が増える一方、正社員も収入や休暇が減っている。就職氷河期を経験した「ロストジェネレーション」の余裕のない暮らしぶりが海外旅行需要にも表れている。
 JTBが法務省の出入国管理統計などをもとに観光、出張などで海外へ出かけた人数の推移をまとめたところ、98年には414万人だった20代が、08年は262万人と37%減。この間の20代の人口減少率22%を大きく超える落ち込みぶりだ。特に20代女性の98年の海外旅行者数は261万人と、男女・年代別で最も多かったが、08年は160万人に激減。出張が多い30~50代男性に海外旅行の「主役」の座を譲った形だ。



中国の株式時価総額、景気刺激策で急増 東証と再び並ぶ
 【上海=戸田敬久】中国の株式市場の規模が急速に拡大し、時価総額で再び東京市場に肩を並べた。大規模な景気対策で個人投資家らの資金が流入し、大型株の多い上海株が年初から約7割上昇したため。中国政府は6月末から新規株式公開(IPO)を再開しており、新規上場などに支えられ、中国市場の時価総額が東京市場を大きく上回る可能性がある。
 米通信社によると、上海と深センの証券市場を合わせた時価総額は約3兆2000億ドル(約300兆円)に達した。15日の取引時間中には時価総額が約3兆2100億ドルになり、東京証券取引所の約3兆2000億ドルを一時上回った。



議員立法97本、衆院解散で廃案へ 今国会成立は19本
 衆院が21日に解散することで、与野党が議員立法で衆参両院に提出している97法案が廃案になる。与党と民主党の修正協議が進んでいた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案や、患者の要望が多い肝炎対策基本法案なども次期衆院選後に先送りとなる。成立したのは改正日本政策投資銀行法や改正臓器移植法、水俣病未認定患者救済法など19本。
 今国会に新たに議員立法で提出した法案は与党が39本、野党が45本だった。前国会から継続となっている法案も与野党合わせて47本あった。衆院解散の場合、慣例で参院でも提出済みの法案の継続審議手続きをとらないため、すでに廃案となったり、撤回したりした法案を除く97本が21日に廃案となる。



<児童ポルノ禁止法>改正案の課題 与党と民主、異なる「単純所持」定義
 18歳未満を被写体にした写真などの「児童ポルノ」の規制を強化する「児童買春・児童ポルノ禁止法」(99年11月施行)の改正案が衆院解散に伴って審議未了のまま廃案になる見通しだ。今秋以降、再提出されるとみられる。国会審議などで浮かび上がった改正案の課題は何か。
 ■今秋以降、再提出へ
 衆院に提出された児童ポルノ禁止法の改正案は、自民党と公明党の与党案と、民主党案の2案。いずれも、児童ポルノの所持や取得行為を新たに禁止することが大きな柱だ。改正の背景には、主要8カ国(G8)で単純所持罪がないのは日本とロシアだけとの批判が高まり、国際社会から新設を求められていることがある。
 与党案は、正当な理由なく所持することを禁止するとともに、「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持には「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」の罰則を付けた。捜査や国会図書館での所蔵などは対象にならない。
 民主党案は、購入したり、繰り返し取得する行為を禁止。違反すると「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」が科せられる。両法案とも先月26日の衆院法務委員会で審議入りした。
 大きく異なるのは、与党案が現行の定義規定のままで単純所持罪を追加するのに対して、民主党案は、定義を明確化した点だ。インターネットの普及で児童ポルノ画像を添付したスパムメールが自分のパソコンの中に勝手に入っていたり、児童ポルノと知らないでうっかりクリックして画像をホームページなどからダウンロードしてしまう可能性があるからだ。ネットの実情を踏まえ、「有償」や「反復」など取得の意思が明確なことを要件とし、処罰範囲が安易に広がらないよう条文上、配慮したという。
 与党案は付則で、政府に対して漫画やアニメーション、CG(コンピューターグラフィックス)といった実在しない18歳未満を描いた作品も規制すべきかどうかの調査研究を求めた。これに対して、民主党案には同様な条項はない。ただし、民主党案は、盗撮する行為も加えて児童ポルノの製造罪の処罰範囲を拡大したほか、提供罪を「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」(現行は「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」)に引き上げた。
 与党と民主党は今月に入り、今国会中の成立を目指して協議を始めたが、衆院解散で合意には至らなかった。枝野幸男議員(民主)は「取得という言葉を『所持するに至る』などと言い換える譲歩はしたが何も合意はしていない。改正案は再提出することになるが、法案の内容や与野党協議については総選挙の結果を見て考える」と話す。
 ■女優写真集もダメ?
 与党案に最も危機感を募らせた関係団体の一つが出版界だ。日本雑誌協会の山了吉・編集倫理委員長(小学館取締役)は「現行の定義のまま単純所持罪を盛り込んだ与党案では、18歳未満の芸能人やモデルが被写体となった芸術性の高い写真集も児童ポルノと拡大解釈される恐れがある」と懸念を示す。
 例えば、小学館が83年に出版した写真集「写楽館」に収められた女優の川上麻衣子さんのヌードは17歳の時だ。他にも、浅野温子さんや関根(高橋)恵子さん、小林聡美さんら著名な女優が18歳未満の時にヌードになった映画や写真は少なくない。山さんは「出版文化の一翼を担った作品が犯罪の対象となっていいのか。定義を厳密にすべきだ」と批判する。日本雑誌協会では与党案が成立した事態に備えて緊急声明の発表を準備したという。
 ◇過剰反応防止へ厳密な規定を--甲南大法科大学院教授(刑法)園田寿氏
 児童ポルノの特徴は、その置かれ方によって、違法となったり適法となったりすることだ。現行法にある一般人を基準とした「性欲を興奮させまたは刺激するもの」という定義に従えば、浜辺で遊ぶ裸の子供の写真は家族アルバムにはられていれば児童ポルノに当たらないかもしれないが、同じ写真がポルノ雑誌に掲載されると、児童ポルノに当たる可能性がある。
 そういう解釈ができる余地のある規定だけに、罰則を設けるのであれば厳密に定義しないと、個人情報保護法のように恣意的な運用を可能にしたり、写真集やビデオが全国の図書館から撤去されるなど社会全体が過剰に反応する恐れもある。
 実在する児童を虐待した記録としての児童ポルノは、被害救済のために規制するのは当然だ。しかし、水着姿のグラビアアイドルの写真のような虐待の記録とは言えないケースもある。子どもの権利条約は、性的自己決定権も尊重しており、そうした権利との調整を図る必要もあるだろう。
 民主党案にも問題がある。盗撮による児童ポルノを、他人への提供を目的としない児童ポルノの製造罪に追加した。しかし、規定内容が厳密ではないために、例えばインターネットから知らずにパソコン内にダウンロードされた画像を後で別の記録媒体にコピーしたようなケースも「製造」だと解釈される余地を残してしまった。取得罪とほぼ同じ行為にもかかわらず量刑が「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」と重くなるのはおかしい。盗撮は、児童だけの問題ではないから、この法律とは切り離して、刑法に新たな処罰規定を設けるべきだ。いずれの法案ももう少し根本的に見直したらどうか。

(゜Д゜)新聞

携帯簡易メール、各社間やり取り可能に
 国内の携帯電話4社は、同じ会社の利用者なら電話番号をアドレス代わりにして送ることができる簡易版のメール=「ショートメッセージ」について、来年度以降ほかの会社の携帯電話ともやり取りできるようサービスを拡充する。
 携帯電話のメールには、インターネットに接続してやり取りする電子メールと、電話番号をアドレス代わりに短い文章をやり取りする簡易版メール=「ショートメッセージ」の2種類があります。このうちショートメッセージは、電話番号さえ知っていればやり取りできるのが利点ですが、会社が異なる携帯電話とはやり取りができず、利用者から不満が出ていた。
 このため「NTTドコモ」、auの「KDDI」、「ソフトバンクモバイル」、それに「イー・モバイル」の4社は、ほかの会社の携帯電話ともやり取りができるよう設備を改良することにしたもので、来年度以降の実現に向けて準備を進める。携帯電話の利用者が契約する会社を換えたい場合、電話番号はそのまま移行できるが、メールのアドレスは移行できないため、各社は今回、ショートメッセージでメールの互換性を出すことで、消費者が携帯電話会社を換えることへの抵抗感を和らげ、顧客獲得につなげたいというねらいもある。



個人マネー生活防衛色、定期預金7年ぶり高水準 消費より貯蓄に
 個人マネーが生活防衛の動きを強めている。定期預金残高は5月末時点で前年比5%近く増え、約7年ぶりの高水準になった。雇用や賃金への先行き不安から、個人が元本割れリスクのない預金などの安全資産を積み上げているためだ。定期預金はこのところ月間1兆円近いペースで増えており、年内にも過去最大だった2001年1月末の201兆円を上回る可能性がある。
 日銀によると、5月末の個人の定期預金残高(国内銀行)は195兆円と前年同月比4.9%増えた。貯蓄志向を示す定期預金の伸びが顕著なのに対し、主に生活費に充てられる普通預金はここ数年、160兆円前後の横ばいが続いている。



電炉・海外勢、高炉に対抗 車・家電向け鋼板で
 国内の高炉メーカーがほぼ独占してきた自動車や家電向け鋼板で、電炉メーカーや海外鉄鋼大手が攻勢をかけている。電炉最大手の東京製鉄は高炉品並みの強度を持つ鋼板を開発、2012年をめどに製品化する。韓国のポスコはトヨタ自動車、ソニーとの取引を大幅に拡大する。自動車、電機大手は消費不振への対応や新興国市場での事業拡大に向け、鋼材の調達価格引き下げが急務になっている。調達先の拡大で高炉大手との価格交渉を有利に進める狙いもありそうだ。
 東鉄は現行の自動車向け電炉鋼板よりさらに強度を5割ほど高めた鋼板を開発する。今秋に稼働する田原工場(愛知県田原市)内に設ける技術拠点で開発する。



低所得者融資の条件緩和 10月から、離職者自立を後押し
 雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網」が10月から本格的に動き出す。厚生労働省が低所得者らを対象とする「生活福祉資金貸付制度」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように改めるためだ。原則年3%の貸付金利は連帯保証人がいれば無利子、保証人がいなくても年1.5%に下がる。住まいを失った離職者らの生活立て直しを支援する枠組みの整備が一段と進む。
 融資条件の見直しは政府が2009年度補正予算に盛った施策の一環。このほか、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者らに職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月に始まった。職と住居を失った失業者に住宅手当を支給する緊急措置も10月に始まる。
 政府はこれらの施策を連動させ、職を失った人が生活保護に頼る前に自立するための手助けをする「新たな安全網」の構築をめざしている。



EU、加盟国にガス相互供給義務付け ロシア産停止にらむ
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会はロシア産のガス供給が再び停止する事態に備え、安定供給を確保するための規制案をまとめた。EU域外からのガス輸入量が一定以上減った場合、加盟27カ国にガス融通を義務付けるのが柱。さらに調達先の多様化などで2014年3月末までに厳冬期の60日分のガスを確保するよう各国に求める。
 バローゾ欧州委員長は1月に起きたロシア産ガスの供給停止を念頭に「最悪の事態に備える」と表明。加盟国と欧州議会に今年中の規制案の承認を求めた。



ASEAN外相会議開幕、「人権機構」設置へミャンマー問題協議
 【プーケット=三河正久】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が19日の非公式夕食会から事実上開幕した。夕食会では、ミャンマーの人権・民主化問題を集中的に話し合った。ミャンマー問題は主要議題となる人権機構の設置にとって最大の障害。外相らは本会議後の共同声明でミャンマー民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏を含む全政治犯の解放を求める意向だ。
 ASEAN各国の外相らは夕食会でミャンマーのニャン・ウィン外相に政治犯の解放について見解を求めた。域内の人権侵害を解消するための人権機構については大筋で合意。「人権に関する政府間委員会」という名称で今年10月の発足を目指す。外相らは世界的な経済危機への対応策や食料・エネルギー安全保障についても討議した。
 ASEANは20日の外相会議に続き、ASEANプラス3(日中韓)外相会議やASEAN地域フォーラム(ARF)を開催する。



森元首相、「再編仲人役」へ意欲ほのめかす
 21日の衆院解散を前に、与野党はすでに「選挙モード」に入り、論戦も熱を帯びている。「真夏の決戦」に向けた熱く、長い戦いがいよいよ本格的に始まる。
 「政権交代して民主党主導になった時に危惧(きぐ)がある。バラ色のことも言っているが、疑問だ」
 自民党の細田幹事長は19日のフジテレビの番組で、民主党の安全保障政策などを厳しく批判した。
 一方、民主党の鳩山代表は19日、沖縄県沖縄市で開かれた同党の立候補予定者の決起集会で、「無駄遣いの多い現在の政権のあり方を根本的に改めない限り、国は変わらない」と政権交代の必要性を訴えた。
 麻生内閣の支持率が低迷する中、民主党は勢いづき、与党は守勢に回っている。選挙後に政界再編の動きが出ると予想する向きもある。
 自民党の森元首相は19日のテレビ朝日の番組で、「政局が大混乱になった時に政界再編をどうするのか。私はいろいろ経験もしているし、多くの人間関係もある。安定させる努力をしなければいけない」と述べた。元首相が選挙前から政治情勢の混乱を見据え、再編の「仲人役」を担う意欲を示した異例の発言だ。
 この日は、麻生首相を支える津島派の津島雄二会長(79)(衆院青森1区、当選11回)が突然、衆院選不出馬、政界引退を表明した。
 青森市で記者会見した津島氏は、「高齢多選への批判、何となく『チェンジしてもらいたい』という流れがある」と党と自身が置かれた情勢の厳しさを吐露した。「自民党は解党的な出直しをしなければいけない。新しい、若い人が次の時代を開く政治の必要性を強く感じた」とも指摘した。
 津島氏の発言は、首相への「交代勧告」か、それとも「激励」か。当の首相はこの日、日課である公邸周辺の散歩や約3週間おきの散髪などをしたほかは、首相公邸から動かなかった。



日経社説 チェンジ!少子化 公立校の魅力高め教育不安をぬぐえ(7/20)
 子どもの教育にはたいへんなお金がかかる。こう思わない人はいないだろう。そうした不安が少子化の一因になっているのは間違いない。
 国立人口問題研の出生動向基本調査(2005年)によると、夫婦が理想とする子どもの数は平均2.48人だが予定しているのは2.11人。実際にはもちろんさらに少ない。理想の数に達しない理由を聞くと、66%が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えている。
私立校や塾の負担重く
 この背景には学力や「いじめ」問題などをめぐる公教育への不信がある。公教育が心もとないから早い時期から私学へ入れたり塾通いをさせたりせざるを得ない、しかしそのための出費が大きすぎて心配、という意識だ。それなら負担の小さい公立校の魅力を高め、不安をぬぐう方策を考えなければならない。
 文部科学省の調査では、小学校から大学までに必要な教育費はすべて公立・国立なら約800万円だが、中学校から私立だと2倍にはね上がる。私立の中高一貫校は6年間で約700万円は必要だ。公立中学に通っていても学習塾の負担は重く、夏季講習なども含めると年間30万円以上もかかるケースが珍しくない。
 それでも首都圏では中高一貫校に進む小学生が3割ほどに上り、東京では6割にも達する小学校がある。公立中学生で塾に通っているのは約7割、小学生も中学受験を目指す場合は大半の子どもが通塾する。
 多くの親がこうした負担に耐えながらなお「脱・公教育」を目指すのは、それに見合う成果が期待できるからだ。たとえば東京大学合格者のうち6割ほどは中高一貫校の出身者が占める。こんな傾向が呼び水になってさらに私学に生徒が流れ、公立校は地盤沈下する。大都市圏を中心に、ふつうの公立高から有名大学に進みにくくなって久しい。
 これでは所得が低い家庭の子どもは進学の道を制約され、意欲も失うことになる。東大大学院の調査では年収1000万円以上の家庭の子どもは大学進学率が6割を超えるのに400万円以下だと3割ほどだ。東大生の半数以上の家庭が年収950万円以上というデータもある。
 こうした現実を踏まえれば、公教育の再生が少子化対策の重要な柱になるのは確かだろう。
 そのひとつの方策はもちろん、教育への十分な公的支出によって教育条件を整え、教育環境の改善も進めることだ。少人数学級の実現から高校などの授業料減免、パソコンや電子黒板の配備まで財政措置が伴わなければ始まらない課題は多い。
 経済協力開発機構(OECD)の調査では、国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出の比率は日本は主要28カ国中で最下位の3.4%だ。公私の負担割合も日本は家計の比重が大きい。厳しい財政事情の下とはいえ、こうした現状を放置しておくわけにはいくまい。
 しかし肝心なのは教育の中身だ。公立校がそれぞれ魅力のある授業や課外活動を編み出していくことである。そのためには中央集権的な教育行政の見直しが必要となる。
 戦後の教育行政は文科省が学習指導要領で細かなカリキュラムを定めて学校現場を拘束し、教科書検定を通してそれを補強し、教員の養成や登用も免許制度によって一元的に進めるといったやり方が続いてきた。地方の教育委員会は文科省の出先機関とも化している。
統制緩め現場に裁量を
 こうしたシステムが均質な教育を保証してきた面はあるが、一方で地域や学校の創意工夫の余地を狭め、本来の魅力を奪っている。もっと地域や学校現場に裁量を与えたり、教員を積極的に外部から招いたりして風通しのよい公教育に転換する時期だ。受験学力一辺倒では困るが、私学や塾に見習う点も多いだろう。
 地方ではすでに、中高だけでなく公立小中学校の一貫教育や公立高のテコ入れなど独自の試みも始まっている。公立校が教育環境と教育内容の両面で頼りがいのある存在に生まれ変われば、子どもの教育に余計な出費をする場面が少なくなり、教育不安はずっと小さくなるだろう。
 もっとも、公教育離れの底流には「どんなに無理をしてでも有名大学へ」というブランド志向もある。それを支えているのは、企業などが人材採用にあたって出身校にばかり目を向ける現実にほかならない。
 親の経済力によって子どもの将来が左右され、それが次の世代でも繰り返されていくとすれば社会は活力を失う。そんな傾向を断ち切るためにも企業は人材登用の尺度を見直していくべきだろう。それはまた、遠回りでも少子化を乗り越えるためのひとつの手立てとなるはずだ。

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